ここはハートランド郊外の公園。海沿いにあるこの場所からは、海をはさんだ遠くの方に、ぼんやりと街の灯りが見える。辺りが闇に包まれた中、公園の電灯が光を放つ。
「今日、楽しかったね。」
「ああ」
並んで柵に寄りかかり、夜景を眺める＊＊＊の方を向けば、美しい横顔が目に入る。この真っ直ぐな目が好きだと、改めて思った。
「＊＊＊」
夜景へと向けられていた視線が俺を突き刺す。心臓が早鐘を打ち、口にしようとしている言葉がどれほど重いものか、深く心に刻み付ける。こんなに緊張したことなんて、前世でも、現世でも、きっと初めてだろう。
＊＊＊の手を握る。温かい手だ。柔かく細いそれを、乱暴にならないようにしっかりと、両手で包み込む。
声が上ずったりしたら格好悪いなんてもんじゃない。深く呼吸をして、肺に空気を送り込む。そして今、言葉をつむいだ。

「俺がお前を、絶対に幸せにしてみせる。」

「だから、俺と結婚してくれ。」

＊＊＊は俺の言葉を聞くと、目を見開き、それから俯いてしまった。
突然のことに、返答を考えているのかもしれない。もしくは俺の気持ちは独り善がりなもので、傷付けてしまったかもしれない。不安感で胸が押し潰されそうになる。だが、俯いた＊＊＊の前髪越しに、光る雫が落ちた。
「こちらこそ…っ喜んで…！」
涙を流し続ける＊＊＊を抱き締める。すっぽりと収まってしまう小さな体のぬくもりが、たまらなく愛おしかった。