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目の前にそびえる真四角の建物。銀色に輝くそれは、私の住居であるアパルトメントの一室がすっぽり入ってしまいそうなほど大きい。
少しずれていたマスクの位置を正しながら、後ろを振り向いた。
「で、これがその部屋なのね?」
「そうそう! Jと一緒に作ったのよん」
語尾にハートマークでも付きそうな甘ったるい声。ハーレイ・クインが二色のツインテールを揺らし、こちらにばちんとウインクを飛ばす。
彼女から電話が来たのは、空の色が濃くなり夕陽が落ちきった後だった。退勤し自宅に戻っていた私は、連絡を受けて指定された場所へ向かった。人気のない廃工場には、どでかい金属製の箱とハーレイ、そしてジョーカーがいた。
「しかしよく『セックスしないと出られない部屋』なんてものを考えつくわね……」
「よく出来てるだろ? 部屋ん中じゃ媚薬入りのアロマが焚かれてる。誰でもその気になるって寸法さ」
「閉じ込められてるバットマンも、ね」
「え、もう中にいるの?」
「イエース!」
静かに佇んでいるそのボックスを指差せば返ってくるのは肯。壁をノックすれば硬質な音が響く。見かけ倒しではなくちゃんと頑丈そうだ。
どういうシステムなのかはわからないが、あの蝙蝠男が反撃してこないところをみるに、本当にセックスしないと出られない部屋らしい。性行為は挿入しなければいけないから、二人いなければできない。つまり一人であの箱に入ったバットマンは、どうすることもできず八方塞がりなわけだ。
悶絶するバットマンを仕掛けたカメラ越しに笑ってやろうぜ!というのが計画の趣旨らしい。とんでもない嫌がらせだ。ちなみに原案はハーレイ、企画と実行はジョーカー。
悪趣味だとは思うが、あの鉄面皮がどういう風になるのかは私も興味があったから。箱のそばから設置されたモニター前に行こうと立ち上がった、その時。
「さっすが私のプリンちゃん!」
「フン」
「ちょ、ハーレ…っわ!」
興奮したハーレイがジョーカーに抱きつこうとして飛びつく。だけどそれは華麗に避けられ、ハーレイは私にぶつかった。
倒れそうになった私は壁に手をついて――その拍子にスイッチを押してしまった。仕掛けが作動するスイッチを。
瞬く間に扉が開いて、伸びたアームに体を掴まれ、部屋へ取り込まれる私。
床に叩きつけられ、酷く腰を打ってしまう。同時に扉の閉まる音が部屋に響いた。
「痛、った」
起き上がって辺りを見回す。キングサイズのベットとサイドテーブル、壁に設置された小さいモニター以外は何もない部屋だ。ああ、それとあと一つ。
「動くな」
「はいはい……」
皮膚に感じるのは冷たい感触。視線をずらせば漆黒の衣装に太い腕。若干の息苦しさに眉を顰める。件のバットマンが私の首に手をかけ、締め上げんとしていた。
抵抗はせず両手を挙げた。こんなところに閉じ込められてまでやり合う気力なんて、私は持ち合わせていない。
すると突如モニターが点いて。一瞬気を取られたバットマンを振り払い、液晶画面の前に駆け寄る。
『ごめんアコナイト! 失敗しちゃった』
「全く……早く出してよ」
『えーっとね、二人入った時点でそのミッションをクリアしないと出られないようになってるからぁ……他に開ける方法がなくてね? 無理なの』
「は!? ちょっと、嘘でしょ」
『私たちはお暇するしこの場所には誰も近づけないようにするから! じゃあ楽しんでねぇ~!』
軽快なハーレイの声は爆笑するジョーカーをバックに遠くなり、通信は途切れてしまった。私は呆然と立ち尽くす。……これは、完全に面白がられている。
恐る恐る後ろを振り向けば、バットマンがじっとこちらを見つめている。その視線を振り払うように懐から銃を取り出し、ドアに向かって弾丸を放つ。だけど当然ながら、マガジンが空になるまで撃ってもビクともしない。
助けを呼ぼうにも通信すら遮断されているらしく、携帯は圏外。
こちらを観察するように見ている蝙蝠に、焦りから怒鳴る。
「ちょっと、ぼーっとしてないで何とかしてよ!」
「無理だ」
「え……」
「お前が考えたことを、私が試さなかったとでも思うのか」
彼が鋭く放ったバットマンラングは壁に跳ね返され、軽い音を立てて床に落ちる。傷一つ付いていない壁に呻き声を上げた。
現実味を帯びてきた危機に、冷や汗が肌を滑る。まさか本当に、シなければ出られないの?
