「オベロンって人間だったら『今日ぐらいいいでしょ』って歯磨きせずに寝るのを何回か繰り返して虫歯いっぱいできてそう」
「藪から棒に何？　失礼だよ」
「虫の王だし。虫歯黒いし……。いや虫歯は虫関係ないけど。でもこの散乱するお菓子の小袋を見たら誰でも思うと思うよ」
「食生活とその他の習慣は関係しないだろ」
「だけどオベロン今まで歯磨きしたことないでしょ？　体験したら『これはやらないな〜』ってなるかもよ」
「いいよじゃあ、やってやるよ」
「はい新しく歯ブラシ出したから。これに歯磨き粉つけて、あんまり多くなくていいよ。それで磨いてみて」
「…………。（シャカシャカ）これでいい？」
「うーん、磨き残しがあるなあ。仕上げ磨きもしよう」
「そこまでやる？」
「自分で歯を磨き始めてすぐはみんなやるから。歯磨きの面倒くささを知るためにやろう」
「子供扱いは不服だけど、ここまできたら乗ろうじゃないか」
「よっし。じゃああーんしててね」
（シャカシャカ）「…………（他人からされると少しくすぐったいな）」
「んーこんな感じかな。ぐじゅぐじゅぺっしておいで。ぐじゅぐじゅできる？」
（口元を手で隠しながら）「できるよ」
「うんうん」
〜オベロンうがい中〜
「どうだった？　初めての歯磨きは」
「確かに、寝る直前に毎晩これをやるのは面倒だね」
「でしょ？　それをいつもこなしてる私の株も上がった？」
「上がった上がった。うんうん。すごーく上がった」
「そこまでじゃなかったか……」