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「何かに縋りたいなら、私にしておけ」
驚いて泣き腫らした目をロキに向ける。不平煩悶を表情に宿す彼の、いつもと違う様子に戸惑った。
宮殿にある倉庫の内の一つ。私が幼い頃から使われていなかった小さなそこは、今も人が入った形跡はなく。まるで幽世のようだった。埃っぽい臭いも、物の位置さえ変わらない。ここだけは、何も。
そこで人知れず泣き濡れていた私は、扉の開いた音でロキに気づき、部屋から出ようとした。だけど腕を掴まれてしまい、掛けられた言葉が冒頭のものだ。
ソーと私は、友達だった。幼馴染のようなものだ。少なくとも彼はそのつもりだろう。友が自分宛てに疚しい想いを抱くことなどには気づいていない。きっとこれからも永遠に、私が口に出さない限り。だから、彼を想って泣くことぐらいは許してほしい。
「兄上なぞに頼らず…、っ」
私を捕らえたまま、探り探り言葉を選ぶ様子は迷い子のように頼りない。だけど確かに、その瞳の奥に重いものが燃えているようで。
弟のように可愛がっていたロキ。だけどいつしか、彼と共に過ごすこともなくなっていて。嫌われたのか、なんて思っていた。
それに。ソーの名前を出すのは、私の片恋を知っているからなのか――それとも。
どうすればいいかわからず、俯いて視線を逸らしてしまった。
「ナマエ…こちらを、見ろ」
反抗するように腕を引っ張るけれど、それはびくともせず。それどころかより強く手首を握り締められ、痛みに息を漏らした。
「どうせ叶わぬ想いだろう」
「っ…あなたに、何がわかるの」
挑発的な台詞に、反応してしまった。やっぱり、知られていたんだ。顔に熱が集まる。
だけれどそれはすぐに引いていった。喉で笑うロキの声がどこか物悲しく、自嘲気味だったから。
「分かるさ。私も、同じだからだ」
絞り出したように悲痛な台詞に、思わず顔を上げる。掛けようとした言葉は喉に貼り付いてしまった。
見開いた目に映るロキが泣きそうに歪んだ顔をしていたのは、きっといつもの嘘じゃない。
今日の書き出し/締めの一文 【 なにかにすがりたいなら、僕にしときなよ 】
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