20000打企画小説
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「ンのクソ野郎がァ!!!」
「っに゙‥!?」
ドアが壁に叩きつけられた音に驚いて、飛び起きた勢いでソファーから落ちた。
バクバクと脈打つのを感じながら、ただ瞬きを繰り返す。
「ベル兄‥」
「‥‥‥‥」
ガンドール・ファミリーの事務所で私は本を読んでいたはずだったけれど、いつの間にか眠っていたらしい。
膝にかかる背広を胸に抱いて、恐る恐るソファーに座り直す。
「わ、悪ィ」
二人の責めるような視線にベルガさんがバツが悪そうに頭をかいた。
「大丈夫ですか?」
「、びっくりした‥」
背もたれ越しにラックさんが頭を撫でてくれる。続いて立ち上がったキースさんも。
「ラック、兄貴と出てくる。お前はこれやっとけ」
「これ‥ベル兄の分‥」
「俺ァ忙しいんだよ!」
「‥‥‥」
部屋を出て行く二人を見送って、隣に腰を下ろしたラックさんに背広を差し出した。
「これ、ありがとうございました」
「どういたしまして」
話したり本を読んだり、ソファーに並んでいるだけで幸せだと思える。
「、もしかしてラックさん‥寝不足?」
資料に目を通しているラックさんを盗み見れば、なんだか眉を寄せていて。
そういえば、昨日も一昨日も帰りが遅かった。
いえ、と否定しようとしたラックさんを訝しげに見つめれば、苦笑しながら肯定に変える。
「明日には片付きそうなので大丈夫ですよ」
それって、明日までは寝られないってことだよね‥?
悶々と考えていれば頭に手が乗せられて、ありがとうございます、と微笑むラックさんに。
「‥‥、いいこと思いついた!」
「‥?」
肘掛けギリギリに座り直して、ぽんぽんと膝を叩く私に尚も首を傾げている。
「寝ていいよ?」
「‥‥‥はい?」
「枕、どーぞ!」
もう一度膝を叩く私に意味が分かったのか、目を見開いたラックさんが口元を覆った。
「‥‥ユウ、それは、」
「‥私じゃ、イヤ?」
「っ‥そういう問題では‥」
じいっと上目遣いに見つめれば、しばらく無言が続いた後。
ひとつ咳払いをして、ラックさんが膝に頭を乗せた。
三人掛けのソファーでもラックさんが横になって収まる訳もなく、肘掛けに乗せるようにして脚を立てる。
私が言い出したことだったけど‥
「なんか、恥ずかしいねぇ」
「それを貴女が言いますか‥?」
ラックさん耳が真っ赤。
ラックさん可愛い、と零して思わず笑うと思いきり眉を寄せられてしまった。
「‥‥変な感覚ですね」
「?」
「こうして‥ユウを見上げるのは」
ラックさんの手が頬に触れる。それも一瞬で、力なく胸に落ちた手に目を瞬く。
ラックさんの目は閉じられ呼吸と共に胸の上で上下する手。
「(‥‥寝るの早い)」
よっぽど疲れてたんだなあ‥とそっと手の甲に重ねるように指を絡めれば、その指を挟み込むように入れられた力に。
「(可愛いっ‥!)」
表情は色気すら漂うほど綺麗なのに、行動が赤ちゃんみたいだ。
私にその手が解けるはずもなく、むくむくと湧き上がるどうしようもない幸せに顔を綻ばせて。
起こさないようにそっと、空いた左手で読みかけの本に手をかけた。
ゆっくりと包む空間
(ンだこれ‥揃って寝てやがる)
(‥‥‥写真屋を呼べ)
(‥‥‥兄貴‥?)
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