第一章
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夕刻。和やかな夕食を終え、今日という一日がじきに終わろうとしていた。
手際よく皿を重ね片付けてゆくルトの姿に俺も手伝おう、と声を掛けようとしてジルオは席を立つ。
だが、その次の瞬間ジルオは「あぁ、そうだ。君に頼み事があったんだった」とオーゼンに呼び止められた。
「何でしょうか?」とジルオがオーゼンへと向き直れば、思いも寄らぬ提案をオーゼンから突きつけられてしまった。
「君さぁ、三層への探窟に出向く前に先ずは肩慣らしも兼ねてあの馬鹿弟子を連れて二層での探窟に一週間ほど赴いてくれたまえよ」
予想外の頼み事にジルオの口から「は?」と思わず素の声が漏れた。
探窟家の首には見習いの『赤笛』、一人前の『蒼笛』、師範代の『月笛』、達人の『黒笛』、そして伝説級の『白笛』といった笛がその首に下げられている。
――ルトの首に下がっているのは、一応は『蒼笛』だ。だが、それはあくまでも『一応』である。
ルトは本来ならば見習いとしての『赤笛』の条件ですらまだ満たしていない。
『赤笛』のライセンスを得て見習い探窟家として探窟を行えるのは十歳を超えてからである。
ルトの『蒼笛』は『白笛の直弟子』という特例で与えられたモノ。そして、それは探窟を行う為ではなく、此処――蒼笛以降の笛持ちが潜る事が出来る深界二層で暮らす為に与えられたモノだ。
(ルトはまだ九歳……本来ならばまだ『赤笛』にすらなっていない年齢だぞ……?)
ジルオは「失礼ですが不動卿、ルトに探窟の経験というのは……、」と恐る恐るオーゼンへと問いかける。
「無いね。した事があるのはせいぜいこの近辺での散歩くらいなモノさ。アレの笛は此処で暮らす為の特例措置みたいなモノだからねぇ」
「では何故?……正直なところ、俺にはルトに二層での探窟はまだ早いのではないかと思えるのですが」
見習いである赤笛が潜る事の出来る一層よりも二層は危険な原生生物に出くわす頻度も上がり、上昇負荷も随分とキツくなる。
しかも、初めての探窟で一週間もの長期探窟とは。孤児院での場合にしても、ある程度探窟に慣れた赤笛の子どもらを引率しての探窟作業は精々半日程度で切り上げる。泊りがけというのはまずありえない。
それを踏まえてジルオが意見すればオーゼンはフン、と鼻で笑って言い放った。
「私もいい加減子守りには飽き飽きしているんだ。少しくらい育児休暇というモノが欲しくてね。それに、まだ十歳に満たぬとはいえアレはもう四年は此処で暮らしている。そう足でまといにはならんだろうさ」
「しかし……!」
ジルオはルトを危険な目に合わせたくはないのだろう。語気を強めてそれには承諾できかねるという意思を伝えようとしたのだが。
オーゼンはニタリとした笑みを浮かべるとジルオが了承せざるを得なくなるような言葉を投げつけた。
「ま、君がこれを断るんであれば、私は君が地上に戻った後にでもルトを一人ぼっちで二層の奥地に一週間程放り出すつもりなんだけどねぇ?」
その言葉にジルオは顔を強ばらせてむぐっ、と声を詰まらせる。
オーゼンの言葉が決して只の脅しでない事をジルオは本能的に理解していた。――過去に自分とノラも師匠であるライザから『生存訓練』と称された無茶苦茶な訓練をさせられた事があるからだ。
そして――オーゼンはその度し難い訓練を課してきたライザの師匠でもある。
「………………。」
オーゼンは完全に黙り込んで固まってしまったジルオの姿に自身の頼みを断る意思が無い事を汲み取ると席からヌゥッと立ち上がり「君にとっても引率者としての修練に最適かろ?」と真新しい探窟道具一式を手渡し、私室へと向かって行ってしまった。
(引率、か…………)
ジルオは先程のオーゼンの言葉を思い返しながら廊下を歩く。
ジルオ自身、月笛の探窟家として二層での探窟経験はそれなりに多く積んできた。
だが、引率となれば話は別だ。一層での引率なら兎も角として、二層での引率経験はそう多くはない。ましてや、引率する相手は本来ならばまだ赤笛未満の子どもである。
これは気を引き締めねばならんな、と思いつつジルオはコンコン、とルトの部屋の扉を軽くノックする。
次いで「ルト、俺だ。ちょっと良いか?」と声を掛ければ「はーい」と言う返事と共にカチャリと扉が開いてぴょこりとルトが顔を覗かせた。
「どうしたんですか、ジルオさん」
「ルト。突然だが、明日から一週間ほど俺と君で二層での探窟へ出向く事になった」
