long time no see!
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「俺のこの髪、姉貴が切ってくれ。」
「え?髪を?切っちゃうの?」
一瞬の沈黙の後、姉貴は俺の本心を探るように注意深く見つめる。
「おう、今日ずっと考えてたんだけど、さっき決心ついた。
前にもさ、姉貴、髪型変えてみたらどうかって言ってくれたじゃん?
長いとさ、こう、汗かくと下がってくるし邪魔なんだよな。
…それに心機一転、明日からさらにパワーアップした天才として生まれ変わるためにも!」
いろいろと理由を述べたが、結局はコレだった。
明日から前向きに、また一からスタートしたい。そのためのケジメだ。
「切るって言うとどのくらい?
わたし、そんなに難しいヘアスタイルはできないよ…?」
勢いで言ったモノの、どこまで切るかは考えていなかった。
髪を切ると言えば、長髪だったミッチーが今の長さまで切って現れたときのことを思い出す。
「そうだな…部の奴らと被んないような髪型…
っておい、あいつら割とチャラチャラした髪型ばっかりだな。スポーツマンのくせに…。」
「たしかにバスケ部っておしゃれな髪型の人が多いよね。
わたしは野球部みたいに、短いのも好きだけど。」
…姉貴、ボウズ頭が好きだったのか…。
さすがにそこまで短いのは…と思ったが、
たしかに、他校のバスケ部でもあんまりボウズ頭の奴に会ったことないな、と考えなおす。
今までは赤髪のリーゼントでかなり目立っていたという自覚があるが、いっそボウズ頭というのも逆に目立つ気がする…。
うーんと顎に手を当てて考え込んでいると、
「あの、冗談だからね?花がせっかく伸ばしてる髪だし…」
と、姉貴がなだめる。
そんな制止も聞かず、俺は強い口調で
『じゃ、ボウズにする!』
と告げた。
ジャリジャリと音を立てて、赤く染めた髪が新聞紙に落ちていく。
坊主にするにしてもバリカンがないよ、と言っていた姉貴がクローゼットを探して見つけたのは、犬用のバリカンだった。
いつか犬を飼うつもりで、実家から持ってきていたらしい。
大半の髪をバリカンで落とし、細かいところはハサミで整えていく。
冷たい刃が肌に当たり、たまにぞわっとするが、彼女は真剣に丁寧にハサミを入れていく。
俺が中学時代から守っていたリーゼントが、たった数分の間に跡形もなくなった。
「できたー!花、かわいい。」
まだ残っている髪の毛を散らすように、姉貴の手が頭を払う。
「おお、スゲー。
俺じゃねーみたいだ…」
鏡でいろんな角度を確かめながら、姉貴の腕前に感心する。
なんたら学科とかいうのを辞めて、美容師になった方がいいんじゃないだろうか。
「…なんだか、昔のやんちゃボーイに戻っちゃったね。」
姉貴はしみじみと言った。
姉貴と毎日遊んでいたあの頃も、俺はこんな風にボウズ頭だった。
髪を伸ばし出しのは、中学に入ってからだ。
「もしかして、さらに弟感が増した…とか?」
だとしたら、やっぱり切らない方が良かったのかもしれない…。
気に入っているが、姉貴に余計に弟としてみられたのなら、意味がない。
「…弟…として見なきゃいけないのにね…」
「え?」
気づくとハサミを握りしめる姉貴の手が、少し震えていた。
「わたし、髪を切ってるとき、スゴく緊張してた…
花が…スゴい近くにいたから…」
そう告げる唇も、同じように細かく震えている。
頬は紅潮し、目線を横に背ける。
…しかし、俺は姉貴から目が逸らせない。
「花とこれ以上二人でいたら…っ わたしどうなるかわからなくて…怖いの。」
ぎゅっと力を込める姉貴の手から、そっとハサミを取り、そばのテーブルに置く。
その間も、俺の目にはもう、姉貴しか映らなくなっていた。
「美奈子…」
身体をぴたりとつけたが、彼女が逃げないのでそのまま、身体を抱き寄せる。
まだ少し戸惑うような小さな身体が、俺の腕に収まる。
