小ネタ(終)5
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2023年クリスマス付近。特に差し迫った危機も無いようなので、俺はハベトロットとブリトマートと共に、汎人類史のブリテンを訪れた。しかし21日の夜、***から緊急の通信が届いた。
『24日の夜から25日の朝だけでいいからカルデアに戻ってきなさい。でないとこっちからそっちに行って、妖精3にんで楽しく話してる中に邪魔をして、毎日太陽が出てから星が消えるまで膝枕をさせる』
間違いなく今日来た客人が***に何か話した。それに出発前に「里帰りする」と言った時の、***の明らかにショックな顔も覚えている。元よりクリスマス当日には戻るつもりだったのだ。仕方ない、言う通りにしてあげようじゃないか。
そう思って帰還すると、想像していたより***は甘えてこなかった。かけてきた言葉といえば、「おかえり」「どうだった?」「おやすみ」程度だ。戻った時刻がやや遅かったのもあるかもしれないが、いつもはどんなに遅かろうと遊びたい時には無理矢理俺を付き合わせる。何より一緒に寝たいから呼んだのだと思ったが、どうやら違うらしい。しかしここで気を抜いてはいけない。***がこんなところで止まるヤツではないことは、すっかり教え込まれてしまったのだから。
そして次の日の朝目を覚ますと、案の定というか、夜の内にはいなかったはずの、サンタの礼装を着た***が隣で寝ていた。
「…………」
よくもまあ、ぐっすりと寝ている。
思えば***は俺の本性を知ってから、かなりの確率で俺に寝かしつけを要求したり、一緒に寝ることを強いてきた。もしかして俺がいない間は満足に眠れていなかったのか? まさかそんな、完全に毎日一緒に寝ているわけじゃないんだから。
そう考えながら***を見ていると、不意に一度ぎゅっと目を瞑り、そのあと気が抜けきった顔で、しぱしぱと目を瞬かせた。
「おは……あっ、メリークリスマス!」
頑張ってテンションを上げているが、寝起きの域を出ていない。
「おはよう」
「ぁ〜……、えっと……、サンタさんだよ……! 欲しいものはなに?」
「欲しいものなんて無いよ」
「オベロンうそつき〜」
***がふにゃふにゃ笑う。
「というか、本来サンタって見られちゃいけないものじゃない?」
「えっ? あっ、そっか」
前提が完全に頭から抜けていたようだ。恐らく『私がプレゼント』的な思考が根底に残っていたのだろう。
(どうしよう)
妖精眼がなくても、***が今そう思っていることは分かる。
「欲しいもの一つ訊くのに、こんな回りくどいことしたの?」
「まあそう……そういうコト」
ここで『呼び出されたから仕方なく戻ってきたのにな』、となじることもできる。──でもできれば、今日は、それをしたくない。
「……プレゼントなんて、勝手にサプライズで用意したっていいだろう? というかそうすることの方が多いんじゃない?」
「うん……でも、なんか何考えても、押しつけになるなって。いやぁ人間関係ってそういうものなんだけど……、色んな意味で自信持ててない。よくないな。オベロンは私がしてほしいことも、欲しいものも全部分かってくれてるのに……」
「俺が分かるのは妖精眼があるからだ。比較しない方がいいと思うよ?」
それにしたって***は顔に全部出ているが。──だがこれほどまでに顔に出るのは、俺の前でだけということも、よく知っている。
「ん〜それでも嫌だ……オベロンをもっと分かりたい……」
寝起きの頭で一生懸命に考える***の脳裏に、はっきりと一つの意思が視えた。
(オベロンに嫌われたくない)
ああ、なんともいじらしいことだ!