「えっ?!」
「君にはまだ探窟の経験が無いと聞いている。まずは探窟前の準備の手筈を君に教えたい。すまないが、中に入っても良いか?」
そう言ってオーゼンから預かってきた探窟道具をルトへと見せれば「ひゃ、はい!どうぞ!」と驚きに満ちた声と共にジルオは部屋へと招き入れられた……と同時に。
「ぺぎゅむっ?!!」
…………慌てて足がもつれたのか、何も無い所でルトが盛大にすっこけた。
「だ、大丈夫か……?」とジルオが困惑しつつもルトの身体を助け起こしてやればルトの顔に苦笑いが浮かぶ。
「だ、大丈夫、です……!……ちょっと、あまりに突然の事だったので……その、びっくりしすぎて転びました……」
「…………あぁ。正直に言うと俺も今いろんな意味で驚いている」
ジルオもルトと同じく苦笑いを浮かべた。
ルトの普段の姿を、ジルオは殆どと言っていい程知ってはいない。
………………ルトの身体能力は、果たして二層での過酷な探窟に耐えうるのか。ジルオの心に一抹の不安が過ぎっていった。
「石灯よし、深度計よし、つるはし……予備も含めて、いち、に……よし」
「そうだ。そうやって声に出して確認する事はとても大事だぞ」
丁寧に探窟道具を手に取って不備が無いかを確認し、リュックへと詰めてゆくルトをジルオが褒めてやれば、ルトは照れくさそうに「えへへ、」と小さな笑い声を零した。
ジルオはルトがしっかり探窟道具をリュックへ全てしまい込むのを確認すると「さて、」と一枚の地図を開いた。ルトは目を輝かせてそれを覗き込む。
「――これは二層の凡その地図だ。ルト、君は地図を読めるか?」
「お師さまから読み方はだいたい教わっています」
「そうか。――では今回の探窟のルート、そして目的地なのだが、」
ジルオが目星をつけていた目的地をルトに告げようとすれば「あ、ジルオさん、」とルトにそれを遮られた。
「……なんだ?」
「あの…………私、ジルオさんと行ってみたい場所があります。イェルメさんが言っていた場所で……だいたいこの辺りなんですけど」
トン 、とルトの小さな指先が指し示した場所を見てジルオは「ふむ、」と考え込む。
その周辺なら確かに命を脅かす程の危険な原生生物の報告は少なく、二層としては比較的穏やかな場所である。道筋もそう難しくはない。
(俺は俺なりに一番危険度が少ないルートを考えていたのだが……)
それでも。ルト自身が行ってみたいと言うのであれば彼女の希望を優先すべきか、とジルオは思い直す。
「いいだろう。では、そこを拠点にして探窟を行おう」
「わ……!やった!ありがとうございます、ジルオさん!」
礼を述べるルトの声は嬉しさを隠しきれない程に弾んでいて。それはまるで鈴の音のようにも思える。
当初考えていたルートよりは多少難易度は上がるが……それでも、ルトが喜ぶ姿が見られるのであればその方がいいか、とジルオは思った。
難易度は上がれど、ルトを危険な目に合わせるつもりは微塵もない。
――そう、守り抜く。導き、守り抜くのが俺の役目だ。ジルオは改めてその決意を胸に刻み込んだ。
…………夜もだいぶ更けこんで。
気づけば後はもう眠るだけの時間になっていた。
「明日からは過酷な探窟が待っているからな……今日は早く休むんだぞ、ルト」
ジルオがルトの髪をくしゃりと撫でればルトは少し困ったように「むゅ……」と声を漏らし、僅かながらに眉を寄せた。
「……どうかしたか?」
「えっと……明日が楽しみすぎて、眠るのが難しいなぁって思いまして……」
どうやら、ジルオの予想を上回る程にルトは明日からの探窟を楽しみにしているようで。
興奮してしまっているのか目が冴えてしまっているようだ。
「ちゃんと寝なきゃいけないのはわかっているんですけど……」
戸惑いを見せるルトに、こういう時はどうするべきか……とジルオは考えを巡らせる。
そして、一つの案を思いついた。
「ルト。キッチンに粉乳と蜂蜜は有るか?」
「えっと……確かまだ残っていたかと思います」
「なら、俺がホットミルクを作って持ってきてやろう。……温かいものを飲むと気持ちが落ち着いて良く眠れる」
優しく穏やかな声音でルトにそう告げてジルオはルトの部屋からキッチンへと足を向けた。
廊下を歩みながら、自身の初探窟の時はどうだったかとジルオはふと思い返す。
(…………盛大に吐き戻してノラに介抱された事しか思い出せんな……)
楽しかった、というよりもしんどかったとしか言いようがない思い出しか残っていない事にジルオは思わず失笑した。
