ガラスの靴を捨てたなら。
あなたのお名前は?
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ネアポリス駅近くに新しくオープンした人気のリストランテ。プロシュートとペッシはテラス席で爽やかな風を感じながら午後の一時を過ごしている。
「おいペッシ~……? 今お前の目の前にあるそれはなんだ? 」
「チョコレートのタルトだよ兄貴! 」
「そうだな正解だ。良くできたぜペッシ。じゃあその隣にあるカップには何が入ってるんだァ~~~!? 」
チョコレートのタルトはイタリア語でトルタ・アル・チョコラート(Torta al Cioccolato)といい、チョコレートがとても濃厚なため薄く焼いてある。プロシュートはチョコレートのタルトにはコーヒーを合わせる方が良い筈だ。それなのに何故お前はミルクを合わせる。だからいつまで経ってもマンモーニなんだ!とペッシに言い聞かせている。
すると店員が彼らの近くにやって来て、店が混雑しているから相席をお願いしても良いかと声を掛けてきた。二人はそれを承諾すると、一人の女性客が席にやってきた。
「すみません。相席して頂いてありがとうございます。」
申し訳なさそうに席ついた一人の女性客は見たところ日本人の様だった。プロシュートは普段なら女性にはぐいぐいと話しかけていく所だが、今回はそういうわけには行かなかった。
「(ジャポネーゼ? この女……どこかで見た覚えがある)」
プロシュートは記憶を丁寧に辿っていき、ある組織の一つのチームに辿り着いた。
「(ブチャラティのところの女だ! )」
向こうはこちらのことを知る筈もないが、余計は問題を起こさないためにもとにかく出来る限り早くここから離れた方が良い。だが、彼もペッシもケーキやコーヒーがまだ皿に残っていたためそうすることは出来なかった。とりあえず今は当たり障りなく対応してやり過ごす他ならない。
「チャオ、シニョリーナ。俺たちの言葉気にせずゆっくりすると良い。 」
「ありがとう。ところであなたたちの食べているケーキかしら? それ、とても美味しそうね」
ペッシは少し照れながら、これはチョコレートタルトでコーヒーと一緒に食べると美味しく、ミルクと一緒に食べても美味しいことを女性客に伝えた。詳しい説明をありがとう、と彼女はペッシに微笑み、店員に声を掛け同じものを注文する。
「チョコレートのタルトと、それからホットミルクもお願いします」
ペッシは彼女がコーヒーでなく自分と同じホットミルクを注文したことに心底喜び、普段の彼とはうって変わったように彼女にペッシ自ら話しかけた。
「あ、あの……! お、おれ、ペッシって言うんだ! ……君の名前は? 」
「私? 私は凪子って言います。あなたの名前はペッシ君って言うんだね。呼びやすくて良い名前! 」
プロシュートはまさかの展開に驚き、テーブルにかかった真っ白なクロスを握りしめていた。
「(ペッシペッシペッシよぉ~~~……! 冗談じゃあないぜ! ペッシ~~~! 気づいていないとはいえ、なんでブチャラティんとこの女と仲良くなってんだ~!?)」
プロシュートの頭の中はもう大惨事だった。例えるなら動物園の中から全ての動物が逃げ出した様な、下ろし立ての真っ白なのシャツにコーヒーを溢す様な。
「ペッシ君の隣のあなたは? 差し支えなければ聞いても良いですか? 」
「ん?ああ、オレか。プロシュートだ。よろしくシニョリーナ」
プロシュートは、差し支えしか無い。 それなのに答えてしまった。何をやっているんだ自分はと嘆いたが、ペッシが自分やチームの人間以外と親しげに話すことが無いことを考えると、凪子と話しているこの状況も悪くはないなと思ったようだ。
彼女の住んでいた日本の話や彼女の飼っていたペットの話、色々な話をしたあと、二人は凪子とまた会う約束をして店を出た。
「兄貴~~! 兄貴と一緒だといつも楽しいけど、今日はもっと楽しかったよ。友達も出来たし嬉しいなあ」
幸せそうにくしゃっと笑うペッシは兄貴の不安をまだ知らない。