「冗談じゃないわ……っ!」
ゴッサムの守護神と謳われる男。私たち犯罪者は幾度となく彼に敗北してきた。恨み憎しみは日に日に募るばかりだ。
私はこれでも、目立たぬように、証拠を残さないように動いてきたつもりでいる。現に逮捕されたこともアーカム送りになったこともない。マスクを着け化粧を濃くしたりと変装をしているからか、本名や住所などの個人情報がバレている様子もなく、おかげで昼は図書館司書として働くことができている。
それでもジョーカーやハーレイと行動を共にするうちにマークされたようで。彼に追われる身となってしまった。
身の内に燻った欲望を我慢するつもりはない、けれど生活を脅かされるのはまっぴらごめんだ。より一層気をつけようとしていた矢先に――これか。
溜息をつけば、甘ったるい匂いが鼻腔に籠もる。くらりと目眩がして背中からベッドに倒れ込んだ。なんだか身体が熱っぽい。ああ、そういえば媚薬がどうとかって言ってたっけ……。
意識してしまえばそれは、より鮮明になる。じわじわと下腹部に降り積もり始めた熱。やり過ごそうと蹲ったが、それは身体の裡で燻っていくばかり。
部屋に入ってからどれぐらい時間が経っただろうか。室内には二人分の呼吸音だけが響いている。ベッドの反対側に掛けているバットマンをそっと振り返るも、こちらに背を向けているのでどんな顔をしているのかわからない。
――これなら、バレないよね。
いつもならこんなこと、絶対にしない。だけれど理性を蕩かされて、淫らな欲望に脳髄まで侵された私は。既に正常な判断ができなくなっていた。
生唾を飲み、寝転んだままスカートを捲り上げる。音を立てないようにそうっと。指先でなぞったショーツは湿っていて、あえかな吐息が漏れた。
指の腹でクリトリスを撫でる。小さいながらもはっきりと勃起したそれに触れれば、それだけで得も知れぬ快感が背筋を走り。腰が引けてしまう。
「っ、ふ……ン」
ショーツをずらし、膨らんだ花芽を摘まんだ。莢から種子を出すように包皮を剥き、滴る愛液を指にまぶして。なぞり上げたり、こりこりと押し潰したり、刺激を重ねる。心地よさにもっと浸ろうと、瞼を閉じた。
「ァ、あ、あ……」
指の動きが激しくなる。絶頂が近い。ああ、気持ちよすぎて何も考えられ――。
「おい、何を……っ!?」
「っ!? や、やだ……ッ見ないで、ぇ」
突然掛けられた声に、視界に映った蝙蝠頭。動揺して固まる男に、こちらも慌てて身をよじる。
それでも……指は、止まらない。
彼のカバーカウル越しに目が合った気がして。ああ、あのバットマンの前で、敵の前でこんなことをして、私は……ッ!