せめてルトには、たくさん楽しい思い出を作ってやりたい、とジルオは思った。初めての探窟が特別なモノになるように。
手際よく皿を重ね片付けてゆくルトの姿に俺も手伝おう、と声を掛けようとしてジルオは席を立つ。
だが、その次の瞬間ジルオは「あぁ、そうだ。君に頼み事があったんだった」とオーゼンに呼び止められた。
「何でしょうか?」とジルオがオーゼンへと向き直れば、思いも寄らぬ提案をオーゼンから突きつけられてしまった。
「君さぁ、三層への探窟に出向く前に先ずは肩慣らしも兼ねてあの馬鹿弟子を連れて二層での探窟に一週間ほど赴いてくれたまえよ」
予想外の頼み事にジルオの口から「は?」と思わず素の声が漏れた。
探窟家の首には見習いの『赤笛』、一人前の『蒼笛』、師範代の『月笛』、達人の『黒笛』、そして伝説級の『白笛』といった笛がその首に下げられている。
――ルトの首に下がっているのは、一応は『蒼笛』だ。だが、それはあくまでも『一応』である。
ルトは本来ならば見習いとしての『赤笛』の条件ですらまだ満たしていない。
『赤笛』のライセンスを得て見習い探窟家として探窟を行えるのは十歳を超えてからである。
ルトの『蒼笛』は『白笛の直弟子』という特例で与えられたモノ。そして、それは探窟を行う為ではなく、此処――蒼笛以降の笛持ちが潜る事が出来る深界二層で暮らす為に与えられたモノだ。
(ルトはまだ九歳……本来ならばまだ『赤笛』にすらなっていない年齢だぞ……?)
ジルオは「失礼ですが不動卿、ルトに探窟の経験というのは……、」と恐る恐るオーゼンへと問いかける。
「無いね。した事があるのはせいぜいこの近辺での散歩くらいなモノさ。アレの笛は此処で暮らす為の特例措置みたいなモノだからねぇ」
「では何故?……正直なところ、俺にはルトに二層での探窟はまだ早いのではないかと思えるのですが」
見習いである赤笛が潜る事の出来る一層よりも二層は危険な原生生物に出くわす頻度も上がり、上昇負荷も随分とキツくなる。
しかも、初めての探窟で一週間もの長期探窟とは。孤児院での場合にしても、ある程度探窟に慣れた赤笛の子どもらを引率しての探窟作業は精々半日程度で切り上げる。泊りがけというのはまずありえない。
それを踏まえてジルオが意見すればオーゼンはフン、と鼻で笑って言い放った。
「私もいい加減子守りには飽き飽きしているんだ。少しくらい育児休暇というモノが欲しくてね。それに、まだ十歳に満たぬとはいえアレはもう四年は此処で暮らしている。そう足でまといにはならんだろうさ」
「しかし……!」
ジルオはルトを危険な目に合わせたくはないのだろう。語気を強めてそれには承諾できかねるという意思を伝えようとしたのだが。
オーゼンはニタリとした笑みを浮かべるとジルオが了承せざるを得なくなるような言葉を投げつけた。
「ま、君がこれを断るんであれば、私は君が地上に戻った後にでもルトを一人ぼっちで二層の奥地に一週間程放り出すつもりなんだけどねぇ?」
その言葉にジルオは顔を強ばらせてむぐっ、と声を詰まらせる。
オーゼンの言葉が決して只の脅しでない事をジルオは本能的に理解していた。――過去に自分とノラも師匠であるライザから『生存訓練』と称された無茶苦茶な訓練をさせられた事があるからだ。
そして――オーゼンはその度し難い訓練を課してきたライザの師匠でもある。
「………………。」
オーゼンは完全に黙り込んで固まってしまったジルオの姿に自身の頼みを断る意思が無い事を汲み取ると席からヌゥッと立ち上がり「君にとっても引率者としての修練に最適かろ?」と真新しい探窟道具一式を手渡し、私室へと向かって行ってしまった。
(引率、か…………)
ジルオは先程のオーゼンの言葉を思い返しながら廊下を歩く。
ジルオ自身、月笛の探窟家として二層での探窟経験はそれなりに多く積んできた。
だが、引率となれば話は別だ。一層での引率なら兎も角として、二層での引率経験はそう多くはない。ましてや、引率する相手は本来ならばまだ赤笛未満の子どもである。
これは気を引き締めねばならんな、と思いつつジルオはコンコン、とルトの部屋の扉を軽くノックする。
次いで「ルト、俺だ。ちょっと良いか?」と声を掛ければ「はーい」と言う返事と共にカチャリと扉が開いてぴょこりとルトが顔を覗かせた。
「どうしたんですか、ジルオさん」
「ルト。突然だが、明日から一週間ほど俺と君で二層での探窟へ出向く事になった」
「えっ?!」
「君にはまだ探窟の経験が無いと聞いている。まずは探窟前の準備の手筈を君に教えたい。すまないが、中に入っても良いか?」
