07.少女はまた渦中へと引き寄せられる
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「もしかして‥ユウの恋人ってロニーなのか?」
「列車で言ってた大切な人だねっ!」
アイザックさんたちにがしっと両肩を掴まれて、慌てて兄だと訂正する。
「兄!?兄弟だったのか!」
「あれ?なら恋人は?」
「ラックだよ」
ぐるりとフィーロさんに体を寄せ私の方に戻ってくる二人に思わず後退る。
「し、知ってるんですか?」
「ああ!知ってるとも!あのラックとユウが恋人だったのかー」
「末っ子だね!」
知ってたんだー‥後でラックさんにも聞いてみよう。
それにしても、列車で出会った人が知り合いの友人だったなんてすごい偶然だ。
友人と言えば‥ジャグジーたちはどうしたんだろう?無事だよね?それに‥
「アイザックさん、チェスくんは‥?」
「チェスならエニスにプレゼントしたぞ?」
「へ?‥プレゼント?」
「そう!弟にしたの!」
弟にした?疑問にぐるぐると考えを巡らせていれば、マイザーさんが輪に加わっておかえりと頭を撫でてくれた。
「チェスは私の古い友人なんですよ。これからはフィーロの家に住むことになりました」
「そうだったんですか‥じゃあお隣さんですね」
「はい。今は出掛けていますが、これからよろしくお願いしますね」
そっか‥よかった。でもチェスくんって実質私よりすごく年上‥?
とりあえず、会ったら普通に話しかけてみよう。下手に気を使うのも違う気がする。
「それにしても‥すごいドミノの数ですね」
「本当に、何に使うのかと思ったぜ」
「え?‥倒すためだよね?」
「は?」
フィーロさんと顔を見合わせてぱちりと瞬き。
「ドミノは倒すためにあるんだよね?」
「いや‥ドミノはトランプと同じで色んな遊び方があってだな、」
「うおおっ!?真のドミナーがここに!」
「ユウすごいっ!最強のドミニストだね!」
‥よく分からないけれど、私の知るドミノの使い方は間違っていたらしい。
マイザーさんにデザインを見せて貰ったけどすごかった。だってフェニックスって‥
少し手伝って、最後にお土産を渡してから私はアルヴェアーレを後にした。
ミリアさんたちとは今度一緒にご飯食べに行く約束もしたし、すごく楽しみだ。
「はー‥さむ‥」
皆と話しすぎて少し遅くなってしまった。
電話を入れてから帰ろうと公衆電話から事務所にかけると、取ったのはチックさんで。
ラックさんたちは用ができて外出したそうで、今から帰りますとチックさんに告げれば何かを思い出したような声が聞こえた。
『クレアさんがおつかい頼みたいんだってー』
「え?おつかい、ですか?」
クレアさんもラックさんたちと一緒に出たらしく、予約しておいたものを取りにいってほしいということだった。
「分かりました。駅前の本屋さんですね?それが終わり次第帰ります」
『気をつけてねー』
多分、クレアさんのことだからおつかいのことラックさんには言ってないんだろうなぁ‥
私は苦笑しつつ、ならラックさんたちが帰る前に戻らなければと鼻までマフラーに埋める。
見上げた空は陽が沈み始めていて、急いで行けば大丈夫だと慌ててタクシーに乗り込んだ。
「グランド・セントラル駅までお願いします」
***
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