03.情報屋は少女の影に惑わされる
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「話し合いで終わっていただけると嬉しいのですが‥そうもいかないようですね」
「ひっ‥‥ぎゃああぁあ!!!」
骨の折れる音と男達の悲鳴が響く。
慣れきったその状況を横目に、ラックは夜も更けた空を見上げた。
あの酒を飲んでから日和ったと自負していながらも、彼は再びそれを自覚することになる。
「死ねぇえ!!!」
「っ‥!」
ズブリ、と後ろから首に冷たいそれが刺さっていく。
勢いよく血が吹き出し、ラックが倒れると刺した男は狂ったように口元を歪め笑った。
「ふ‥ははっ!ぎゃはははっ!ひはははは――があっ!?」
しかしそれが続くことはなく、声と同時に男の意識が闇に落ちる。
「何油断してんだ!ラック!」
「っ‥、ごめんベル兄」
首を鳴らし、砂を払いながら身を起こすラックに男たちは自らの目を疑った。
「い、今死んだはずじゃ‥!?」
「ひ‥‥ばっ、化け物!!」
「化け物とは失礼ですね‥それより服が破れてしまいました。新調したばかりだったんですが」
「じゃあそれも含めて請求してやれ!ま、お前等は帰れねえが、な!」
バキッ。骨が折れる音が辺りにこだまする。
そして後日。ルバニエ・ファミリーの元へ戻ってきたのは部下ではなく、カジノや酒場そしてスーツの請求書だった。
***
「‥‥ッの野郎‥!」
請求書は修復不可能な程に破かれヒラヒラと宙を舞う。
「たかが弱小のファミリーだろうが‥何故始末できねぇ!」
「す、すみませんガイルさん!」
「幹部のオレとお前ら部下、それでも十分潰せるはずだったよなァ?」
部下は身を竦め、言葉を飲み込む。
そのはずだった。だが、何度送り込んでも彼らに傷を残すことはできずにいるのが現状で。
「こんなに馬鹿にされて今更ノコノコ引き下がってたまるか」
散り散りになった請求書の紙屑を踏みつぶしながら、ガイルと呼ばれた男は拳を握りしめる。
「何としても潰してやる‥‥テメェら!」
「はい!」
「いいか、奴らの行動を見張れ。どんな小さな弱みでもいい見つけて来い!」
部下が部屋を出て行った後、残されたガイルは怒りに満ちた目でニヤリと笑った。
「必ず‥‥跡形もなく潰してやる。ガンドール‥!」
ガイル・ジャイロ。
最近ルバニエ・ファミリーの幹部になり、ガンドールのシマを狙う男。
このガイルこそが、これから何も知らないユウを闇をに引きずり込む張本人である。
***
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