「(ああ~~……ブチャラティのとこの女か……どうしたもんかな……)」
→ to be continued
「おいペッシ~……? 今お前の目の前にあるそれはなんだ? 」
「チョコレートのタルトだよ兄貴! 」
「そうだな正解だ。良くできたぜペッシ。じゃあその隣にあるカップには何が入ってるんだァ~~~!? 」
チョコレートのタルトはイタリア語でトルタ・アル・チョコラート(Torta al Cioccolato)といい、チョコレートがとても濃厚なため薄く焼いてある。プロシュートはチョコレートのタルトにはコーヒーを合わせる方が良い筈だ。それなのに何故お前はミルクを合わせる。だからいつまで経ってもマンモーニなんだ!とペッシに言い聞かせている。
すると店員が彼らの近くにやって来て、店が混雑しているから相席をお願いしても良いかと声を掛けてきた。二人はそれを承諾すると、一人の女性客が席にやってきた。
「すみません。相席して頂いてありがとうございます。」
申し訳なさそうに席ついた一人の女性客は見たところ日本人の様だった。プロシュートは普段なら女性にはぐいぐいと話しかけていく所だが、今回はそういうわけには行かなかった。
「(ジャポネーゼ? この女……どこかで見た覚えがある)」
プロシュートは記憶を丁寧に辿っていき、ある組織の一つのチームに辿り着いた。
「(ブチャラティのところの女だ! )」
向こうはこちらのことを知る筈もないが、余計は問題を起こさないためにもとにかく出来る限り早くここから離れた方が良い。だが、彼もペッシもケーキやコーヒーがまだ皿に残っていたためそうすることは出来なかった。とりあえず今は当たり障りなく対応してやり過ごす他ならない。
「チャオ、シニョリーナ。俺たちの言葉気にせずゆっくりすると良い。 」
「ありがとう。ところであなたたちの食べているケーキかしら? それ、とても美味しそうね」
ペッシは少し照れながら、これはチョコレートタルトでコーヒーと一緒に食べると美味しく、ミルクと一緒に食べても美味しいことを女性客に伝えた。詳しい説明をありがとう、と彼女はペッシに微笑み、店員に声を掛け同じものを注文する。
「チョコレートのタルトと、それからホットミルクもお願いします」
ペッシは彼女がコーヒーでなく自分と同じホットミルクを注文したことに心底喜び、普段の彼とはうって変わったように彼女にペッシ自ら話しかけた。
「あ、あの……! お、おれ、ペッシって言うんだ! ……君の名前は? 」
「私? 私は凪子って言います。あなたの名前はペッシ君って言うんだね。呼びやすくて良い名前! 」
プロシュートはまさかの展開に驚き、テーブルにかかった真っ白なクロスを握りしめていた。
「(ペッシペッシペッシよぉ~~~……! 冗談じゃあないぜ! ペッシ~~~! 気づいていないとはいえ、なんでブチャラティんとこの女と仲良くなってんだ~!?)」
プロシュートの頭の中はもう大惨事だった。例えるなら動物園の中から全ての動物が逃げ出した様な、下ろし立ての真っ白なのシャツにコーヒーを溢す様な。
「ペッシ君の隣のあなたは? 差し支えなければ聞いても良いですか? 」
「ん?ああ、オレか。プロシュートだ。よろしくシニョリーナ」
プロシュートは、差し支えしか無い。 それなのに答えてしまった。何をやっているんだ自分はと嘆いたが、ペッシが自分やチームの人間以外と親しげに話すことが無いことを考えると、凪子と話しているこの状況も悪くはないなと思ったようだ。
彼女の住んでいた日本の話や彼女の飼っていたペットの話、色々な話をしたあと、二人は凪子とまた会う約束をして店を出た。
「兄貴~~! 兄貴と一緒だといつも楽しいけど、今日はもっと楽しかったよ。友達も出来たし嬉しいなあ」
幸せそうにくしゃっと笑うペッシは兄貴の不安をまだ知らない。
「(ああ~~……ブチャラティのとこの女か……どうしたもんかな……)」
→ to be continued
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