自覚してしまえばもうお終いだ。羞恥と焦りで一気に追い上げられ――一番高いところまで、昇り詰めた。
「あ、っイく……イっちゃ、う……っ!」
びくりびくりと全身が震える。波が過ぎれば、硬直していた身体をだらしなく弛緩させて。大きく息を吐きだす。
絶頂後特有の、ふわふわと漂っている意識。それを引き裂いたのは――バットマンだった。
「お前は……!」
「ぅ、なに……っ?」
自慰によって鎮まるどころか、勢いを増していく快楽の焔。持て余していたところに勢いよく腕を捕まれる。
彼はいつの間にかグローブを外していたらしい。直接触れた手のひらは、私のものよりずっと、熱くて。
「ばっと、ま……」
「……っ」
舌足らずに名前を呼べば、無言で押し倒されて、足の間に男の体が割り込む。捲られたスカートのせいで外気に晒された素肌が粟立つけれど、それは寒さや、まして嫌悪などではない。だからこそ、認めたくなかった。
力の入らない体で弱々しく抵抗しても、バットマンの逞しい腕には到底敵わない。簡単にねじ伏せられ、無防備な姿を彼の前に晒してしまう。
「や……っ」
「お前が、悪いんだ――アコナイト」
耳元で囁く低い声が、あまりにも情欲と色気に塗れていて。きゅう、と子宮が唸った。
節くれだった太い指が陰裂を撫でる。既にびっしょりと濡れそぼったそこが、再び与えられた刺激に悦ぶのがわかった。
そのままつぷり、と一本挿入されて。内壁を擦る感覚が鋭利に脳を苛み、それだけで軽く達してしまう。
「ひあ、アあぁぁ……っ!」
「は……もうこんなに濡らしているのか」
目の前の男が唇を歪める。薄く滑らかなそれに、そういえば口元しか見えていないとはいえ、彼の顔をこんなに間近で眺めるのは初めてだと、場違いな考えが頭をよぎった。
彼が前を寛げれば、勢いよく飛び出した屹立。あまりの大きさに呆気にとられる。大きく張り出したエラに太い幹。今までに見たどんな一物よりも……巨大だった。
「そんなの、っ入らな……ぁ!」
「嘘を、つくな……っ」
入り口に切っ先をあてがわれて、それは溢れた蜜のせいでぬるぬる滑る。焦らすようなその動きに期待して秘裂がヒクついて。待ちきれなくて思わず腰が揺れてしまう。
そうしている内にゆっくりと……挿入された。狭い肉に押し入る怒張は硬く熱く、肉襞がごりごりと削られるような感覚に身震いをした。きつくて苦しいのに、限界まで拡げられた筒を満たす質量にどこか充足感を覚える。
やがて、こつりと当たったのは。
「ほら、奥まで挿入った」
「う、そ……ッあ!」
一番奥の、行き止まりの部分をノックされて。思わず嘶く。
互いの陰毛が触れ合う生々しさから目を瞑る。すれば接合部を指でなぞられ、その感覚がより鮮明になってしまい慌ててまぶたを開けた。
待ちわびたとばかりに収縮を繰り返し、貪欲に肉竿を食い締める肉筒が憎い。ぐらぐら揺れる心も、だ。
「っふ、ああ、ァ」
蜜壺を掻き回すように動き始めた陰茎。最奥をぐりぐりと押し潰され、堪らなくて嬌声が漏れる。
服の下に侵入した手がブラをずり上げ、乳首を摘まんだ。たったそれだけでも腰が浮いてしまう。二本の指が撫でたり擦ったりを繰り返す。ねちっこいその動作にいやいやと首を振った。
だが大きな蝙蝠はそれを意にも介さず、私を責め立てるばかりで。
「それ、っだめ……!」
「何が駄目なんだ?」
「おかしくなっちゃ、ひ、アぁっ!」
抵抗しようにも、手足に力が入らない。喘ぎ声を抑えることすらできず、なすがままになってしまう。開きっぱなしの口から涎が垂れ、マスクに染みていくのがわかる。
子宮口を押し潰すように突き上げられ、身を捩らせて快感に耐えた。だけど。
「だめ、っイく…イっちゃうぅ!」
こみ上げる熱に身体を許し――あっけなく、果てた。芯までとろけるような法悦に顎が上がり、後頭部をシーツに擦り付けてしまう。なすすべもなく、目の前の相手に縋りつくことしかできない。
無様な姿を晒していることはわかっていても、どうしようもできなかった。
「や……! 今……っイって、んあぁっ!」
しかしバットマンは、こちらが達しているのもお構いなしに、大きいストロークで私を穿ち続ける。
快感の波に翻弄されるばかりで、逃れようとしてもそれは叶わず。彼の筋肉質な体が牢獄のように私を閉じ込める。
「っく……」
「やぁっ、そんな……ッ、う、あ」
やがてバットマンが呻き、息を吐いた。剛直が何度も脈打ち、最深部へ精を送り出すのがまざまざと感じられる。ポルチオにぴったり嵌め込まれた亀頭に怖気が走った。まるで――子宮に直接、種を注いで蓋をしているようだ。
あまりの屈辱にじわりと涙が滲む。出されてしまった……ナカに。
悔しさはあったが、私は安心もしていた。この悪夢がやっと終わるのだと。
まだ身体は火照っているが、そのうち収まるだろう。このまま続けられたら私がおかしくなってしまう。だから――……。
「っ!? や、っうそ、まだ、っ!?」
「あれで終わると、思ったのか?」
願いも虚しく、バットマンは再び律動を始める。どうして。今出したばかりじゃない。驚愕し目を見開いた私に彼は口許だけで笑った。獰猛に、さながらヴィランのような凶暴性で以て。
「ゆるし、て……も、やだぁっ」
「嘘をつくな」
「うそじゃなっ、や、っああぁ!」
もう嫌なのに、許してほしいのに――イきたくなんて、ないのに。貪欲な肉襞は、得た悦を逃すまいと必死に逸物へしがみつく。張り裂けそうな心を、身体は簡単に裏切ってゆく。
あのバットマンにこんなに簡単に犯されて、屈服させられて……。これ以上の恥辱にはもう、耐えられない。
「んあっ、ぁ、ああ……ッ」
再び達しそうになって、何とか抑え込んで我慢する。バットマンなんかに、これ以上イかされてたまるか。耐えなきゃ……!
