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快楽の虜の続き
人でごった返す駅。こちらのことなどまるで気にせず、人の波間を縫って歩いて行ってしまう八神を、慌てて追いかけた。
着いた先は、駅の裏手にある、比較的新しそうな公衆トイレ。辺りに人気はなく、通勤ラッシュ中だとは思えないほど静かだった。
当然のように男性用に入る彼に戸惑い、立ち止まる。だけれど大きな手に腕を取られて、中に引きずり込まれた。じり、と腕を焼く彼の体温は高く。興奮しているのかな、なんて考えてしまって……顔を赤らめた。
トイレの中は思ったより広く、綺麗で。三つ並ぶ個室のうちの最奥に無言で押し込められ、何か言おうと開いた口は彼の唇に塞がれて。
あまりに乱暴なファーストキスのことを考える隙もなく、彼に翻弄される。歯列をなぞり、舌を吸うその動きに、なんとか応えようと奮闘するも呼吸のし方がわからず。酸欠でくらくらしていれば八神が低く笑う。そして再び、キス。
互いの熱が行き場をなくして燻っている。身体を押し付けられた壁すら、体温でぬるくなってしまいそうなほどに。
「あ……っ」
掴まれたままだった手を彼の股座に誘導される。恐る恐る触れたモノはズボン越しでも熱く感じるほどで、たじろいでしまう。比較対象がないのでわからないが、かなり大きいんじゃないだろうか。
八神が自らジッパーを下ろす。想像していたよりずっと赤黒くグロテスクなそれに、息を呑んだ。
「舐めろ」
渋々彼の足元に跪き、口を開く。
張りのある先端を恐る恐る舐めれば、独特の苦味が広がって。思わず顔をしかめた。ぎこちなく舌を這わせ、咥え込んでみる。唇を窄めて上下に動かしたりして。
「っ……は」
頭上から漏れ聞こえる吐息を上目遣いで伺い、思わず息を呑んだ。しかめられた眉に、僅かだけど上気した頬。
――あの八神が、私のフェラで感じている。それは衝撃であり、また優越を感じるものでもあった。
すっかり調子に乗った私は、先端を吸い、添えた右手で幹を擦って。拙くではあるがアレンジを加えてみる。その度に彼から漏れる吐息を感じ、楽しさを見出す。
だから気付かなかった。彼の手が、私の後頭部に伸びていたことに。
「っ!? ぐ、ンっ!」
「イイぞ……上出来だ」
いきなり頭を押さえつけられ、喉奥を勢いよく突いた怒張に噎せる。
涙でぼやけた視界に、愉悦に塗れた顔が映って。ああやりすぎたんだと今さら反省しても、遅い。
「ッく、出すぞ…っ」
低い唸り声と共に亀頭が膨らみ、次いで口腔内に射精される。
吐き出さないと、とは思うものの。頭を押さえつけられ、未だ硬度を失わないモノが突き立てられた状態ではどうすることもできずに、嚥下してしまう。なんともいえない粘度とえぐみに、顔を歪めた。
「飲んだのか」
「っげほ……あ、んたのせいでしょ」
ずる、と口内から逸物を抜き去られ、咳き込む。涎が口端を伝った。
八神はそんな私に構わず、後ろを向くように促す。渋々従えば、頭を押さえつけられて。よろけそうになったところを、慌ててトイレのタンクを支えに腕を乗せれば。自然とお尻を突き出す格好になる。
「ちょっと、何……っ!」
「は……ビショビショだな」
秘裂に感じる熱。ぬる、と粘膜同士が触れ合って、息を呑んだ。
――頭が、痺れる。
堪らずひくりと子宮が震え、同時に八神が喉で笑うから。それに気づかれたのかといたたまれなくなって視線を逸らす。いや、電車の時より濡れていることに気づかれたのかもしれない。
どちらにせよ私は、含羞に頬を染めるほかなかった。
「欲しいのか?」
「っ……誰が……」
「欲しいならちゃんと言え」
ゆっくりと、焦らすように粘膜の上を往復する砲身。きゅんきゅんと下腹が疼く。ああ――早く、早く、早く早くはやく!
永遠にも思える時間を躊躇、逡巡して。開閉し息を吐き出すばかりの口は、やがて声を発する。
「ほし、い……っ」
「何が?」
「っ……!?」
嗤う声。ここまで言わせて、まだ足りないの?
