◇護衛チーム◆
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ネアポリス駅構内。
凪子とアバッキオはそこにいる。
アバッキオは普段の服装とは違って、深い紺色のストールを首に緩く巻き、グレーのジャケットを羽織り、ジャケットと同じ色のパンツを履いている。ヘリンボーンと呼ばれる英国調に織られたシャツが彼の落ち着いた雰囲気に良く似合っている。凪子は彼の見慣れない姿に驚きを隠せずにいた。
「アバッキオ……! その服! 」
「なんだ?それなりに気を使って選んだつもりだが何かまずかったか? 」
「違う……そうじゃなくて……! 」
凪子は普段から彼のことを格好良いと思っていたが、今日は普段の彼とは比べ物にならないくらいに格好良かった。それゆえ、顔が紅潮し、話し方もしどろもどろになってしまっているのだ。
「えっと……ね? その、普段からアバッキオのことを格好いいって思っていたんだけど……今日は特に格好いいなあと思って! 」
アバッキオは自身の服装が悪かったのではないかと不安に思っていたので、紫色に塗られた唇をぽかんと開け、呆気にとられた様子であった。
「何だよ!驚かせやがって! 変な汗が出たじゃあねえか! 」
「ごめんごめん!恥ずかしくて上手く言えなくって 」
「ほら、いつまでもうだうだしてねえで早く行くぞ!」
凪子にほめられとても嬉しいのに素直になれないことでもどかしさを感じているアバッキオであった。
――――――――――――――――――――――――――
しばらく歩いた二人は目的の店に辿り着いた。店の入り口には幾つもの魅力的な化粧品がディスプレイされていた。
凪子はその中からきらびやかなシルバーの筒に包まれ、蓋の上にはキラリと光る小さな星がついた口紅を手に取った。
「これこれ! この新作の口紅が欲しかったの! ……でもいっぱい種類があって迷うなあ~似合う色と欲しい色は別だし……」
「ほう、中々良いデザインだな。この中だと凪子にはこれが似合うんじゃあねえか?」
アバッキオが手に取った色は透明感のあるピンクに青や紫、ゴールドに輝く偏光のラメが入ったものだった。彼はそれを手の甲に少し塗り、光に当てて凪子に見せた。
「どうだ?透明感のあるピンクがお前に良く似合うと思うんだが?それにラメが入っていて星の輝きの様に綺麗だ。」
「さすがアバッキオ!やっぱりセンス良いね!この色にしようかな!」
近くにいた美容部員に声をかけ、凪子はアバッキオの選んだ口紅を塗ってもらった。彼の見立て通り、良く似合っている。アバッキオは自分の選んだ色を凪子を気に入ったからか、うっすら微笑んでいるようだった。
「じゃあお会計してくるから、ちょっと待っててね!」
数分後。会計を終えた凪子はアバッキオと合流し、次の目的地であるジェラートの店へと向かった。
店に着くと、凪子はピスタチオとチョコレート、アバッキオはカシスとチェリーのジェラートをそれぞれ注文した。
「凪子のチョコレートのそれ、旨そうだな」
「美味しいよ? 一口いる? 」
凪子はそう言うとチョコレートのジェラートをスプーンですくい、アバッキオの口元に近づけた。
「バカ!てめぇ!何してやがる!」
「ええっ!? 何って、あげようとしただけだよ?すごく美味しいから食べてほしいなって」
近づけられたスプーンに乗ったジェラートからほろ苦いチョコレートの香りが漂っている。ジェラートは少し溶けて滴が落ちそうだった。
かなりの恥ずかしさがあったが、チョコレートの良い香りに逆らうことは出来ず、アバッキオは差し出されたスプーンをぱくっと口に入れた。
「こりゃあ……旨いな! もう一口ほしくなる、凪子もう一口だ」
「ええっ! 残りは私のやつだからだめ! 」
「じゃあ俺のやつを一口やるから!いいだろ? 」
「うーん……まあ、それならいっか!」
そんなことをしているうちに日は落ち、辺りは暗くなった。
「えっ? もうこんな時間? 楽しい時間は早く過ぎるものだけど、それにしても早すぎだよ~! 」
「そうだな。すっかり日も暮れてやがる。見ろ凪子、星が出てる。」
凪子は空を見上げると「いち、に、さん」と星を数え始めた。
「おいおい、星なんか腐るほどありすぎて数えきれねえだろ」
「確かに、たくさんあるから数えきれないよね! でも、これなら……? 」
凪子は今日買った物の入った紙袋の中から、上品にラッピングされた小さな箱を取り出してアバッキオに渡した。
「はいどうぞ。いつも私の服を選んでくれたり、相談に乗ってくれたり……とにかく日頃の感謝の気持ちだよ! ありがとう! 」
「こんなサプライズがあると思ってなかったから余計に嬉しいぜ。ありがとうな。」
プレゼントの中身は凪子がアバッキオに選んでもらった口紅の色違いだった。紫にゴールドのラメがキラキラと美しい。凪子の物と同様に星のように輝いている。
凪子はプレゼントした口紅をアバッキオの唇にサッと塗り、彼の唇に指を当てこう言った。
「お星様ひとつ、ここに見つけた」
これなら数えられるよと言わんばかりの表情で彼女はアバッキオの瞳を見つめる。
「もうひとつ見つかりそうだ」
アバッキオはそう言うと凪子の唇にそっとキスをした。凪子の唇には彼の紫色の輝きでうっすらと染まっている。
「ほら、もうひとつ見つけた」
アバッキオは凪子の唇に指を当て、静かに囁いた。
