本編
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私は強い決意を胸に、その日の帰り、乱数に思いの丈を話した。反発されることは、今までの経験から充分わかっていた。だけど、勇気を出して自分の気持ちを話したら、乱数はきっと分かってくれるんじゃないか。何だかんだで、乱数は私のヒーローなんだから。そう信じていた。なのに──なのに。
「残念。もうやめてあげないよ。だって、僕のことを拒絶したんだもの」
彼はあろうことか、私に無理やりキスをしてきた。しかも、唇を合わせるだけなんて可愛いものじゃない。口の中にまで侵入されて、吐息を奪われて、彼の唾液の味を覚えさせられた。こんな仕打ち、あんまりじゃないか。酷い、酷いよ、乱数──。そう言おうと思ったのに。
唇が離れた瞬間、彼が浮かべた表情があまりに幸せそうで、同時に切なそうで。私は、彼が嘘泣き以外で泣いているところを見たことがないけれど、乱数はきっとこんな顔をして泣くんだろうな、と。そんなことを考えてしまうくらいに、今にも泣き出しそうな子供のような顔をしていて。
私は胸が苦しくなって、数少ない言葉は彼の口の中に飲み込まれてしまって、何も言えなかった。何も。
「愛してるんだ、麻子……ねえお願い、僕を拒まないで」
そう言って首に擦り寄るように抱きつかれてしまえば、拒むことなんてできない。彼がそれを知っていることも、今私の胸で泣いている彼の涙が嘘だというのも、私は分かっていた。それでも受け入れてしまった。分からなくなったのだ。私にとって、乱数が本当に恐怖の対象でしかないのか。拒絶して、遠ざけること以外に何か方法はないのか。恋愛感情ではないにしても、やっぱり私は乱数のことが大切だ。私は、彼が傷つくところを見たくはない。乱数の愛を完全否定したくはない。だから、彼と真剣に向き合わなきゃ。どうすれば、彼の重すぎる気持ちを薄められるのか、必死で考えなきゃ。そう決意して、一緒に彼の家へと向かったのだ。だけど、彼は考える暇すら与えてくれなかった。部屋に入るなり、キスをされて、舌を絡められて、そのままベッドの上へと押し倒されて。訳が分からないまま、身体を開かれて、ねちっこく責められて、思考をぐちゃぐちゃに溶かされて。気がついたら、私の身体は彼に与えられる快楽に従順になっていて、彼のものを受け入れていた。
どうして、こんなことになってしまったのだろうか。私は、好きでもない人に身体を明け渡せるほど、醜くて汚い女だったのだろうか。「気持ちいいことはいいことなんだよ」と繰り返し囁かれて、簡単に流されてしまった自分が憎くてしょうがなかった。目が覚めた次の日の昼下がりに、絶望感で涙を流す私を、乱数は優しく抱きすくめて、こう言うのだ。
「ごめんね、最初はまだ慣れないよね……でも、いいんだよ。ゆっくり慣れていこう。僕は、そういう初心な麻子が好きだよ」
優しく頭を撫でられて、涙を拭われると、それでいいんだ、と安心してしまう自分がいて、結局のところ、私は何一つ変えることはできなかった。むしろ、状況を悪化させてしまった。私は度々彼に誘われて、求められるがままに身体を重ねるようになってしまった。乱数と繋がるたびに、私の何かが吸い取られていくような感覚がして、だんだん正常な思考ができなくなっていった。何もかもやる気がしなくなって、私が彼を好きであろうがそうでなかろうが、どうでもいいような気がして。気がついたときにはもう遅かった。感情の動きが全くといっていいほどなくなって、学校へ行くことさえままならなくなっていた。
「残念。もうやめてあげないよ。だって、僕のことを拒絶したんだもの」
彼はあろうことか、私に無理やりキスをしてきた。しかも、唇を合わせるだけなんて可愛いものじゃない。口の中にまで侵入されて、吐息を奪われて、彼の唾液の味を覚えさせられた。こんな仕打ち、あんまりじゃないか。酷い、酷いよ、乱数──。そう言おうと思ったのに。
唇が離れた瞬間、彼が浮かべた表情があまりに幸せそうで、同時に切なそうで。私は、彼が嘘泣き以外で泣いているところを見たことがないけれど、乱数はきっとこんな顔をして泣くんだろうな、と。そんなことを考えてしまうくらいに、今にも泣き出しそうな子供のような顔をしていて。
私は胸が苦しくなって、数少ない言葉は彼の口の中に飲み込まれてしまって、何も言えなかった。何も。
「愛してるんだ、麻子……ねえお願い、僕を拒まないで」
そう言って首に擦り寄るように抱きつかれてしまえば、拒むことなんてできない。彼がそれを知っていることも、今私の胸で泣いている彼の涙が嘘だというのも、私は分かっていた。それでも受け入れてしまった。分からなくなったのだ。私にとって、乱数が本当に恐怖の対象でしかないのか。拒絶して、遠ざけること以外に何か方法はないのか。恋愛感情ではないにしても、やっぱり私は乱数のことが大切だ。私は、彼が傷つくところを見たくはない。乱数の愛を完全否定したくはない。だから、彼と真剣に向き合わなきゃ。どうすれば、彼の重すぎる気持ちを薄められるのか、必死で考えなきゃ。そう決意して、一緒に彼の家へと向かったのだ。だけど、彼は考える暇すら与えてくれなかった。部屋に入るなり、キスをされて、舌を絡められて、そのままベッドの上へと押し倒されて。訳が分からないまま、身体を開かれて、ねちっこく責められて、思考をぐちゃぐちゃに溶かされて。気がついたら、私の身体は彼に与えられる快楽に従順になっていて、彼のものを受け入れていた。
どうして、こんなことになってしまったのだろうか。私は、好きでもない人に身体を明け渡せるほど、醜くて汚い女だったのだろうか。「気持ちいいことはいいことなんだよ」と繰り返し囁かれて、簡単に流されてしまった自分が憎くてしょうがなかった。目が覚めた次の日の昼下がりに、絶望感で涙を流す私を、乱数は優しく抱きすくめて、こう言うのだ。
「ごめんね、最初はまだ慣れないよね……でも、いいんだよ。ゆっくり慣れていこう。僕は、そういう初心な麻子が好きだよ」
優しく頭を撫でられて、涙を拭われると、それでいいんだ、と安心してしまう自分がいて、結局のところ、私は何一つ変えることはできなかった。むしろ、状況を悪化させてしまった。私は度々彼に誘われて、求められるがままに身体を重ねるようになってしまった。乱数と繋がるたびに、私の何かが吸い取られていくような感覚がして、だんだん正常な思考ができなくなっていった。何もかもやる気がしなくなって、私が彼を好きであろうがそうでなかろうが、どうでもいいような気がして。気がついたときにはもう遅かった。感情の動きが全くといっていいほどなくなって、学校へ行くことさえままならなくなっていた。