なにげなく【桜木SS】
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「桜木くんの手ってキレー。」
「え、そっスか?別にフツーじゃないっすかね。」
そんなの初めて言われた…といいつつ、彼は自分の手をまじまじと見た。
秋の空のうららかな午後。
いまは美術の授業だ。
2学期には選択授業として、書道・音楽・美術のなかから1つを選ぶことができる。
そして今はその、「美術」の授業中なのだけれど、そこにまさか桜木くんがいるとは思わなかった。
たまたま隣の席になったので、ついうっかり話しかけた。
桜木くんとは正直、あまり話したことがない。
だけど同じクラスだから怖い人ではないということは知っているし、話しかけることにも抵抗はなかった。
彼は部活の試合中に負傷し、最近やっと入院から戻ってきたところなのだ。
なんでもその間に選択授業の希望調査があったそうで、先生が勝手に美術にしていたのだとか。
「手、おっきいね。やっぱ背が高い人は手も大きいのかな。ねぇ、足のサイズとかは?」
「え、30だったかな。」
「でか!」
「や、絶対フツーっすよ。俺の身長的には…」
「わたしも女子では足、大きいほうなんだけどな。24.5センチ。ほら。」
そういいつつ、桜木くんの足の横に並べてみると、やっぱりその差はすごい。
シューズのかかとを踏み潰しているのが、桜木くんらしい。
「足が大きい人は背も伸びるんすよ。」
「へえ、知らなかった。でも私、背はあんまり伸びなかったんだけど…。」
「みたいっすね。」
わたしのつむじを見て、ケタケタと笑う。
むくれていると、
「まぁまだ伸びしろがあるってことで!」
とフォローしてくれた。
なんだか桜木くんって、想像してた倍くらい話しやすい。
するとおしゃべりばかりしているわたし達のところに、先生が近寄ってくる。
「はいそこ、早く取り掛かりなさいよ。」
「やべ、何描くんだっけ?聞いてなかった。」
大きな声で尋ねる桜木くんに、先生はやさしい口調で
「なんでもいいので教室内にあるものをモチーフに決めて、描いてくださいね。」
と言った。
「ね、わたし桜木くんの手が描きたい。」
唐突に提案する。
「え、手?俺の?んじゃ、俺は高橋さん描いてもいいっすか?」
「いいよ、どうぞ。美人に描いてね。」
なりゆきでお互いを描くことになった。
桜木くんはテーブルに手を置いて、わたしに見せてくれている。
まずはじっと彼の手を観察する。
手の綺麗さってわたしは、指の長さと爪で決まると思う。
彼の手は、この風貌とは似つかわしくすらりと長くて、まっすぐだ。
爪もきれいな縦長で、キチンと切り揃えられているのはバスケット部だからなのだろうか。
シューズをふんだり制服を着崩したりしているところはだらしないのに、ギャップを感じて少しだけドキッとした。
ていうか、やばい。
よく考えたら手なんて難しくて描けない。
わたし絵心ないんだった…。
じっと考え込んでいると、無意識に桜木くんの手を凝視してしまっていたようで、
「あの高橋さん…申し訳ないんすけど、そんな見られると俺、自分の絵が描けないんっすけど…」
と、目の前の彼は顔を赤らめて言った。
「え、そっスか?別にフツーじゃないっすかね。」
そんなの初めて言われた…といいつつ、彼は自分の手をまじまじと見た。
秋の空のうららかな午後。
いまは美術の授業だ。
2学期には選択授業として、書道・音楽・美術のなかから1つを選ぶことができる。
そして今はその、「美術」の授業中なのだけれど、そこにまさか桜木くんがいるとは思わなかった。
たまたま隣の席になったので、ついうっかり話しかけた。
桜木くんとは正直、あまり話したことがない。
だけど同じクラスだから怖い人ではないということは知っているし、話しかけることにも抵抗はなかった。
彼は部活の試合中に負傷し、最近やっと入院から戻ってきたところなのだ。
なんでもその間に選択授業の希望調査があったそうで、先生が勝手に美術にしていたのだとか。
「手、おっきいね。やっぱ背が高い人は手も大きいのかな。ねぇ、足のサイズとかは?」
「え、30だったかな。」
「でか!」
「や、絶対フツーっすよ。俺の身長的には…」
「わたしも女子では足、大きいほうなんだけどな。24.5センチ。ほら。」
そういいつつ、桜木くんの足の横に並べてみると、やっぱりその差はすごい。
シューズのかかとを踏み潰しているのが、桜木くんらしい。
「足が大きい人は背も伸びるんすよ。」
「へえ、知らなかった。でも私、背はあんまり伸びなかったんだけど…。」
「みたいっすね。」
わたしのつむじを見て、ケタケタと笑う。
むくれていると、
「まぁまだ伸びしろがあるってことで!」
とフォローしてくれた。
なんだか桜木くんって、想像してた倍くらい話しやすい。
するとおしゃべりばかりしているわたし達のところに、先生が近寄ってくる。
「はいそこ、早く取り掛かりなさいよ。」
「やべ、何描くんだっけ?聞いてなかった。」
大きな声で尋ねる桜木くんに、先生はやさしい口調で
「なんでもいいので教室内にあるものをモチーフに決めて、描いてくださいね。」
と言った。
「ね、わたし桜木くんの手が描きたい。」
唐突に提案する。
「え、手?俺の?んじゃ、俺は高橋さん描いてもいいっすか?」
「いいよ、どうぞ。美人に描いてね。」
なりゆきでお互いを描くことになった。
桜木くんはテーブルに手を置いて、わたしに見せてくれている。
まずはじっと彼の手を観察する。
手の綺麗さってわたしは、指の長さと爪で決まると思う。
彼の手は、この風貌とは似つかわしくすらりと長くて、まっすぐだ。
爪もきれいな縦長で、キチンと切り揃えられているのはバスケット部だからなのだろうか。
シューズをふんだり制服を着崩したりしているところはだらしないのに、ギャップを感じて少しだけドキッとした。
ていうか、やばい。
よく考えたら手なんて難しくて描けない。
わたし絵心ないんだった…。
じっと考え込んでいると、無意識に桜木くんの手を凝視してしまっていたようで、
「あの高橋さん…申し訳ないんすけど、そんな見られると俺、自分の絵が描けないんっすけど…」
と、目の前の彼は顔を赤らめて言った。
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