02.少女は迫る気配を無意識に感じ取る
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「なあ‥何かユウ拗ねてないか?」
夕飯時を少し前にした頃訪れたガンドール一行。
明らかにふくれているユウはキースの隣に座り、黙々とココアを口に運んでいる。
たまにこっちを振り返ってはふいっと逸らす姿に、ラックが小さく笑った。
「少しイジメすぎましたね。反応が可愛かったのでつい」
「‥‥ユウが可哀想に思えてきた‥」
「はい?」
ラックって無自覚にSだよな‥一番タチ悪いタイプだろ‥
「ユウ、あまり飲むと夕飯が食べれなくなりますよ」
「‥‥大丈夫ですよー」
「反抗的だな」
ラックが苦笑してユウに近付いていくのを肩を叩いて見送る。
「あのラックがねぇ‥」
ユウが現れる前にも、ラックさえ動けば彼女になり得る女はいた。それこそ‥何人も。
それでもラックは相手にせず、ベルガに良く問いただされていたのを見たものだ。
1年前のことがあってからは尚更‥人と距離を置くことが多くなったように思う。
育った環境もあると思うが、ラックが無邪気に笑っていたのは一体何歳までだったか。
‥そんなラックがあの日連れて来たユウを見た時は、それはもう驚いた。
生活音にすら怯えるユウにラックも困惑した様子だったが、徐々にユウも懐いていき。
ユウに見せる笑顔は他の人間に見せるものとは違い、その内俺やキースたち兄弟に見せるものとも変わっていった。
俺たちですら初めて見るような、優しさを含んだ笑顔。
俺も、多分キースも、あの笑顔を見た瞬間にラックの気持ちに気がついた。
「ええ、何が食べたいですか?」
どうやらいつの間にかユウの機嫌を直すことに成功したらしい。
嬉しそうに話しているユウに、笑わずにはいられなかった。
「ユウさんって可愛いですよね」
声をかけてきたエニスもクスクスと笑っていて、俺的にはエニスが可愛い‥とか思っていても言えるはずもなく。
「ラックさんに心を開いてるのが良く分かりますし、とても‥幸せそうです」
幸せ‥か。確かに、今のユウにはその言葉が一番似合う。
「‥そうだな」
あの二人が出会えてよかったと‥見ていると心からそう思える。
「、フィーロ?」
「ん?」
不思議そうに首を傾げるエニスを見て初めて、自分の顔が笑っていることに気がついた。
「嬉しいんだ」
「嬉しい‥?」
「ああ」
あいつらを見てると、幸せの象徴に触れているようで。
「‥うわ、らしくねぇ」
自分に苦笑して、エニスと共に騒がしい輪の中に入っていく。
とにかく俺は、こいつらが幸せそうにしているのを見るのが好きらしい。
せいぜい俺の楽しみを無くさないように、後でラックに釘を刺しておくか。
この隙だらけの猫から目を離さないように‥と。
***
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