小ネタ(終)12
夢小説設定
※食事を作る行為に性欲を抱いているので注意
「オベロン! きっともう特異点でおにぎり握ったことは知ってるだろうから、今晩は私が部屋でおにぎり作るよ!」
「話が早すぎてもはや情緒なくなってるだろ」
宣言した通り、その日の夕食は***のマイルームでふたりっきり、***が手作りするおにぎりをメインにすることとなった。しかしおにぎりだけでは栄養が偏るので、事前に準備した具沢山の味噌汁も一緒に。
「オベロンおにぎりの具はなにが好き〜?」
「食べたことない」
おひつに分けてきた炊き立ちの米を軽く混ぜ、よく冷えた塩水に両手を浸す。潔癖症の気があるオベロンは、素手で握られることに抵抗があるかもしれないと考えたが、何も言ってこない辺り気にしていないようだ。
「今回の具はねえ、昆布とか鮭とか、私が好きかつ握りやすいものを集めたよ。ツナマヨなんかも好きだけど、崩れやすそうだったから」
説明をされても、オベロンは嫌味もツッコミも言わない。黙って***の手際を見ている。
「……もしかして、特異点で作った時は熱がってたから心配してる? フフ、心配せずとも、今も熱いよ! でもおにぎりってそういうものだからね!! でも対策のためにこの水はキンッキンにしてきたよ!!」
お陰か、特異点で作った時よりよっぽど熱さはマシになっている。何より、オベロンの前で格好つけたい気持ちが***を鼓舞した。
「はい一個目できた!! 私は海苔パリパリの方が好きだから出来たて食べるのをおすすめするよ!」
オベロンの前にある小皿に、こぶりのおにぎりが乗る。中身は鮭だ。***の言葉に従ってか、オベロンは間を置かずにそれを口に運んだ。パリパリ、と良い音が鳴る。一口分食べ終わって、オベロンは言った。
「ふーん、こういう感じなんだ」
それは実質的に褒め言葉だった。
「どんどん食べてね!」
***手作りのおにぎりをたらふく食べあった、次の日。
「じゃ、今日は俺がおにぎり作ってあげるよ。王様なんだから、受けたおもてなしはお返ししないとね」
クエストから帰った直後、オベロンが皮肉混じりにそう言った。
「え゙っ」
「なに、嫌なの? なんならこれが目当てじゃないの?」
「いやっ……それは……」
予想外の申し出に、***は言葉に詰まる。本心から一方的に自分が食べさせて終わりだと思っていたのだ。だが、オベロンの言葉を受けて、一気に動悸がしてくる。
「じゃあ昨日の君と同じような準備してくるから。部屋で待ってなよ」
「い、いや……あの……」
「何?」
「作り終えるまでトレーニングしてきていいかな……? お、オベロンは初挑戦だから、あんまり作ってるところ凝視しない方がよくない……?」
「それならむしろ経験者に見てもらった方がいいんじゃないの。というか、作ってもらう時にいないのは、それはそれで少し薄情じゃない?」
***の理論武装がオベロンに通じない。混乱する中、***の視線は勝手にオベロンの手に移る。いや、本当はとっくに***の本音なぞオベロンには視えている。会話のやりとりは言葉遊びと変わらない。だからもう、本当の理由を言うしかないのだ。
「その……オベロンがその手でおにぎり作るところなんて、さあ……。ちょっと……その……センシティブすぎるから……。味に集中するために、出来るまで別のことしてていいかな?!」
「ああ、そういうこと? 君ってばつくづく……。まあいいよ、行ってきなよ」
こうして今日、***は全力で体力育成をしてくることになった。
***がクタクタになって戻ってくると、部屋のテーブルの上にはふたり分の美しいおにぎりセットが並んでいた。なんと葉物野菜の塩漬けで包んだものもある。
「おいしそー!! いっただっきまーす!!」
体が求める食事が、これ以上ない形で目の前に現れ、***はもう我慢ができない心地だ。薄く笑みを浮かべるオベロンの方を向いて手を合わせると、躊躇いなくおにぎりにがっついた。
「……!! おいしい〜!」
少し固めに握られているが、その食感がむしろ嬉しい。具も、昨日のラインナップに加えて、ツナマヨや牛のしぐれ煮など、***好みのものが加わっている。相変わらずオベロンの凝りようには敵わない。***は幸福感で満たされながら、そう思った。
堪能しつつも、あっという間に平らげて、***は再び手を合わせる。
「ごちそうさま〜!」
食器を食堂に返してくるのは***の役割だ。オベロンにそう申し出た。
再び自室に戻れば、黒い姿のオベロンが、なんとなく資料をめくってくつろいでいる。ベッドの上、彼の隣に座ると、ふと、オベロンが***に身を寄せてきた。オベロンの方から近付いてくるなんて珍しい。慣れない姿に、***の鼓動が高まる。
すると、オベロンはそっと、初めて見るCD-ROMを手渡してきた。***の左側から、小さくオベロンの声が降ってくる。
「はい、これ」
「な……なに?」
「俺がおにぎり作るところを撮影した映像。自撮りしたから」
「えっ……えっ……」
「誰もいないところで見てね」
「あ………………。アアァーーーーーッ!!!」
「うるさい」
