小ネタ(終)8
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俺の絆レベルが10になった。それ以来、***は俺を常にマイルームへ呼ぶようになった。以前は『申し訳ないから』と躊躇い、ごく稀にしか呼ぶことはなかったが、本心では『十分に関係を築けていない相手を呼ぶ自分を許せない』という理由だったんじゃないかと思う。
***は今同じベッドの俺の横で、うつぶせに肘をついた状態で資料を読んでいる。すっかりリラックスした様子だ。
最近、オベロンの顔を好きになったかもしれない。
整った顔だと認識はしていたが、好き嫌いの感情は一切なかった。にも関わらずそれが揺らぎつつある。顔が好きという感情が一概に悪いとは言えないが、自分の中の大切なものが変化しているのかもしれない。もしかしたら、大切なものを、見失っているのかもしれない。これは由々しき事態だ!! 確かめないと!!
「オベロン……。」
「何?」
「顔を好きになったかもしれないから、剥いでみてもいい?」
「……は?」
「えーっとね、オベロンのことは、考え方とか姿勢が好きなんだ。なのに『顔が好き』と思い始めてるなんて、自分の気持ちが無意識に歪んだのかもしれない。で、同じ悩みを持った人が確認方法として相手の顔を剥いでたから、同じことをさせてほしい」
「それやったの誰? 怖っ。」
「読んだことある漫画のキャラで……」
「志向 はサイコホラーとか?」
「いや学園異能バトル。今度寝る前の話で説明するね」
「で、顔を剥ぐ、ね。実際にやらなくても、『それっぽく』見せるだけでいいんじゃない?」
「たしかに。じゃあお願いしていい?」
「やってもいいけど、やるからには本気だからね」
「うん」
確認をしてくれるところにオベロンの良いところが表れている。彼が一度自分の顔を両手で覆うと、それが外れた時には、顔が剥がれて肉が露わになった頭部があった。
「どう?」
「グロいね」
「そりゃそうだよ」
「あと、喋れなさそうな状態なのに喋ってるから変な感じ」
「そこなんだ」
オベロンが喋る度、口元から額に至るまで、筋肉の動きが微細によく見える。
「……オベロンも、人間と同じ顔の筋肉してるんだね……」
「ちょっと嬉しそうに言うなよ、気持ち悪いな」
今回ばかりはオベロンでなければ縁を切られてもおかしくない気持ち悪さだ。流石に自覚がある。
「キモいこと言うからやめる、もう分かったでしょ」
もう一度彼が顔を手で覆うと、いつもの碧くて大きな瞳の顔が戻った。不満げな口元もいつも通りだ。
「……で、結論は?」
私の横でオベロンが身を横たえる。ほんの少し上目遣いでこちらを見ている。
「オベロンがオベロンとしているなら、いつもと変わらないね」
「分かってよかったね」
「うん。本当にありがとう」
何の心もこもってない声かけに心が温まる。オベロンがオベロンとしていてくれるなら、それだけでいいんだ。
夜が来る。再び床に就いて、眠りの前のひと時だ。既に照明は消して、何も見えないけれど、隣にある体温が確かにその存在を教えてくれる。
「昼に言った漫画の話ね。意外と今まで話してなかったけど、実はこの漫画にはすごい影響を受けてて────」
穏やかな呼吸によって、かすかに寝具が動く音が、眠りに落ちるまで聞こえ続けた。
***は今同じベッドの俺の横で、うつぶせに肘をついた状態で資料を読んでいる。すっかりリラックスした様子だ。
最近、オベロンの顔を好きになったかもしれない。
整った顔だと認識はしていたが、好き嫌いの感情は一切なかった。にも関わらずそれが揺らぎつつある。顔が好きという感情が一概に悪いとは言えないが、自分の中の大切なものが変化しているのかもしれない。もしかしたら、大切なものを、見失っているのかもしれない。これは由々しき事態だ!! 確かめないと!!
「オベロン……。」
「何?」
「顔を好きになったかもしれないから、剥いでみてもいい?」
「……は?」
「えーっとね、オベロンのことは、考え方とか姿勢が好きなんだ。なのに『顔が好き』と思い始めてるなんて、自分の気持ちが無意識に歪んだのかもしれない。で、同じ悩みを持った人が確認方法として相手の顔を剥いでたから、同じことをさせてほしい」
「それやったの誰? 怖っ。」
「読んだことある漫画のキャラで……」
「
「いや学園異能バトル。今度寝る前の話で説明するね」
「で、顔を剥ぐ、ね。実際にやらなくても、『それっぽく』見せるだけでいいんじゃない?」
「たしかに。じゃあお願いしていい?」
「やってもいいけど、やるからには本気だからね」
「うん」
確認をしてくれるところにオベロンの良いところが表れている。彼が一度自分の顔を両手で覆うと、それが外れた時には、顔が剥がれて肉が露わになった頭部があった。
「どう?」
「グロいね」
「そりゃそうだよ」
「あと、喋れなさそうな状態なのに喋ってるから変な感じ」
「そこなんだ」
オベロンが喋る度、口元から額に至るまで、筋肉の動きが微細によく見える。
「……オベロンも、人間と同じ顔の筋肉してるんだね……」
「ちょっと嬉しそうに言うなよ、気持ち悪いな」
今回ばかりはオベロンでなければ縁を切られてもおかしくない気持ち悪さだ。流石に自覚がある。
「キモいこと言うからやめる、もう分かったでしょ」
もう一度彼が顔を手で覆うと、いつもの碧くて大きな瞳の顔が戻った。不満げな口元もいつも通りだ。
「……で、結論は?」
私の横でオベロンが身を横たえる。ほんの少し上目遣いでこちらを見ている。
「オベロンがオベロンとしているなら、いつもと変わらないね」
「分かってよかったね」
「うん。本当にありがとう」
何の心もこもってない声かけに心が温まる。オベロンがオベロンとしていてくれるなら、それだけでいいんだ。
夜が来る。再び床に就いて、眠りの前のひと時だ。既に照明は消して、何も見えないけれど、隣にある体温が確かにその存在を教えてくれる。
「昼に言った漫画の話ね。意外と今まで話してなかったけど、実はこの漫画にはすごい影響を受けてて────」
穏やかな呼吸によって、かすかに寝具が動く音が、眠りに落ちるまで聞こえ続けた。