そう言ってオーゼンから預かってきた探窟道具をルトへと見せれば「ひゃ、はい!どうぞ!」と驚きに満ちた声と共にジルオは部屋へと招き入れられた……と同時に。
「ぺぎゅむっ?!!」
…………慌てて足がもつれたのか、何も無い所でルトが盛大にすっこけた。
「だ、大丈夫か……?」とジルオが困惑しつつもルトの身体を助け起こしてやればルトの顔に苦笑いが浮かぶ。
「だ、大丈夫、です……!……ちょっと、あまりに突然の事だったので……その、びっくりしすぎて転びました……」
「…………あぁ。正直に言うと俺も今いろんな意味で驚いている」
ジルオもルトと同じく苦笑いを浮かべた。
ルトの普段の姿を、ジルオは殆どと言っていい程知ってはいない。
………………ルトの身体能力は、果たして二層での過酷な探窟に耐えうるのか。ジルオの心に一抹の不安が過ぎっていった。
「石灯よし、深度計よし、つるはし……予備も含めて、いち、に……よし」
「そうだ。そうやって声に出して確認する事はとても大事だぞ」
丁寧に探窟道具を手に取って不備が無いかを確認し、リュックへと詰めてゆくルトをジルオが褒めてやれば、ルトは照れくさそうに「えへへ、」と小さな笑い声を零した。
ジルオはルトがしっかり探窟道具をリュックへ全てしまい込むのを確認すると「さて、」と一枚の地図を開いた。ルトは目を輝かせてそれを覗き込む。
「――これは二層の凡その地図だ。ルト、君は地図を読めるか?」
「お師さまから読み方はだいたい教わっています」
「そうか。――では今回の探窟のルート、そして目的地なのだが、」
ジルオが目星をつけていた目的地をルトに告げようとすれば「あ、ジルオさん、」とルトにそれを遮られた。
「……なんだ?」
「あの…………私、ジルオさんと行ってみたい場所があります。イェルメさんが言っていた場所で……だいたいこの辺りなんですけど」
トン 、とルトの小さな指先が指し示した場所を見てジルオは「ふむ、」と考え込む。
その周辺なら確かに命を脅かす程の危険な原生生物の報告は少なく、二層としては比較的穏やかな場所である。道筋もそう難しくはない。
(俺は俺なりに一番危険度が少ないルートを考えていたのだが……)
それでも。ルト自身が行ってみたいと言うのであれば彼女の希望を優先すべきか、とジルオは思い直す。
「いいだろう。では、そこを拠点にして探窟を行おう」
「わ……!やった!ありがとうございます、ジルオさん!」
礼を述べるルトの声は嬉しさを隠しきれない程に弾んでいて。それはまるで鈴の音のようにも思える。
当初考えていたルートよりは多少難易度は上がるが……それでも、ルトが喜ぶ姿が見られるのであればその方がいいか、とジルオは思った。
難易度は上がれど、ルトを危険な目に合わせるつもりは微塵もない。
――そう、守り抜く。導き、守り抜くのが俺の役目だ。ジルオは改めてその決意を胸に刻み込んだ。
…………夜もだいぶ更けこんで。
気づけば後はもう眠るだけの時間になっていた。
「明日からは過酷な探窟が待っているからな……今日は早く休むんだぞ、ルト」
ジルオがルトの髪をくしゃりと撫でればルトは少し困ったように「むゅ……」と声を漏らし、僅かながらに眉を寄せた。
「……どうかしたか?」
「えっと……明日が楽しみすぎて、眠るのが難しいなぁって思いまして……」
どうやら、ジルオの予想を上回る程にルトは明日からの探窟を楽しみにしているようで。
興奮してしまっているのか目が冴えてしまっているようだ。
「ちゃんと寝なきゃいけないのはわかっているんですけど……」
戸惑いを見せるルトに、こういう時はどうするべきか……とジルオは考えを巡らせる。
そして、一つの案を思いついた。
「ルト。キッチンに粉乳と蜂蜜は有るか?」
「えっと……確かまだ残っていたかと思います」
「なら、俺がホットミルクを作って持ってきてやろう。……温かいものを飲むと気持ちが落ち着いて良く眠れる」
優しく穏やかな声音でルトにそう告げてジルオはルトの部屋からキッチンへと足を向けた。
廊下を歩みながら、自身の初探窟の時はどうだったかとジルオはふと思い返す。
(…………盛大に吐き戻してノラに介抱された事しか思い出せんな……)
楽しかった、というよりもしんどかったとしか言いようがない思い出しか残っていない事にジルオは思わず失笑した。
せめてルトには、たくさん楽しい思い出を作ってやりたい、とジルオは思った。初めての探窟が特別なモノになるように。