05.少女は自分の生き方について決意する
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ドォォン‥!
車内に響く爆発音。耳を塞ぎながらそれを放つニースを見やれば、その表情は恍惚としていて。
「こんなに連続でダイナマイトを使えるなんて、私は今凄く幸せです」
「ニース‥?」
ため息をついて壁際に腰をおろしたニックさんの隣にしゃがむ。
ニックさんいわく、ニースは爆弾が大好きなのだとか。
ダイナマイトなんて初めて見た‥
ニースは楽しそうに次々とダイナマイトに火をつけては投げる。
「そういやハンカチ、ありがとな。ジャックも礼言ってたぜ」
「ジャックさん、大丈夫ですか?」
「とりあえず近くの部屋に寝せてきた。まあ黒服も白服も、あんな状態の人間わざわざ殺したりもしねぇだろ」
「そう、ですよね」
よかった、と小さく安緒の息を漏らせば、じっと視線が向いているのを感じて。
「? ニックさん?」
「はっ、いや、何でもねぇ!」
慌てたように視線を逸らした彼に首を傾げていると、ニックさんがニースに声をかけて部屋を出ることになった。
窓枠に手をかけたニックさんを不安になって見上げれば、彼はにかっと笑って。
「大丈夫だって!俺が上から引っ張り上げてやっから」
走っている列車の窓から出て屋根に乗る、なんて想像しただけで怖い。
振り返るとニースはにこっと微笑んで、最後に一本だけとダイナマイトに火をつけているところで。
「ギャッ!」
ニックさんが窓から身を乗り出したかと思うと、次の瞬間には床に倒れていた。
窓から現れたグースが両手に構えた銃を二人に突きつける。
「チェックメイトだ、屑ども」
私に向けられていないのは多分、二人より危険度が低いと認識されているからだろう。
私をチラリと見て動けずにいるのを確認すると、ニースの方へ顎で促した。
「まさか服の下にマイトを仕込んでいたとはな、お嬢さん。紳士的に扱ったのが裏目に出てしまったようだ」
ニースの隣に立つと二人に向けた銃に力を込めながら、残りの爆薬を全て出すようにと私に命令する。
チラリとグースを見た後小さく頷いたニースに、私は服の裏にある爆薬を取り出していった。
「まさかこんなにあるとはな」
近付いてきたグースはその腕を振り上げ、銃を握ったままニースを殴りつける。
呻き声を上げたニースに手を伸ばした私は、直後視界の端に映った黒に咄嗟に顔を背けた。
「連帯責任だ」
「っ!」
頭に強い衝撃を受けて一瞬方向感覚が飛んだ。
次には銃声とニックさんの悲鳴が耳に届き、まだ復活しない機関にぼやけた視界がその様子をとらえる。
「やめ、て‥っ」
「静かにしていろ、愚図が」
銃口がニックさんの頭に向けられている。
口も上手く回らなくて、頭に強く刺激を与えられるとこんなにも無力になるのだと初めて知った。
「っ‥やめて!」
私の声に重なるように勢い良く扉が開く。
銃声にギュッと目を閉じていると誰かに腕を引かれて、誘導されるがままに部屋を出た。
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