愛を語るより【流川SS】
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「わたしたちって付き合ってるんだよね?」
お昼休み。
休憩にもかかわらず、体育館で器用にバスケットボールを操る彼に、勇気を持って問い詰めた。
「ん。」
返ってきたのは、予想していたけれども、その予想をはるかに上回るほど短いモノだった。
「んって…」
「じゃ、練習するから。」
「いやいや、ちょっと待てーい!」
あいかわらずのクールフェイスで、即座に練習に戻ろうとするこの流川楓という男を、わたしはどこぞのお笑い芸人かのようなツッコミで引き留める。
「なに。」
「なにじゃなくて…確認だけど、告白してきたのは流川くんだよね?」
「ああ。」
「それで、わたしがOKしたので、付き合うことになったと。」
「うん。」
「それって、流川くんは私を好きだってことだよね?」
「そうだろ。」
…。
そうだろ、で片付けられる好きとはなんなのだろう。
密かにずっと好きだった、隣の席の流川くん。
その彼と席が近いからという理由で少し話すようになり、ある日そうじ当番が被った日に、2人きりの教室で言われた。
「お前のこと、好きだ。」
相変わらず無表情だったけど、わたしはすごく照れたし、すごく嬉しかった。
だから速攻で、「わたしも好き」と答えたのだ。
すると流川くんは、よく見ないとわからないくらいすこーしだけ、口角を上げて笑ってくれた。
それから恋人同士に、なったはずだったのに…。
学校では基本寝ている彼とは、ほとんど会話はない。
登下校は、部活があるので一緒に行けない。
土日は試合か、オフでも個人練習しているらしい。
おまけに先の席替えで、席もはなればなれになってしまった。
そんな感じで、何一つ恋人らしい変化はないのだ。
むしろ、今は友達以下といってもいい。
これで不安にならない女が…いや、人類がいるだろうか。
最近はこうまで思うんだ。
あの告白はわたしの夢で、流川くんとわたしは他人なんじゃないかって…。
「わたしのこと、好きかどうかわからない。」
「…?なんで?」
「なんでって…全然いっしょに居られないし、むしろ遠い。流川くんが何考えてるか、全然わからない。」
「一緒にいないと、俺を好きかわからなくなる?」
透き通るような低い声で、問われる。
その目は少しだけ、わかるかわからないかくらいの微細な変化だけれど、悲しさを孕んでいるようにも見えた。
それは単にわたしが、そうであってほしいと願っているだけかもしれないけれど。
「…そうだよ。一緒にいて、いろんな話して、お互いのこと理解して…そうしないと、不安になる。」
「一緒にいて、いろんな話をして…か。」
呟くように、ただくり返す流川くんに、「真剣に聞いてよ」と反論しようとした時だった。
大きな手がわたしの頭にまわされたかと思うと、彼の整った顔が近づいてきて、次の瞬間にはそっと唇が重なった。
わたしは驚いて、目をぱちくりさせる。
伏せられた長いまつげが、とても綺麗だと思った。
じっとみつめていると、今度はその奥にある視線とぶつかる。
「い、いきなりキスとか…。」
恥ずかしくなり、怒っている風を装って責めるような目でにらむ。
しかし彼は、やはりどこ吹く風だ。
「俺は、あんまり会話したりすんのは得意じゃない。」
「それは…わかってるけど…」
「だから俺にできるのは、こうする事くらいかもしれねー。」
そういって、強引にもう一度わたしを抱き寄せた。
ちょっとちょっと、流川くんよ。これは極端ではないか?