Conta le stelle . 星を数えて。
凪子とアバッキオはそこにいる。
アバッキオは普段の服装とは違って、深い紺色のストールを首に緩く巻き、グレーのジャケットを羽織り、ジャケットと同じ色のパンツを履いている。ヘリンボーンと呼ばれる英国調に織られたシャツが彼の落ち着いた雰囲気に良く似合っている。凪子は彼の見慣れない姿に驚きを隠せずにいた。
「アバッキオ……! その服! 」
「なんだ?それなりに気を使って選んだつもりだが何かまずかったか? 」
「違う……そうじゃなくて……! 」
凪子は普段から彼のことを格好良いと思っていたが、今日は普段の彼とは比べ物にならないくらいに格好良かった。それゆえ、顔が紅潮し、話し方もしどろもどろになってしまっているのだ。
「えっと……ね? その、普段からアバッキオのことを格好いいって思っていたんだけど……今日は特に格好いいなあと思って! 」
アバッキオは自身の服装が悪かったのではないかと不安に思っていたので、紫色に塗られた唇をぽかんと開け、呆気にとられた様子であった。
「何だよ!驚かせやがって! 変な汗が出たじゃあねえか! 」
「ごめんごめん!恥ずかしくて上手く言えなくって 」
「ほら、いつまでもうだうだしてねえで早く行くぞ!」
凪子にほめられとても嬉しいのに素直になれないことでもどかしさを感じているアバッキオであった。
――――――――――――――――――――――――――
しばらく歩いた二人は目的の店に辿り着いた。店の入り口には幾つもの魅力的な化粧品がディスプレイされていた。
凪子はその中からきらびやかなシルバーの筒に包まれ、蓋の上にはキラリと光る小さな星がついた口紅を手に取った。
「これこれ! この新作の口紅が欲しかったの! ……でもいっぱい種類があって迷うなあ~似合う色と欲しい色は別だし……」
「ほう、中々良いデザインだな。この中だと凪子にはこれが似合うんじゃあねえか?」
アバッキオが手に取った色は透明感のあるピンクに青や紫、ゴールドに輝く偏光のラメが入ったものだった。彼はそれを手の甲に少し塗り、光に当てて凪子に見せた。
「どうだ?透明感のあるピンクがお前に良く似合うと思うんだが?それにラメが入っていて星の輝きの様に綺麗だ。」
「さすがアバッキオ!やっぱりセンス良いね!この色にしようかな!」
近くにいた美容部員に声をかけ、凪子はアバッキオの選んだ口紅を塗ってもらった。彼の見立て通り、良く似合っている。アバッキオは自分の選んだ色を凪子を気に入ったからか、うっすら微笑んでいるようだった。
「じゃあお会計してくるから、ちょっと待っててね!」
数分後。会計を終えた凪子はアバッキオと合流し、次の目的地であるジェラートの店へと向かった。
店に着くと、凪子はピスタチオとチョコレート、アバッキオはカシスとチェリーのジェラートをそれぞれ注文した。
「凪子のチョコレートのそれ、旨そうだな」
「美味しいよ? 一口いる? 」
凪子はそう言うとチョコレートのジェラートをスプーンですくい、アバッキオの口元に近づけた。
「バカ!てめぇ!何してやがる!」
「ええっ!? 何って、あげようとしただけだよ?すごく美味しいから食べてほしいなって」
近づけられたスプーンに乗ったジェラートからほろ苦いチョコレートの香りが漂っている。ジェラートは少し溶けて滴が落ちそうだった。
かなりの恥ずかしさがあったが、チョコレートの良い香りに逆らうことは出来ず、アバッキオは差し出されたスプーンをぱくっと口に入れた。
「こりゃあ……旨いな! もう一口ほしくなる、凪子もう一口だ」
「ええっ! 残りは私のやつだからだめ! 」
「じゃあ俺のやつを一口やるから!いいだろ? 」
「うーん……まあ、それならいっか!」
そんなことをしているうちに日は落ち、辺りは暗くなった。
「えっ? もうこんな時間? 楽しい時間は早く過ぎるものだけど、それにしても早すぎだよ~! 」
「そうだな。すっかり日も暮れてやがる。見ろ凪子、星が出てる。」
凪子は空を見上げると「いち、に、さん」と星を数え始めた。
「おいおい、星なんか腐るほどありすぎて数えきれねえだろ」
「確かに、たくさんあるから数えきれないよね! でも、これなら……? 」
凪子は今日買った物の入った紙袋の中から、上品にラッピングされた小さな箱を取り出してアバッキオに渡した。
「はいどうぞ。いつも私の服を選んでくれたり、相談に乗ってくれたり……とにかく日頃の感謝の気持ちだよ! ありがとう! 」
「こんなサプライズがあると思ってなかったから余計に嬉しいぜ。ありがとうな。」
プレゼントの中身は凪子がアバッキオに選んでもらった口紅の色違いだった。紫にゴールドのラメがキラキラと美しい。凪子の物と同様に星のように輝いている。
凪子はプレゼントした口紅をアバッキオの唇にサッと塗り、彼の唇に指を当てこう言った。
「お星様ひとつ、ここに見つけた」
これなら数えられるよと言わんばかりの表情で彼女はアバッキオの瞳を見つめる。
「もうひとつ見つかりそうだ」
アバッキオはそう言うと凪子の唇にそっとキスをした。凪子の唇には彼の紫色の輝きでうっすらと染まっている。
「ほら、もうひとつ見つけた」
アバッキオは凪子の唇に指を当て、静かに囁いた。
Conta le stelle . 星を数えて。