「オベロン! きっともう特異点でおにぎり握ったことは知ってるだろうから、今晩は私が部屋でおにぎり作るよ!」
「話が早すぎてもはや情緒なくなってるだろ」
宣言した通り、その日の夕食は***のマイルームでふたりっきり、***が手作りするおにぎりをメインにすることとなった。しかしおにぎりだけでは栄養が偏るので、事前に準備した具沢山の味噌汁も一緒に。
「オベロンおにぎりの具はなにが好き〜?」
「食べたことない」
おひつに分けてきた炊き立ちの米を軽く混ぜ、よく冷えた塩水に両手を浸す。潔癖症の気があるオベロンは、素手で握られることに抵抗があるかもしれないと考えたが、何も言ってこない辺り気にしていないようだ。
「今回の具はねえ、昆布とか鮭とか、私が好きかつ握りやすいものを集めたよ。ツナマヨなんかも好きだけど、崩れやすそうだったから」
説明をされても、オベロンは嫌味もツッコミも言わない。黙って***の手際を見ている。
「……もしかして、特異点で作った時は熱がってたから心配してる? フフ、心配せずとも、今も熱いよ! でもおにぎりってそういうものだからね!! でも対策のためにこの水はキンッキンにしてきたよ!!」
お陰か、特異点で作った時よりよっぽど熱さはマシになっている。何より、オベロンの前で格好つけたい気持ちが***を鼓舞した。
「はい一個目できた!! 私は海苔パリパリの方が好きだから出来たて食べるのをおすすめするよ!」
オベロンの前にある小皿に、こぶりのおにぎりが乗る。中身は鮭だ。***の言葉に従ってか、オベロンは間を置かずにそれを口に運んだ。パリパリ、と良い音が鳴る。一口分食べ終わって、オベロンは言った。
「ふーん、こういう感じなんだ」
それは実質的に褒め言葉だった。
「どんどん食べてね!」
***手作りのおにぎりをたらふく食べあった、次の日。
「じゃ、今日は俺がおにぎり作ってあげるよ。王様なんだから、受けたおもてなしはお返ししないとね」
クエストから帰った直後、オベロンが皮肉混じりにそう言った。
「え゙っ」
「なに、嫌なの? なんならこれが目当てじゃないの?」
「いやっ……それは……」
予想外の申し出に、***は言葉に詰まる。本心から一方的に自分が食べさせて終わりだと思っていたのだ。だが、オベロンの言葉を受けて、一気に動悸がしてくる。
「じゃあ昨日の君と同じような準備してくるから。部屋で待ってなよ」
「い、いや……あの……」
「何?」
「作り終えるまでトレーニングしてきていいかな……? お、オベロンは初挑戦だから、あんまり作ってるところ凝視しない方がよくない……?」
「それならむしろ経験者に見てもらった方がいいんじゃないの。というか、作ってもらう時にいないのは、それはそれで少し薄情じゃない?」
***の理論武装がオベロンに通じない。混乱する中、***の視線は勝手にオベロンの手に移る。いや、本当はとっくに***の本音なぞオベロンには視えている。会話のやりとりは言葉遊びと変わらない。だからもう、本当の理由を言うしかないのだ。
「その……オベロンがその手でおにぎり作るところなんて、さあ……。ちょっと……その……センシティブすぎるから……。味に集中するために、出来るまで別のことしてていいかな?!」
「ああ、そういうこと? 君ってばつくづく……。まあいいよ、行ってきなよ」
こうして今日、***は全力で体力育成をしてくることになった。
***がクタクタになって戻ってくると、部屋のテーブルの上にはふたり分の美しいおにぎりセットが並んでいた。なんと葉物野菜の塩漬けで包んだものもある。
「おいしそー!! いっただっきまーす!!」
体が求める食事が、これ以上ない形で目の前に現れ、***はもう我慢ができない心地だ。薄く笑みを浮かべるオベロンの方を向いて手を合わせると、躊躇いなくおにぎりにがっついた。
「……!! おいしい〜!」
少し固めに握られているが、その食感がむしろ嬉しい。具も、昨日のラインナップに加えて、ツナマヨや牛のしぐれ煮など、***好みのものが加わっている。相変わらずオベロンの凝りようには敵わない。***は幸福感で満たされながら、そう思った。
堪能しつつも、あっという間に平らげて、***は再び手を合わせる。
「ごちそうさま〜!」
食器を食堂に返してくるのは***の役割だ。オベロンにそう申し出た。
再び自室に戻れば、黒い姿のオベロンが、なんとなく資料をめくってくつろいでいる。ベッドの上、彼の隣に座ると、ふと、オベロンが***に身を寄せてきた。オベロンの方から近付いてくるなんて珍しい。慣れない姿に、***の鼓動が高まる。
すると、オベロンはそっと、初めて見るCD-ROMを手渡してきた。***の左側から、小さくオベロンの声が降ってくる。
「はい、これ」
「な……なに?」
「俺がおにぎり作るところを撮影した映像。自撮りしたから」
「えっ……えっ……」
「誰もいないところで見てね」
「あ………………。アアァーーーーーッ!!!」
「うるさい」
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