05.歯車は少女をまき込み加速する
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「あの女で間違いねぇんだな?」
「はい、黒髪黒目の東洋人。この間ヤク中の男を差し向けた時の監視いわく、ラック・ガンドールの女で間違いないと」
路地に止めた車から二人の男が視線を向ける先には、喫茶店の前を掃除している少女。
「ククッ‥あの情報はガセじゃねぇってことか」
男は楽しげにに目を細め、ガラス越しの彼女を指で撫でる。
「あの女‥監視の奴が上物だって言ってましたが本当ですね」
「東洋人は年齢低く見えんだろ?2、3見積もっても15、6‥‥十分金にはなるだろうな」
汚い笑い声が車内に響く。
男は少女を舐めるように眺め、ニヤリと口角を上げた。
「あの男の顔がどれだけ歪むか‥楽しみにしてるぜェ?」
「決行は」
男はもう一人の男の問いに短い間を起き‥‥その声はやけに、車内にはっきりと響いた。
「――明日だ」
***
「ええっ!?ライトそれ本気?」
「な、なんだよ、折角決断したんだから不安になるようなこと言うなよな」
喫茶店、カウンター越しに友人の話を聞いていたジルは、落としたタオルを拾い上げた。
「とにかく!俺は決めたんだ」
まっすぐ見据えるライトに、ジルはふっとため息をつく。
「そっか」
「じゃあ、ジル。よろしくな」
カラン、と音を立てて出た店先で、掃除していた少女と話しているのが見える。
「本当、ライトはユウちゃんのこと好きよねぇ」
後ろからかけられた声に苦笑で返して、ジルは外から自分に上げられた手に振り返した。
「ライト、告白するんだって」
「え‥ライトそれ本気で言ってるの!?」
先ほどの自分と同じような反応に困ったように笑いながら、ジルは頷く。
何故こんな反応なのか。それは二人が彼女はラックと暮らしていて、彼女がラックを好きだと知っているから。
もちろん彼はそんなことは知らない訳で、だからと言ってそれを教える権利も止める権利もジルにはないのだ。
もう一度ため息をついたジルは内心ライトに謝りながら、友人として彼を応援するのだった。
「で、ライトは何て?」
「ああ、うん。休憩時間教えてくれってさ」
シェリルはなるほどと頷いたあと、思い出したように首を傾げた。
「そういえば、いつ告白するの?」
「‥‥明日、だって」
カラン、と音を立てて扉が開く。
「えぇっ!?」
シェリルの声に、ユウは不思議そうに二人を見て首を傾げた。
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