「っふ、ァ」
「我慢などするな」
「っ!? や、っやめ……っ」
腰の動きを止め、安心したのもつかの間。彼の右手がクリトリスに触れ、私は身体を硬くした。そこは、駄目だ。
今まで放置されていた萌芽は大きく膨れ、はしたなく脈動していた。突然の刺激に挫けそうになるけれど、必死に耐える。大丈夫。彼に触られたって気持ちよくなんてない――……はず、なのに。
「いや、っいやぁ……!」
なんとかやり過ごせた、と思ったのに。ピストンまで再開され、あっという間に登り詰めてゆく。下腹部に溜まる熱を発散したくてたまらなくなる。足先が意味もなくシーツを手繰った。
これは媚薬のせい。そう、薬のせいだから、仕方ない、だって、それは。
言い訳を重ねる。自らを守るための嘘を。
――それだけじゃないことなんて、もうとっくにわかっていた。
「ひ、っだめ、また、またイっちゃ――……」
「イけ」
耳元で、バットマンの低い声に囁かれて。ぞくりと背筋が粟立つ。
いくら堰き止めようとしても最早無駄で。歯止めの効かない快感が背中から脳天へと駆け上がり、眼前が一瞬白くなる。強張っていた身体が弛緩し、頬を涙が伝った。
ああ――もう、駄目だ。
「きもち、ぃ……」
呟いた言葉にバットマンがぴくりと反応する。同時に腰の動きも止まってしまった。それが惜しいと、思ってしまう。
まだまだ足りなくて、もっと欲しくなって。だから。ねだるように、彼の腰に自分の足を絡めた。
右手で口元のマスクをずらす。驚いたように唇を開いた彼に、そのまま口づけた。口腔内に舌を差し入れれば、私のものより分厚い彼のそれが応える。蹂躙するように乱暴なキス。どろどろに解けてしまいそうな。
唇が離れ、互いの唇を銀糸が繋いだ。
「っ、アコナイト……?」
「もっと、ぉ……もっと、して?」
だって本当は――ほんとうは、ずっと気持ちよかった。オナニーを見られてイった時も、無理やりねじ伏せられ、屈服させられた時も、全部。気持ちよくって堪らなかったんだから。
切ないのが止まらなくて、甘い痺れに浮かされて、頭が馬鹿になりそうだ。いや、既に手遅れかもしれない。
バットマンとのセックスが気持ちよすぎて、もう、何も考えられなかった。
「クソ――!」
「なに、っ、ひ、あぁん!」
いきなり再開された律動は激しく、揺さぶられるようで。疼きのまま与えられる悦楽に身を委ねる。一度突かれるごとに全身に稲妻が走りびくんびくんと体が跳ねて、声帯まで感電したようにだらしない声が漏れた。
「アっ、ふ、うぅ、あ……! きもち、い、あぁんっ!」
「っ……! 出すぞ……っ」
「うん、っわたしも……っイく、またイ、っひあぁっ!!」
一番深いところで熱いものが弾け、同時に視界がスパークする。ありったけの官能に、感覚の全てを支配される。
今度こそカウルの向こうの目と目が合った。未だ熱の籠もった漆黒の瞳が細められる。そのまま顔が近づいたと思ったら、彼から口づけられた。そういえばマスクを下げたままだったっけ。ああ、脳髄まで蕩けてしまったようだ。何も考えられない。ただこの行為に耽ることしか、できない。
――快楽の地獄に堕とされて、あとはもう、底まで沈むだけだった。