◇暗殺チーム◆
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冷たくて透き通る赤。
シャリシャリと音を立てると、すっと溶けて生温い口の中に涼をもたらす。
「凪子、お前が食べているそれは何だ? 」
涼しげな銀色の髪をした長身の男、リゾット・ネエロは同じチームのメンバーであり想い人である凪子に問いかけた。
「ああ、これ? これはかき氷っていう日本のドルチェよ 」
日本人である彼女は、時々こうして日本の文化をリゾットや他のメンバーに教えている。最近では、イルーゾォがたこ焼き作りに没頭し「許可する! 」「許可しないィ! 」などと言って、何やら中に入れる具を選別しながらコロコロとたこ焼きをひっくり返していた。
「なるほど。これを作るにはたこ焼き、とやらの様に特殊な機械でも使うのか?」
「その通り! この機械に氷をいれてハンドルを回すだけ。簡単でしょ? 」
凪子はリゾットのために氷を継ぎ足す。機械の下には氷を受ける器を置いた。その器は切子硝子と呼ばれており、ガラスの表面に特殊な加工が施されている。器の本体はコバルトブルーのガラスで規則的に切り込みが入っている。その模様は非常に美しく、カットされたダイヤや花、雪の結晶の様な形をしている。
「綺麗でしょ? 切子硝子っていうの。これは鹿児島産だから正しくは薩摩切子かな 」
「随分と豪華な器だな。高そうだから割らないように気を付けなければ」
凪子がくるくるとハンドルを回すと、削られて雪の様になった氷がキラキラと輝きながら器の中に落ちて行く。リゾットは器の中の小さな世界に雪が降り積もる様子をじっと眺めており、しばらくすると器から溢れそうなくらいの大きな雪山が出来上がっていた。
「ほう。この上に色のついたシロップをかけるのだな? 」
赤、青、黄色、それから緑。カラフルなシロップが瓶に入って並んでいる。凪子は濃いめに煮出した甘い紅茶やカフェオレなんかも良いと提案した。リゾットはどれにするか真剣に悩んでいる。凪子はどんどん溶けて行く氷を見ながら焦っていた。
「早く決めないと溶けちゃうよ! はい、じゃあもうこれね 」
「あっ……! おい! 」
リゾットは声をあげたが、間に合わなかった。凪子は先ほど彼女が食べていた物と同じ苺のシロップをかけている。
「勝手にかけてごめんね。でも苺のシロップは絶対おいしいから! 」
彼女はそう言うと、親指についたシロップをぺろりと舐めた。ほんの少し唇についた透き通る様な赤色と相まって、その姿はとても官能的である。
「なんだ凪子、誘っているのか? 」
凪子よりも遥かに高い長身の身体をぐっとを屈めて、長い指を彼女の顎にかける。そのまま顔を引き寄せると、二人の唇はくっつきそうな距離までに近づいてしまった。
甘い香り。二人だけの空間。
まるで時間が止まったかのように錯覚してしまいそうだ。
「ねえリゾット 」
彼女は、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で囁いた。返事をするかのようにリゾットは眉を潜める。
「あなたの瞳と同じ。透き通るような赤色ね 」
「ああ、お揃いだ 」
透き通る赤色も、夢中にさせる蕩ける甘さも。
お揃いね。
シャリシャリと音を立てると、すっと溶けて生温い口の中に涼をもたらす。
「凪子、お前が食べているそれは何だ? 」
涼しげな銀色の髪をした長身の男、リゾット・ネエロは同じチームのメンバーであり想い人である凪子に問いかけた。
「ああ、これ? これはかき氷っていう日本のドルチェよ 」
日本人である彼女は、時々こうして日本の文化をリゾットや他のメンバーに教えている。最近では、イルーゾォがたこ焼き作りに没頭し「許可する! 」「許可しないィ! 」などと言って、何やら中に入れる具を選別しながらコロコロとたこ焼きをひっくり返していた。
「なるほど。これを作るにはたこ焼き、とやらの様に特殊な機械でも使うのか?」
「その通り! この機械に氷をいれてハンドルを回すだけ。簡単でしょ? 」
凪子はリゾットのために氷を継ぎ足す。機械の下には氷を受ける器を置いた。その器は切子硝子と呼ばれており、ガラスの表面に特殊な加工が施されている。器の本体はコバルトブルーのガラスで規則的に切り込みが入っている。その模様は非常に美しく、カットされたダイヤや花、雪の結晶の様な形をしている。
「綺麗でしょ? 切子硝子っていうの。これは鹿児島産だから正しくは薩摩切子かな 」
「随分と豪華な器だな。高そうだから割らないように気を付けなければ」
凪子がくるくるとハンドルを回すと、削られて雪の様になった氷がキラキラと輝きながら器の中に落ちて行く。リゾットは器の中の小さな世界に雪が降り積もる様子をじっと眺めており、しばらくすると器から溢れそうなくらいの大きな雪山が出来上がっていた。
「ほう。この上に色のついたシロップをかけるのだな? 」
赤、青、黄色、それから緑。カラフルなシロップが瓶に入って並んでいる。凪子は濃いめに煮出した甘い紅茶やカフェオレなんかも良いと提案した。リゾットはどれにするか真剣に悩んでいる。凪子はどんどん溶けて行く氷を見ながら焦っていた。
「早く決めないと溶けちゃうよ! はい、じゃあもうこれね 」
「あっ……! おい! 」
リゾットは声をあげたが、間に合わなかった。凪子は先ほど彼女が食べていた物と同じ苺のシロップをかけている。
「勝手にかけてごめんね。でも苺のシロップは絶対おいしいから! 」
彼女はそう言うと、親指についたシロップをぺろりと舐めた。ほんの少し唇についた透き通る様な赤色と相まって、その姿はとても官能的である。
「なんだ凪子、誘っているのか? 」
凪子よりも遥かに高い長身の身体をぐっとを屈めて、長い指を彼女の顎にかける。そのまま顔を引き寄せると、二人の唇はくっつきそうな距離までに近づいてしまった。
甘い香り。二人だけの空間。
まるで時間が止まったかのように錯覚してしまいそうだ。
「ねえリゾット 」
彼女は、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で囁いた。返事をするかのようにリゾットは眉を潜める。
「あなたの瞳と同じ。透き通るような赤色ね 」
「ああ、お揃いだ 」
透き通る赤色も、夢中にさせる蕩ける甘さも。
お揃いね。
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