01.目覚めた少女は幸せを実感する
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珍しく朝早くに目が覚めた。
時計を見るとそろそろラックさんの起きる時間で、私はごろんと寝返りを打った。
ラックさんの寝顔は綺麗だけど、固めていない髪がおりて無防備でなんだか可愛い。
もそもそと移動して、私はラックさんの胸に額を擦り寄せた。
「‥ん‥‥ユウ‥?」
掠れた低い声が頭上から落ちてきて、私は返事の代わりにキュッとシャツを握る。
「また‥嫌な夢でも?」
首を振ると促されてラックさんの腕に頭を乗せた。
甘えているだけだと分かったのか、反対の手で頭を撫でてくれる。
「‥ラックさんの匂い好き」
髪を梳くように指が絡められて、気持ちよさに目を細める。
好きな人の匂いに包まれて眠るのは、安心するし幸せだ。
「まだ眠いんですか?」
「ん‥」
眠いけど今は寝たくない。
今は甘えていたくて、背中に手を回してギューッと力を入れた。
視線を上げるとぶつかった瞳が私を見つめて。
額に唇が押し当てられて目を閉じると、次には優しく唇が重ねられて、私は頬が紅く染まっていくのが分かった。
「慣れませんね、ユウは」
クスリと笑うラックさんの指が頬を撫でる。
どうしよう‥‥もっと、触れてほしい。
‥こんなこと思ってしまうのが恥ずかしくて、一度見上げてから耐えられずに瞳を伏せる。
「‥‥もう一回、だけ」
服を引いて恐る恐る見上げると、突然視界が覆われた。
「その瞳を見たら‥止められなくなる」
「んっ‥」
暗闇は私の神経を唇に集中させる。
さっきの触れるだけのキスじゃなくて、何度も角度を変えて私の唇を塞いで。
「ふ‥‥んんっ‥」
苦しくなって服を引けば、名残惜しそうにゆっくりと離れていった。
「‥本当に、可愛いですね貴女は」
私は息を整えるのに必死なのに、ラックさんは平気な顔。
私がむくれると、キョトンとしてから小さく笑って抱き締めてくれた。
私は多分、今以上の幸せを感じたことがない。
「ユウが起きるにはまだ早い。もう少し眠ってください」
こくりと頷く。頭を撫でてくれる大きな手は温かくて、私はうとうとと意識が微睡むのを感じて。
「‥行ってきます」
意識が落ちる前、額に柔らかい感触がした気がする。
次に目を開けた時には外はすっかり明るくなっていて、私はいつの間にか寝ていたのだった。
「魔法みたい‥」
跳ねてしまった髪を撫でながら、さっきまでラックさんが触れていたのだと思ったら頬が弛む。
ふわふわと飛んで行きそうな気持ちを落ち着かせてから家事を済ませ、ケイトさんの手紙を傍に便箋を広げた。
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