悔しさと恥ずかしさで眦にじわりと涙が滲む。唇を噛んだ。
――けれどもう、我慢、できなかった。
「…………庵の、おちんちんが、ほし……っあぁ!」
言い終える前に、奥まで一気に挿入されて。
感じるのは破瓜の痛みだけではなく――それだけで達してしまう。
「もうイったのか? 淫乱め……」
びくびくと震える身体を嘲笑われる。低い声が脳まで浸透していく。きゅんきゅんする膣を止められない。
胎のなかに埋め込まれた杭。ずっとずっと、ほしかったもの。蜜洞を圧迫するそれがインサートされるだけで、淫らな痺れが止まらなくなって。恐怖と呼ぶには甘すぎる衝動が、腹の底から突き上げる。
これ以上は、だめだ。おかしくなってしまう。気持ちよくならないようにしなきゃ、とは思うものの。下手に動けば墓穴を掘るばかりだとわかっている以上、どうすることもできない。
「や、ま、まって……っあぁ!」
そんな私の考えなどどうでもいいというように、ゆっくりと抽挿が開始されて。
膣壁を擦り上げ、最奥まで到達したと思ったらまた腰を引かれて。深くゆったりとした前後運動に身悶える。揺さぶられるがまま、断続的な喘ぎ声を上げることしかできない。
「んあぁ……っは、じめて……だったのに、ぃ」
「ああ、知っている」
淡々とした言葉とは裏腹に、その音吐には熱がこもっていて。段々速くなるピストン運動に翻弄され、快楽の蜜の中に閉じ込められた私。肉欲と享楽に支配されて、何も考えられなくなりそうだった。
後ろから伸びてきた手が胸の飾りに辿り着く。柔らかい乳輪をなぞり、硬くなった乳頭を弄られれば、得られる快感が倍になるようで。秘裂が収縮して悦んでいることに気づき、羞恥を覚える。
「こっちもさっきより大きくなっているぞ」
「っひ!?」
クリトリスを指で弾かれ、悲鳴を漏らす。すっかり勃ち上がり包皮の剥けたそこは、少し触れられただけでも脳に電流が走る。
それなのに八神は、二本指で小さく丸い海綿体を摘むと、押し潰したり転がしたりしていじめる。しかもその動きが段々と速くなっていくのだから堪らない。
更に抽挿も再開され、大きなモノにゴリゴリと蜜壺を抉られてしまえばもう、私は官能の波に流されるだけだ。
「や、っイく……イっちゃ、あぁ……っ!」
秘部の中と外の刺激に堪えきれず、全身を強張らせて果てる。止むことのない快感に追い詰められ、たまらず八神にしがみつき、しばらくその波に耐えた。
息も絶え絶えに抗議しようとした、その時。
「っ!?」
キィィ、と扉の開く音がした。そして、足音も。
どうやら誰かがこのトイレに用を足しに来たらしい。
流石にまずいと思ったのだろうか。膣内から陰茎が引き抜かれた。すっかり怯えた私は、その少しの水音にも身体を跳ねさせてしまう。
それなのに。
「え、っ!?」
八神に抱え上げられ、便器に座った彼の膝の上へ、向かい合わせで跨がらされて。
わけもわからず、制止する間もなく――再び挿入される。
「な、に……っあ、なんで」
「静かにしろ」
ひそひそと小声で交わされる会話。そうは言っても、相変わらず私を貫いている屹立は硬さを保ったまま。声を出すな、なんて言われても無理な話で。
動かなくても、挿入れているだけでも気持ちいいなんて……そんなの知らない。ゆっくりと、だけど確実に子宮から響いてくる快感に、支えなしには耐えきれなくなって。腕を彼の首に回し、抱き合うように密着する。すると僅かに八神の身体が跳ねた。
直に感じる体温。汗に濡れた肌が触れ合う。けれど何故か、嫌ではなかった。
「ッ……」
「ま、っ!」
律動を再開する八神。掻き分けられる肉壁と、それにより齎される法悦。過ぎた快楽をやりすごそうと息を詰めれば、一層奥に叩きつけられて。
「っ――!? だ、め……!」
軽くイってしまい、慌てて上げそうになった声を押し止める。あ、危なかった……。
薄い壁一枚を隔てた他人の存在。それを意識してしまい、慌てて思考を逸らそうとするけれど……。考えないようにしようとすればするほど、その事以外考えられなくなってしまう。
人がいるのに。バレるかもしれないのに。私は八神と、え……えっちしてる、なんて。しかも感じるのをやめられないなんて……。
まるで……ち、違う。これは仕方なく、そう、仕方ないの。だってこいつが無理やり……。
でも、どうして。
初めてなのに――どうしてこんなに、気持ちいいの?
