04.それでも少女は嬉しそうに笑う
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「は‥‥この写真に写っている少女について、ですか?」
「ああ。情報屋なら何か知ってんだろ」
「何か、とおっしゃいますと?」
DD新聞社。ある個室で、その取引は行われていた。
英語版デスクであるニコラスの前にはどう見ても堅気ではない男が腰を据えており、陳腐な威圧感を放っている。
そういったものには多少免疫のあるニコラスは特に動じず、笑顔で交渉を続けていた。
「私たちは提供した情報に見合っただけの新たな情報と報酬をいただいております。お客様の知っていることまで私が話しても‥お客様には何のメリットもないのでは?」
「あ゙?あぁ‥‥そうだな」
男はあっさりとその提案を受け入れる。それが“この男はここまでの情報を把握している”という新たな情報になっていることにも気づかずに。
「なるほど‥‥この少女があのガンドール・ファミリーと深い関係にある、ということは掴んでいるのですね?流石です、お客様」
――家すら掴んでいないのか。
大した力はないと判断したニコラスは営業スマイルを浮かべたまま男を見やる。
「では新たな情報としては何故お客様が彼女を探すのかという理由‥‥でよろしいですね?」
「‥‥いいだろう」
「交渉成立ですお客様。ならば早速、」
ニコラスは咳払いをした後、脳内に入っていた情報を引き出した。
「――彼女の名は、ユウ・スキアート」
‥それが彼女の日常を崩すものだと分かっていながら。
***
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