long time no see!
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あの日姉貴に逃げられてから、俺は分かりやすく落ち込んでいた。
結局、学校においたままだった鞄は洋平が持っていてくれて、翌日学校で渡された。
洋平も誰も、何があったのかは聞かないでおいてくれているようだ。
(もしかすると勘のいい洋平が、他の奴に根回ししてくれたのかもしれないが。)
部活のほうはハルコさんがゴリに事情を説明してくれたらしく、サボったこと自体はお咎めなしだった。
無心で練習に打ち込むうちに、ネガティブな気持ちがだんだんとポジティブに変わってくる。
俺は「だめ」とは言われたが、はっきりと「嫌い」と言われたわけではないし…。
それに、
「無理ってわけではない」
とも言っていた。
おそらく、俺と付き合えないのは年齢的な問題で、恋愛対象として見られないわけではないはずだ。
うん、そうだ!
数分前までの落ち込みも一転し、ジワジワ気持ちが明るくなってくる。
「…まだフラれてねぇ」
誰にも聞こえないくらいの声で、小さく呟く。
別に諦めなくてもいいんじゃないだろうか。
それにまだ俺は、姉貴にハッキリ「好きだ」と言えていない。
姉貴は明らかにモテそうだけど、最近カガミと別れたばかりだし、今ならライバルはいないだろう。
「よっしゃあ!燃えるぜ!!!桜木花道ふっかーーーつ!!!」
「…どあほう。」
奴の嫌みが聞こえた気がするが、今日の所はこの恋愛ポジティブ王桜木に免じて、許してやろう。
それから俺は練習後、たまに姉貴の家に行くようになった。
俺はとにかくあの日の告白のことは話題に出さず、つとめて今まで通りふるまうことにした。
姉貴も最初は警戒したようだったが、しだいに気楽な態度に戻ってくれたようだ。
そして部活が終わった20時ごろに行くと、大体ウマそうな飯の匂いがする。
ある日、
『袋のラーメンで良かったら食べていく?』
と言ってくれて、作ってくれたラーメンの味は忘れられない。
人が作ってくれた飯を食うのなんて、何年ぶりだろう。
そう言うと、
「ただのラーメンだよ?」
と姉貴は笑った。
「それでもウマいんだよ。
オヤジもあんまし自炊するタイプじゃ無かったし。
基本はコンビニ弁かカップ麺かー…」
「ふふ、それでそんなに大きくなれたの? お母さんが背の高い人だったからかなあ?」
姉貴はオヤジとおふくろのことを知っているから、家族の話もしやすかった。それも俺にとっては気楽だし、心地がいい。
こうして何度か家に通っているうちに、姉貴の方からも俺の家に来てくれるようになった。
前に俺の家を見たとき、生活感がなさすぎて心配になったらしい。
「一人暮らしだと、作り過ぎちゃうから。
煮物、おいしいかわからないけど、温めてたべてね。」
玄関先でおかずの入った容器を渡し、それじゃあと立ち去ろうとする姉貴に、俺は言った。
「今度の日曜日…暇だったら試合見に来てくんねえ?」
日曜日はリーグ戦初戦で、海南と当たる。
まだ姉貴には試合を見に来てもらったことが無いし、一度見に来てほしいと思っていた。
「日曜日ね、うん、暇だよ。高校バスケの試合見るなんて久しぶりだし楽しみ!
それに…弟の試合を応援に行けるなんて夢みたいかも…なんて。」
弟…
ワザと言ってるのかそれとも無意識なのか。
そんなにさらっと釘を刺されると、さすがに胸が痛い。
だけど、バスケットをしているところを姉貴に見てもらえたら、すごく頑張れるような気がしていた。
かっこいいところを見せたいとか、惚れさせたいって思いがないわけでもないが…
こればっかりは、家族に見守っていてほしいという気持ちに似ていると認めよう。
「じゃあ、日曜の9時に体育館に来てくれよ。
入り口でハルコさんと俺のダチが待ってるって言ってたから。」
「え、ハルコちゃんにわたしが来ること言ったの?」
「お、おう、言ったけど…何か悪かったか?」
「ううん、何でも無いけど…。」
姉貴の微妙な表情からして、俺がハルコさんに対して、姉貴のことをどう伝えているかを気にしている事は、なんとなく伝わった。
姉貴にはハルコさんを好きだと相談していたのだから、当たり前と言えば当たり前だ。
「お、オレさ…
ちゃんと言えてなかったけど、姉貴のこと本気で好きだから。
ハルコさんのことは今は友達だって思ってるし、ルカワを好きなハルコさんを応援してる。
前に付き合ってくれとか言ったけどよ…
姉貴と付き合うとか付き合わねーとか、そんなのはどうでもいいって気づいた。
姉貴のそばに居られたらそれでいいっつうか…。
今のままでも幸せだから。」
今度こそ赤面せずに言ってやろうと思っていたのに、また耳まで熱い。
「…!だから、応援しに来いよ。自慢の弟の試合だろ?」
「ずるいよ、そんな告白…。」
姉貴は困ったように目を泳がせ、熱くなった頬を冷ますように手を当てていた。
「さすが天才の告白…! …夜遅いし送るわ。」
俺は固まってしまって動かない背中を押し、彼女の家に向かって歩き出した。
結局、学校においたままだった鞄は洋平が持っていてくれて、翌日学校で渡された。
洋平も誰も、何があったのかは聞かないでおいてくれているようだ。
(もしかすると勘のいい洋平が、他の奴に根回ししてくれたのかもしれないが。)
部活のほうはハルコさんがゴリに事情を説明してくれたらしく、サボったこと自体はお咎めなしだった。
無心で練習に打ち込むうちに、ネガティブな気持ちがだんだんとポジティブに変わってくる。
俺は「だめ」とは言われたが、はっきりと「嫌い」と言われたわけではないし…。
それに、
「無理ってわけではない」
とも言っていた。
おそらく、俺と付き合えないのは年齢的な問題で、恋愛対象として見られないわけではないはずだ。
うん、そうだ!