「とりあえずもう少し寝たら? 始業時間までまだあるよ」
「ほんとぉ? ホントだ……。うーん……」
時計をチラッと見て、***はまた目を閉じる。
「またブリテンに戻るでしょ?」
「どうしようかな。白紙化してて面白いものとかないから、また行くって思うと面倒くさいな」
「ハベにゃんとブリトマートを勝手に置いてっちゃダメでしょ〜……」
「マスターの命令だからいいだろ」
「う〜ん……」
***の呼吸がどんどん穏やかになっていく。
「それにクリスマスのケーキも食べてないし」
「やっぱり食べたいよね……。そうだろうなって、まだケーキ食べてないの……オベロンと一緒に食べたくて……」
***の顔から力が抜ける。アラーム、切ってしまおうかな。
そんな感じで、今日からネモサンタのルートを整備するための戦力として働かされることになった。
「夏服の白は嫌がってたのに、赤はいいんだ?」
「赤はいいの、オベロンのお腹の中の色だから。それにサンタ服着てみたかったんだ!」
「よかったね〜」
『24日の夜から25日の朝だけでいいからカルデアに戻ってきなさい。でないとこっちからそっちに行って、妖精3にんで楽しく話してる中に邪魔をして、毎日太陽が出てから星が消えるまで膝枕をさせる』
間違いなく今日来た客人が***に何か話した。それに出発前に「里帰りする」と言った時の、***の明らかにショックな顔も覚えている。元よりクリスマス当日には戻るつもりだったのだ。仕方ない、言う通りにしてあげようじゃないか。
そう思って帰還すると、想像していたより***は甘えてこなかった。かけてきた言葉といえば、「おかえり」「どうだった?」「おやすみ」程度だ。戻った時刻がやや遅かったのもあるかもしれないが、いつもはどんなに遅かろうと遊びたい時には無理矢理俺を付き合わせる。何より一緒に寝たいから呼んだのだと思ったが、どうやら違うらしい。しかしここで気を抜いてはいけない。***がこんなところで止まるヤツではないことは、すっかり教え込まれてしまったのだから。
そして次の日の朝目を覚ますと、案の定というか、夜の内にはいなかったはずの、サンタの礼装を着た***が隣で寝ていた。
「…………」
よくもまあ、ぐっすりと寝ている。
思えば***は俺の本性を知ってから、かなりの確率で俺に寝かしつけを要求したり、一緒に寝ることを強いてきた。もしかして俺がいない間は満足に眠れていなかったのか? まさかそんな、完全に毎日一緒に寝ているわけじゃないんだから。
そう考えながら***を見ていると、不意に一度ぎゅっと目を瞑り、そのあと気が抜けきった顔で、しぱしぱと目を瞬かせた。
「おは……あっ、メリークリスマス!」
頑張ってテンションを上げているが、寝起きの域を出ていない。
「おはよう」
「ぁ〜……、えっと……、サンタさんだよ……! 欲しいものはなに?」
「欲しいものなんて無いよ」
「オベロンうそつき〜」
***がふにゃふにゃ笑う。
「というか、本来サンタって見られちゃいけないものじゃない?」
「えっ? あっ、そっか」
前提が完全に頭から抜けていたようだ。恐らく『私がプレゼント』的な思考が根底に残っていたのだろう。
(どうしよう)
妖精眼がなくても、***が今そう思っていることは分かる。
「欲しいもの一つ訊くのに、こんな回りくどいことしたの?」
「まあそう……そういうコト」
ここで『呼び出されたから仕方なく戻ってきたのにな』、となじることもできる。──でもできれば、今日は、それをしたくない。
「……プレゼントなんて、勝手にサプライズで用意したっていいだろう? というかそうすることの方が多いんじゃない?」
「うん……でも、なんか何考えても、押しつけになるなって。いやぁ人間関係ってそういうものなんだけど……、色んな意味で自信持ててない。よくないな。オベロンは私がしてほしいことも、欲しいものも全部分かってくれてるのに……」
「俺が分かるのは妖精眼があるからだ。比較しない方がいいと思うよ?」
それにしたって***は顔に全部出ているが。──だがこれほどまでに顔に出るのは、俺の前でだけということも、よく知っている。
「ん〜それでも嫌だ……オベロンをもっと分かりたい……」
寝起きの頭で一生懸命に考える***の脳裏に、はっきりと一つの意思が視えた。
(オベロンに嫌われたくない)
ああ、なんともいじらしいことだ!
「とりあえずもう少し寝たら? 始業時間までまだあるよ」
「ほんとぉ? ホントだ……。うーん……」
時計をチラッと見て、***はまた目を閉じる。
「またブリテンに戻るでしょ?」
「どうしようかな。白紙化してて面白いものとかないから、また行くって思うと面倒くさいな」
「ハベにゃんとブリトマートを勝手に置いてっちゃダメでしょ〜……」
「マスターの命令だからいいだろ」
「う〜ん……」
***の呼吸がどんどん穏やかになっていく。
「それにクリスマスのケーキも食べてないし」
「やっぱり食べたいよね……。そうだろうなって、まだケーキ食べてないの……オベロンと一緒に食べたくて……」
***の顔から力が抜ける。アラーム、切ってしまおうかな。
そんな感じで、今日からネモサンタのルートを整備するための戦力として働かされることになった。
「夏服の白は嫌がってたのに、赤はいいんだ?」
「赤はいいの、オベロンのお腹の中の色だから。それにサンタ服着てみたかったんだ!」
「よかったね〜」