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靴が欲しいと蛇にねだられた。
「いいだろう?」
獰猛で狡猾な、蛇のような男に。
王国が所有している、荘園のうちの一つ。宮殿から少し離れたそこは寂れていてろくに花も咲いておらず、滅多に人が来ることはない。身分の違う者が秘密裏に会うにはお誂え向きだった。
決して私が好きで逢瀬を重ねているわけではない。ロキ様に無理やり付き合わされているだけだ。
「いくらでも持っているでしょう、王子様」
古い切り株に座ったまま彼を見上げ、皮肉げに言ってやった。特別製の、空も海も走れる靴だって持っている筈だ。何もいち民人に頼むことはないだろう。
寒さに羽織ったストールの衿をかき合わせた。暗雲の垂れ篭める空模様に、雨でも降りそうだな、なんて考える。
私の不遜な態度にも、ロキ様は気にせず口を開く。
「君から贈られたいんだ」
すぐ隣に腰掛けられて、驚きで体が跳ねた。大きな株だから押し退けられることはない。けれどこれは。せめて彼との間にスペースを空けようと試みるが、腰を掴まれてそれは叶わなかった。
「おやめ、ください」
「逃げることはないだろう」
緊張に身を固くする。すると笑う彼の、なんと意地悪いことか。ああ、人に見られればどうなることやら。身分の違いを慮る私と、何も気にしてはいないような彼。
男の節くれだった細い指が、頬を滑っていった。情欲の篭ったような動きに再び身体を震わせる。
視界の隅で風にそよいだ薔薇の蔓が。ゆうらりと、揺れた。
「お戯れを…」
「戯れかどうか、試してみるか?」
ロキ様が、伸ばしたその御手で私が履いていた赤いパンプスの甲から爪先を撫でる。青白いそれがぬらぬらと蠢くようだった。
今日の書き出し/締めの一文 【 靴が欲しいと蛇にねだられた 】
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