数分前までの落ち込みも一転し、ジワジワ気持ちが明るくなってくる。
「…まだフラれてねぇ」
誰にも聞こえないくらいの声で、小さく呟く。
別に諦めなくてもいいんじゃないだろうか。
それにまだ俺は、姉貴にハッキリ「好きだ」と言えていない。
姉貴は明らかにモテそうだけど、最近カガミと別れたばかりだし、今ならライバルはいないだろう。
「よっしゃあ!燃えるぜ!!!桜木花道ふっかーーーつ!!!」
「…どあほう。」
奴の嫌みが聞こえた気がするが、今日の所はこの恋愛ポジティブ王桜木に免じて、許してやろう。
それから俺は練習後、たまに姉貴の家に行くようになった。
俺はとにかくあの日の告白のことは話題に出さず、つとめて今まで通りふるまうことにした。
姉貴も最初は警戒したようだったが、しだいに気楽な態度に戻ってくれたようだ。
そして部活が終わった20時ごろに行くと、大体ウマそうな飯の匂いがする。
ある日、
『袋のラーメンで良かったら食べていく?』
と言ってくれて、作ってくれたラーメンの味は忘れられない。
人が作ってくれた飯を食うのなんて、何年ぶりだろう。
そう言うと、
「ただのラーメンだよ?」
と姉貴は笑った。
「それでもウマいんだよ。
オヤジもあんまし自炊するタイプじゃ無かったし。
基本はコンビニ弁かカップ麺かー…」
「ふふ、それでそんなに大きくなれたの? お母さんが背の高い人だったからかなあ?」
姉貴はオヤジとおふくろのことを知っているから、家族の話もしやすかった。それも俺にとっては気楽だし、心地がいい。
こうして何度か家に通っているうちに、姉貴の方からも俺の家に来てくれるようになった。
前に俺の家を見たとき、生活感がなさすぎて心配になったらしい。
「一人暮らしだと、作り過ぎちゃうから。
煮物、おいしいかわからないけど、温めてたべてね。」
玄関先でおかずの入った容器を渡し、それじゃあと立ち去ろうとする姉貴に、俺は言った。
「今度の日曜日…暇だったら試合見に来てくんねえ?」
日曜日はリーグ戦初戦で、海南と当たる。
まだ姉貴には試合を見に来てもらったことが無いし、一度見に来てほしいと思っていた。
「日曜日ね、うん、暇だよ。高校バスケの試合見るなんて久しぶりだし楽しみ!
それに…弟の試合を応援に行けるなんて夢みたいかも…なんて。」
弟…
ワザと言ってるのかそれとも無意識なのか。
そんなにさらっと釘を刺されると、さすがに胸が痛い。
だけど、バスケットをしているところを姉貴に見てもらえたら、すごく頑張れるような気がしていた。
かっこいいところを見せたいとか、惚れさせたいって思いがないわけでもないが…
こればっかりは、家族に見守っていてほしいという気持ちに似ていると認めよう。
「じゃあ、日曜の9時に体育館に来てくれよ。
入り口でハルコさんと俺のダチが待ってるって言ってたから。」
「え、ハルコちゃんにわたしが来ること言ったの?」
「お、おう、言ったけど…何か悪かったか?」
「ううん、何でも無いけど…。」
姉貴の微妙な表情からして、俺がハルコさんに対して、姉貴のことをどう伝えているかを気にしている事は、なんとなく伝わった。
姉貴にはハルコさんを好きだと相談していたのだから、当たり前と言えば当たり前だ。
「お、オレさ…
ちゃんと言えてなかったけど、姉貴のこと本気で好きだから。
ハルコさんのことは今は友達だって思ってるし、ルカワを好きなハルコさんを応援してる。
前に付き合ってくれとか言ったけどよ…
姉貴と付き合うとか付き合わねーとか、そんなのはどうでもいいって気づいた。
姉貴のそばに居られたらそれでいいっつうか…。
今のままでも幸せだから。」
今度こそ赤面せずに言ってやろうと思っていたのに、また耳まで熱い。
「…!だから、応援しに来いよ。自慢の弟の試合だろ?」
「ずるいよ、そんな告白…。」
姉貴は困ったように目を泳がせ、熱くなった頬を冷ますように手を当てていた。
「さすが天才の告白…! …夜遅いし送るわ。」
俺は固まってしまって動かない背中を押し、彼女の家に向かって歩き出した。