一周年企画小説
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放課後の図書室は人気がない。図書室がいっぱいになるのはテスト期間くらいで、それ以外の放課後ともなれば片手で数えられてしまう程度だ。
静かな図書室は私のお気に入り。
背伸びをしてお目当ての本を引けば、その両側もこちらに向かって傾いて。
「――むっ‥」
思わず上げそうになった声は大きな手に飲み込まれ、後ろから伸びて来た手が本を押さえる。
仰ぎ見ると真ん中の本だけを取ってくれたラック先生が、私の口から手を離した。
「相変わらず、期待を裏切りませんね」
「ご、ごめんなさい‥」
小声でのやり取り。静かな図書室ではそれすらも聞こえてしまうんじゃないかとドキドキする。
「その本‥?」
「はいっ、先生が前に授業で話してたやつです。日本語訳されたものですけど‥先生が感動したって言ってたから、私もその気持ちを知りたいと思って」
「‥‥‥、」
にこにことラック先生を見上げていると、先生はじっと私を見て。
「? ラックせ、んっ‥」
一瞬のうちに後頭部に手が回され唇を塞がれた。
こんな、いつ見つかるかも分からないような場所で。
「‥せんせ‥‥んぅ‥っ」
抗議しようとすると今度は口角を変え隙間を無くすように重ねられてしまって、先生のスーツの袖を掴んだ。
「先生ー、ラック先生いらっしゃいますか?」
離れた位置から聞こえた声にびくりと肩を上げると、名残惜しそうに下唇を挟み込むようにしてゆっくり離される。
「ユウがあまりに可愛いことを言うのでお仕置きです。‥また後で」
そう耳元で囁いて、本棚から出ると何事もなかったかのように声の主と合流し図書室を出ていくラック先生。
「‥‥‥、」
ずるずるとその場に座り込み唇に触れる。きっと今私の頬は真っ赤に染まっているのだろう。
「先生の、ばか‥」
‥しばらく収まりそうにない。
そんなこんなで、秘密の恋、継続中。
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