long time no see!
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「…」
美奈子が朝起きると、手には男物のTシャツが握られていた。
それを回らない頭で理解しようとし始めて、5分ほどたっていた。
「なにこれ。」
ただただシンプルな白いシャツで、もちろん名前など書いてあるわけもない。
Tシャツの主を探すも、部屋の中には自分以外の気配はない。
テーブルには家で飲もうとコンビニで買った酒がそのままになっている。
着ている服も、昨日の夜と同じままだ。
どうやら帰ってそのまま寝てしまったらしい。
「痛つぅ…!」
頭に響く痛みで、すぐに二日酔いだということを自覚する。
やはり昨日は、飲み過ぎてしまったらしい。
一人バーで散々飲んだ後、バーテンダーさんの心配もふりきり、家に向かって歩き出したのは覚えている。
その後すぐ近くのコンビニに寄って…。
それからの記憶が無い。
まさかこのTシャツは、道すがらの男性から奪ったのだろうか。
泥酔した自分を想像すると、一気に血の気が引いた。
今まで二日酔いになんてなったことがない。
しかも記憶がなくなるまで飲むなんて…。
「ああ…馬鹿だ、馬鹿すぎるわたし…。」
自分に対する怒りがこみ上げ、からまった髪の毛をぐしゃぐしゃにする。
しかしその内、昨日お酒とともに消そうとした記憶の一切合切が、瞬時にフラッシュバックする。
髪をくしゃくしゃにしていた手を止め、しばしそのまま動きを止める。
何をどうしたところで、過去は変わらない。
それならいっそ、この先を見て進んでいくしかないのだと、自らに諭す。
「…結局、飲んで忘れても朝は来るのね。」
かすれるような声でちいさく呟いて、重い身体を引きずるようにバスルームへと向かった。