「好きだ…スゲー好き。」
またドキドキと心臓が波打つが、無視して告げる。
「…花に私なんかで、本当にいいのかな…。
もっといい人がいるんじゃないかな…。」
「美奈子がいい。…美奈子じゃなきゃ…ダメなんだよ。」
「花…。」
うるんだ瞳で見つめる姉貴は、本当にあのやんちゃだった姉貴なのだろうか。
可愛くて、もう自分以外の誰にも渡したくないと思う。
足下に落ちた髪の毛を避けながら、近くの壁際まで追いつめる。
そしてうるさいくらいの心音を聞きながら、姉貴の唇にそっと口づける。
やわらかな熱を感じていると、姉貴も俺の背中に腕をまわしてきた。
「はな…」
うわずった声で呼ばれると、たとえようもなく愛おしさが募る。
一度唇を離した後、もう一度キスする。
今度は、欲情に任せたような、少し深めのキス。
ちゅ、ちゅ、と音を立てて、何度も唇を落とす。
唇の気持ちよさを感じつつ、
これはもう…いくとこまでいってしまうのではないかと、心の片隅で思った。
しかし、美奈子の腰あたりに手を伸ばしたところで、半場強引に身体を離される。
「は、花、ちょっとまって ゆっくり…ね?」
「む?ゆっくり…とは?」
「そう、例えばその、付き合って1ヶ月くらいはキスまで…とか…」
「そ、そうだよな、わかってる…って、え?」
完全に別のスイッチが入りかけていたが、不意に発せられた美奈子の言葉に我に返る。
(今、付き合って…って言ったか?)
「あの、今、付き合って…ってワードが。」
「うん、言いました。」
「ソレってつまり、姉貴も俺のこと好きって事…?」
はやくハッキリとした返答がほしくて、態度で急かしてしまう。
彼女は、口元を手で隠し、
「………好き。…です。」
と消えそうな声で言った。
俺が地獄耳だから聞こえたようなものだ。
が、地獄耳でよかったと、心から思った。
美奈子からの告白を、鮮明に聞き取ることが出来たのだから。
「姉貴…じゃなかった、美奈子!!!」
再びぎゅうっと彼女の細い身体を抱く。
耳まで赤くした姉貴は、身体まで熱を持っている気がした。
「え?髪を?切っちゃうの?」
一瞬の沈黙の後、姉貴は俺の本心を探るように注意深く見つめる。
「おう、今日ずっと考えてたんだけど、さっき決心ついた。
前にもさ、姉貴、髪型変えてみたらどうかって言ってくれたじゃん?
長いとさ、こう、汗かくと下がってくるし邪魔なんだよな。
…それに心機一転、明日からさらにパワーアップした天才として生まれ変わるためにも!」
いろいろと理由を述べたが、結局はコレだった。
明日から前向きに、また一からスタートしたい。そのためのケジメだ。
「切るって言うとどのくらい?
わたし、そんなに難しいヘアスタイルはできないよ…?」
勢いで言ったモノの、どこまで切るかは考えていなかった。
髪を切ると言えば、長髪だったミッチーが今の長さまで切って現れたときのことを思い出す。
「そうだな…部の奴らと被んないような髪型…
っておい、あいつら割とチャラチャラした髪型ばっかりだな。スポーツマンのくせに…。」
「たしかにバスケ部っておしゃれな髪型の人が多いよね。
わたしは野球部みたいに、短いのも好きだけど。」
…姉貴、ボウズ頭が好きだったのか…。
さすがにそこまで短いのは…と思ったが、
たしかに、他校のバスケ部でもあんまりボウズ頭の奴に会ったことないな、と考えなおす。
今までは赤髪のリーゼントでかなり目立っていたという自覚があるが、いっそボウズ頭というのも逆に目立つ気がする…。
うーんと顎に手を当てて考え込んでいると、
「あの、冗談だからね?花がせっかく伸ばしてる髪だし…」
と、姉貴がなだめる。
そんな制止も聞かず、俺は強い口調で
『じゃ、ボウズにする!』
と告げた。
ジャリジャリと音を立てて、赤く染めた髪が新聞紙に落ちていく。
坊主にするにしてもバリカンがないよ、と言っていた姉貴がクローゼットを探して見つけたのは、犬用のバリカンだった。