さっきまで友達以下だなんて思っていた関係が、彼の大胆すぎる表現方法によって一気に形を変えてくる。
背の高い流川くんの両腕は、わたしを簡単に包み込んでしまう。
そこで気がついた。
わたしもドキドキしているけど、それ以上に耳に響いてくるこの心音は…流川くんのものだ。
「流川くん、今ドキドキしてる…?」
「…だから、お前を好きだっていうの、嘘じゃない。」
普通の人より無口で、寝ぼすけで、感情を表現するのが苦手。
そんな流川くんが言いたいのは要するに、
『愛情は伝えるより、行動で表現したい』
って事なんだろう。
だからって、会話をしなくていいってことにはならないんだから。学校でも話したいし、一緒に登下校もしたいし、デートもしたい。
そのことを、あとで絶対問い詰めてやる。
そう固く誓うも、なんだか一気にこの不器用な彼が可愛らしく思えて、その背中をぎゅっと抱きしめた。
今はこの、腕の中に甘んじていよう。
おしゃべりではないけれど、そんな彼をわたしは好きになったのだから。
お昼休み。
休憩にもかかわらず、体育館で器用にバスケットボールを操る彼に、勇気を持って問い詰めた。
「ん。」
返ってきたのは、予想していたけれども、その予想をはるかに上回るほど短いモノだった。
「んって…」
「じゃ、練習するから。」
「いやいや、ちょっと待てーい!」
あいかわらずのクールフェイスで、即座に練習に戻ろうとするこの流川楓という男を、わたしはどこぞのお笑い芸人かのようなツッコミで引き留める。
「なに。」
「なにじゃなくて…確認だけど、告白してきたのは流川くんだよね?」
「ああ。」
「それで、わたしがOKしたので、付き合うことになったと。」
「うん。」
「それって、流川くんは私を好きだってことだよね?」
「そうだろ。」
…。
そうだろ、で片付けられる好きとはなんなのだろう。
密かにずっと好きだった、隣の席の流川くん。
その彼と席が近いからという理由で少し話すようになり、ある日そうじ当番が被った日に、2人きりの教室で言われた。
「お前のこと、好きだ。」
相変わらず無表情だったけど、わたしはすごく照れたし、すごく嬉しかった。
だから速攻で、「わたしも好き」と答えたのだ。
すると流川くんは、よく見ないとわからないくらいすこーしだけ、口角を上げて笑ってくれた。
それから恋人同士に、なったはずだったのに…。
学校では基本寝ている彼とは、ほとんど会話はない。
登下校は、部活があるので一緒に行けない。
土日は試合か、オフでも個人練習しているらしい。
おまけに先の席替えで、席もはなればなれになってしまった。
そんな感じで、何一つ恋人らしい変化はないのだ。
むしろ、今は友達以下といってもいい。
これで不安にならない女が…いや、人類がいるだろうか。
最近はこうまで思うんだ。
あの告白はわたしの夢で、流川くんとわたしは他人なんじゃないかって…。
「わたしのこと、好きかどうかわからない。」
「…?なんで?」
「なんでって…全然いっしょに居られないし、むしろ遠い。流川くんが何考えてるか、全然わからない。」
「一緒にいないと、俺を好きかわからなくなる?」
透き通るような低い声で、問われる。
その目は少しだけ、わかるかわからないかくらいの微細な変化だけれど、悲しさを孕んでいるようにも見えた。
それは単にわたしが、そうであってほしいと願っているだけかもしれないけれど。
「…そうだよ。一緒にいて、いろんな話して、お互いのこと理解して…そうしないと、不安になる。」
「一緒にいて、いろんな話をして…か。」
呟くように、ただくり返す流川くんに、「真剣に聞いてよ」と反論しようとした時だった。
大きな手がわたしの頭にまわされたかと思うと、彼の整った顔が近づいてきて、次の瞬間にはそっと唇が重なった。
わたしは驚いて、目をぱちくりさせる。
伏せられた長いまつげが、とても綺麗だと思った。
じっとみつめていると、今度はその奥にある視線とぶつかる。
「い、いきなりキスとか…。」
恥ずかしくなり、怒っている風を装って責めるような目でにらむ。
しかし彼は、やはりどこ吹く風だ。
「俺は、あんまり会話したりすんのは得意じゃない。」
「それは…わかってるけど…」
「だから俺にできるのは、こうする事くらいかもしれねー。」
そういって、強引にもう一度わたしを抱き寄せた。
ちょっとちょっと、流川くんよ。これは極端ではないか?
さっきまで友達以下だなんて思っていた関係が、彼の大胆すぎる表現方法によって一気に形を変えてくる。
背の高い流川くんの両腕は、わたしを簡単に包み込んでしまう。
そこで気がついた。
わたしもドキドキしているけど、それ以上に耳に響いてくるこの心音は…流川くんのものだ。
「流川くん、今ドキドキしてる…?」
「…だから、お前を好きだっていうの、嘘じゃない。」
普通の人より無口で、寝ぼすけで、感情を表現するのが苦手。
そんな流川くんが言いたいのは要するに、
『愛情は伝えるより、行動で表現したい』
って事なんだろう。
だからって、会話をしなくていいってことにはならないんだから。学校でも話したいし、一緒に登下校もしたいし、デートもしたい。
そのことを、あとで絶対問い詰めてやる。
そう固く誓うも、なんだか一気にこの不器用な彼が可愛らしく思えて、その背中をぎゅっと抱きしめた。
今はこの、腕の中に甘んじていよう。
おしゃべりではないけれど、そんな彼をわたしは好きになったのだから。
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