ハロー、ワールド。
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飛行機のドアが開いた。夜風が気持ちいい。長時間のフライトで溜まった疲れと凝りをほぐそうと肩を回した。手首を拘束されたままだから大して効果はなかったけれど。
タラップを慎重に降りる。この身体のサイズ感にはまだ慣れない。一気に数十センチも身長が伸び、体重も増えたんだから当たり前か。
「おい、早くしろ」
「ちょっと待、って、わ!」
財団員に急かされ焦って一歩踏み出せば、案の定と言うべきか長い脚がもつれて。思いきり転けそうになる。
迫り来る目をつぶって衝撃に耐えようとした、けれど。
「おいおい、大丈夫か?」
がっしり腕を掴まれている感覚。恐る恐る目を開けば、白い手袋が見えた。
「す、すみません…ありがとうございます」
体勢を立て直し、慌てて礼を言う。前にいたジョセフ・ジョースターさんが、咄嗟に私を支えてくれていた。
彼によく思われていないのは知っている。だってこの体の持ち主は、彼の娘を。私に走る緊張と裏腹に、ジョースターさんは笑った。思わずぽかんと呆けた顔を晒してしまう。
「気をつけるんじゃぞ。しかしお前さんも災難じゃったのう」
「そうですね、まさかこんなことになるなんて…」
まだ信じられない、というのが本音だ。そう言えば苦笑が返ってくる。彼だって想像もしていなかったことだろう。
無事に地上まで辿り着いた私は、安堵してほっと息を吐いた。
「あ、ありがとうございました」
「いいんじゃよ。慣れるまでは大変だろうしのう」
地面に足を着く。しっかりとしたアスファルトの感覚がこんなに頼りになるものだとは思わなかった。
「さて、お前さんにとっても久しぶりの日本じゃろう? 何かしたいことはないかの?」
彼の気遣いが嬉しくて、誤魔化すようにはにかんだ。
旅行先で殺人現場を目撃して、慣れない土地に済むことになって。やっと馴染めてきたと思ったら、ほとんど知らない男と入れ替わった。しかもそれは、世界征服を目論んだ吸血鬼だという。平凡な女子高生が巻き込まれるには、あまりに濃すぎる内容だ。
どうやら私は、思ったより疲弊していたらしい。彼の言葉に涙ぐみそうになるぐらいには。
「とりあえず着替えたいです…この服、落ち着かなくて」
全身真っ黄色(ところどころ黄緑)な服装を見下ろしてそう零した私は。
いつの間にかタラップを降りていたらしいDIOさんに思い切り膝蹴りされ、地面に崩折れた。
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