いつか犬を飼うつもりで、実家から持ってきていたらしい。
大半の髪をバリカンで落とし、細かいところはハサミで整えていく。
冷たい刃が肌に当たり、たまにぞわっとするが、彼女は真剣に丁寧にハサミを入れていく。
俺が中学時代から守っていたリーゼントが、たった数分の間に跡形もなくなった。
「できたー!花、かわいい。」
まだ残っている髪の毛を散らすように、姉貴の手が頭を払う。
「おお、スゲー。
俺じゃねーみたいだ…」
鏡でいろんな角度を確かめながら、姉貴の腕前に感心する。
なんたら学科とかいうのを辞めて、美容師になった方がいいんじゃないだろうか。
「…なんだか、昔のやんちゃボーイに戻っちゃったね。」
姉貴はしみじみと言った。
姉貴と毎日遊んでいたあの頃も、俺はこんな風にボウズ頭だった。
髪を伸ばし出しのは、中学に入ってからだ。
「もしかして、さらに弟感が増した…とか?」
だとしたら、やっぱり切らない方が良かったのかもしれない…。
気に入っているが、姉貴に余計に弟としてみられたのなら、意味がない。
「…弟…として見なきゃいけないのにね…」
「え?」
気づくとハサミを握りしめる姉貴の手が、少し震えていた。
「わたし、髪を切ってるとき、スゴく緊張してた…
花が…スゴい近くにいたから…」
そう告げる唇も、同じように細かく震えている。
頬は紅潮し、目線を横に背ける。
…しかし、俺は姉貴から目が逸らせない。
「花とこれ以上二人でいたら…っ わたしどうなるかわからなくて…怖いの。」
ぎゅっと力を込める姉貴の手から、そっとハサミを取り、そばのテーブルに置く。
その間も、俺の目にはもう、姉貴しか映らなくなっていた。
「美奈子…」
身体をぴたりとつけたが、彼女が逃げないのでそのまま、身体を抱き寄せる。
まだ少し戸惑うような小さな身体が、俺の腕に収まる。
「好きだ…スゲー好き。」
またドキドキと心臓が波打つが、無視して告げる。
「…花に私なんかで、本当にいいのかな…。
もっといい人がいるんじゃないかな…。」
「美奈子がいい。…美奈子じゃなきゃ…ダメなんだよ。」
「花…。」
うるんだ瞳で見つめる姉貴は、本当にあのやんちゃだった姉貴なのだろうか。
可愛くて、もう自分以外の誰にも渡したくないと思う。
足下に落ちた髪の毛を避けながら、近くの壁際まで追いつめる。
そしてうるさいくらいの心音を聞きながら、姉貴の唇にそっと口づける。
やわらかな熱を感じていると、姉貴も俺の背中に腕をまわしてきた。
「はな…」
うわずった声で呼ばれると、たとえようもなく愛おしさが募る。
一度唇を離した後、もう一度キスする。
今度は、欲情に任せたような、少し深めのキス。
ちゅ、ちゅ、と音を立てて、何度も唇を落とす。
唇の気持ちよさを感じつつ、
これはもう…いくとこまでいってしまうのではないかと、心の片隅で思った。
しかし、美奈子の腰あたりに手を伸ばしたところで、半場強引に身体を離される。
「は、花、ちょっとまって ゆっくり…ね?」
「む?ゆっくり…とは?」
「そう、例えばその、付き合って1ヶ月くらいはキスまで…とか…」
「そ、そうだよな、わかってる…って、え?」
完全に別のスイッチが入りかけていたが、不意に発せられた美奈子の言葉に我に返る。
(今、付き合って…って言ったか?)
「あの、今、付き合って…ってワードが。」
「うん、言いました。」
「ソレってつまり、姉貴も俺のこと好きって事…?」
はやくハッキリとした返答がほしくて、態度で急かしてしまう。
彼女は、口元を手で隠し、
「………好き。…です。」
と消えそうな声で言った。
俺が地獄耳だから聞こえたようなものだ。
が、地獄耳でよかったと、心から思った。
美奈子からの告白を、鮮明に聞き取ることが出来たのだから。
「姉貴…じゃなかった、美奈子!!!」
再びぎゅうっと彼女の細い身体を抱く。
耳まで赤くした姉貴は、身体まで熱を持っている気がした。