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真夜中の星
-Dグレ 神田夢-


今日の夜には帰ると本部に連絡を入れてから随分と経つ。
任務地の悪天候のせいで汽車が相当遅れたからだ。


あいつは1人でうまく眠れない。

早く帰ってやらなければ、と急いではみたが、時計の針はとうに0時を回って真夜中になった。

司令室で居眠りをしていたコムイに報告書を叩きつけるように提出して、足速にあいつの部屋へ向かう。

不用心に鍵のかかっていない扉をガチャリと開ければ、嵌め込まれた大きな窓にもたれ掛かるようにして泣いているのが目に飛び込んできた。


名前を呼んでも反応がない。
どうやら今日は重症の日らしい。

あいつの座るベッドへと自分も座り込み、そっと抱き寄せる。
何があったかなんて聞かなくてもわかる。

ただ、月に照らされてぽたぽたと涙を流すお前がこのまま消えてしまいそうな感覚に陥って、顔を覗き込んだ。

涙が溜まった瞳と目があって、存在を確かめるように頬に触れながらただいまと告げる。


「…おかえり」


涙声で返すその声も、細くて壊れそうなこの体も、柔らかな長い髪も、全てが愛おしくて堪らない。


「…ユウがいないと眠れないの」
「知ってる」

「このまま帰ってこなかったらって、考えてた」
「…ちゃんとここにいる」


やっぱりな。
そんな事だろうと思った。
いなくなるわけがない。
何があったって俺はお前のところに帰ってくる。
頬に触れた俺の手に擦り寄るその仕草も、反対の手で縋るように俺の頬に触れる手も、


「ねぇ。ずっと一緒にいてくれる?」
「…約束したろ?お前のために生きるって」


随分昔に交わした約束を口に出して言ってやれば、安心したように少し微笑むその顔も、


「俺は死なない。だから安心しろ」
「うん…ありがと」


まだ少し震えるその声だって全部、全部。
いつからかお前の全てが欲しくて堪らなくなったんだ。

だから。
逃げないように、消えないように捕まえて、そっと触れるだけのキスをする。


ああ、お前のせいで俺は夜空に輝く星すらも見えない。
お前が傍にいれば、ただそれだけでいい。


pass→【dg0606y】


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