1951 あるカップルについて。1
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ガンドール・ファミリー、構成員の話
最初の感想は「何だコイツ」だったな。ボスに‥ラックさんの背中にくっついてビクビク怯えてるのを見て、毛逆立てて警戒してる猫みてぇだと思った。
詳しい話もされねぇし、ただボスたちからは傷つけるな泣かせるな怯えさせるなっつー命令があって、まあ怯えさせんなってのは無理があったが手を出すやつはいなかったな。
チックのヤツとはわりと早く馴染んで、あとは何かとボスの傍にいることの多かったニコの兄貴にはいつの間に懐いてた。
それからだな、兄貴にくっついて他の構成員とも話すようになったのは。
俺が初めて話したのは確か‥ああ、あれだ。俺含む構成員4人で仕事こなした帰りに、すげぇ人数に囲まれてボコられたことがあってよ。
うるせぇ!油断したんだよ!まさか他にあんだけ仲間が残ってるなんて思うかよ。‥まあそれで、俺もボコられて意識無くしてたんだが、誰かが揺らすんだよ。痛ぇ体を。
目開けたら泣きそうな顔で覗き込んでる嬢ちゃんがいて、俺の名前呼ぶんだ。教えてねぇのに、近くに転がってる他のヤツの名前も同じように。
んで、急に立ち上がっていなくなったと思えばしばらくしてニコの兄貴たちが来て、俺らは事務所に戻った。
そこで初めて全員の名前覚えたのかって俺から話しかけたら嬢ちゃんどうしたと思う?
嬉しそうに笑いながら、「ニコさんとラックさんに教えてもらったんです!」だと。ああ、これはかなわねぇと思ったね。気が抜けた。
良く分かんねぇがあの頃はラックさんとも付き合ってなかったんだろ?俺らん中ではてっきりラックさんの女だと思ってたんだがよ。
それがはっきりしたのは‥あれだな。つーか見ちまったんだよ、俺。部屋の前通った時に、‥あれだ、ラックさんが本棚に嬢ちゃん追い込んでるとこ。
あれは完全に獲物追い詰めた男の顔だったぜ。
ラックさんは俺に気付くとそれでも動じずに人差し指を口に当ててよ、余裕たっぷりに笑みを返された時にはさすが俺らのボスだと思っちまった。関係ねぇのに。
は?当たり前ェだろ!俺はボスを尊敬してる。あぁ?三人ともだよ!何だ‥?お前俺に今からひとりひとりボスの魅力語らせてぇのか。眠れねぇぞ今日は。
チッ‥んで、どこまで話した?ああ、そこまでか。
まあとにかく、嬢はいつの間にか馴染んでたな。古株にもすっかり可愛がられてよ、今では構成員のが嬢ちゃん構ってるのよく見るぜ。
ラックさんは来客のこともあって嬢をボスたちの部屋から出したがらねぇが、嬢は古株に昔のラックさんのこととか聞いて回っては担がれて回収されていく姿がなんとも平和だったな。まあ嬢ちゃんは懲りないんだけどな。
あ?やめてほしいこと?何だよ急にそんなものあるわけ‥‥ある。あったわ。
なんつーかよ、すげぇ甘いんだよ。空気‥とでも言うのかありゃ。反応しずれぇだろ‥。
顔真っ赤にして部屋から出てきた嬢ちゃんに何て声かけろってんだ?偶然部屋の前通った時に、鼻から抜けるような嬢の声が漏れて聞こえてきた時にはどんな顔してラックさんに会えばいいんだよ‥なあそうだろ!?
誰も暗黙の了解で言わねぇが‥あれはキツイぜ。
‥まあ何にせよ、あの二人が別れることはねぇ。男女の関係でこう言い切るのは普通なら不可能だが、俺は断言する。
あん?理由?そんなもんなぁ‥構成員にラックさんとのことからかわれて顔赤くしてりゃあな‥
付き合って20年過ぎてんだぜ?変わらねぇ嬢ちゃんに拍手を送りたくなるね、俺は。
あるカップルについて。1
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