「感じすぎだ、変態」
「ちが……っ」
考えていたことを口に出され、慌てて首を振る。自分の声があまりに弱々しくて、じわりと涙が滲んだ。ろくに否定できない、なんて。認めたも同じじゃない。
ううん、ちがう、違う。私は……変態じゃない。へんたいなんかじゃ、
「ゃ、あっ……」
いきなり再開された抽挿に、思わず声を上げてしまって。慌てて唇を噛む。
そんな私を嘲笑うように律動を続ける八神。心の底から呪いながらも、すっかり敏感になった身体は肉悦を拾い続ける。
バレるかもしれないのに。薄い壁だけで隔てられ、しかも完全に個室になっているわけじゃない。
少し大きな嬌声を上げるか、今誰かがこのドアを開けてしまえば、一巻の終わりだ。いや、もしかするともう……手遅れかもしれない。
下腹が煮えるように熱くなる。吐息の熱は、子宮の疼きは、八神に気づかれてしまっただろうか。
緩やかに子宮口を小突かれる。それがじれったくて、自ら腰を擦りつけてしまう。
「腰が動いているぞ、変態」
「や、あ……」
「この状況に興奮しているのか?」
「ちが……、ちがうの……っ」
指摘されても止められない。それどころかますます八神が欲しくなって、悦楽の檻から抜け出せなくなって。
――ああ、私はどこか壊れてしまったのかもしれない。
そうでなければありえない。他人に性行為を見られることを想像して、興奮するなんて。嫌いな男とのセックスが、こんなに気持ちいいだなんて。
あの八神庵相手に、ここまで官能を感じてしまうなんて――。
屈辱だけではない。甘い熱のせいで、脳まで蕩けてしまったようだ。
「っ、おい」
「も……っ、らめ、我慢できな……っ」
舌足らずに呟いた私は、ぎこちなく腰をグラインドさせて享楽を貪る。
視線が絡み合う。眉を顰め、短い呼吸を繰り返す八神が、どうしようもなく……艶かしく思えて。
淫らな欲望の炎が、私を燃やし尽くしてしまいそうだ。子宮口をぐりぐりと刺激する亀頭が好くて、また眼前にバチバチと火花が舞った。
自慰をするように浅ましく、八神の剛直を使う。自らの肉悦を満たすために、気持ちよくなること以外考えられない。ああ、早く、もっともっと……もう待ちきれない。
――パタン。
ドアの開閉音が響く。用を足し終えたらしい男が、トイレから出ていったようだ。
遠ざかる足音が完全に消える前に……我慢していた分を取り返すように、腰を振りたくった。脊髄から駆け上がる淫らな電流に身を委ねる。
「ぅあ、いいっ……ぁ、またイっちゃ……っア!」
「っ、クソ……!」
腰を掴まれたかと思えば、激しく揺さぶられる。イったのに止めてもらえなくて。喘ぐたびに口端から涎が溢れる。それは八神に舐め取られ、気づけば再びキスを交わしていた。
法悦に浸る暇もなく、とめどなく襲い来る波に翻弄され――なにもかんがえられなくなる。
「っひ! あ、あ、アァっ!」
「貴様が悪い……!」
がつがつと容赦なく責め立てられる。媚肉が焼き切れそうなほどに。
髪を振り乱して、自らの快楽のためだけに腰を打ち付ける八神。ぎらりと光った瞳が、その熱が、確実に私を捉えていて。
――この瞬間だけは、私だけのものだ。
「イっちゃ、イっちゃうぅ!」
「ああ……っ、ナカに、射精(だ)すぞ……!」
余裕のない八神の声。子宮口に突き立てられる鋒。
昇りつめたそれは次の瞬間――弾けた。
「っア、ああぁぁぁっ!」
「ぐウ……っ」
熱い奔流を感じる。一滴残さずそそぎ込まれているのがわかる。
てっぺんの恍惚。直接脳を殴るような、暴力的なまでの悦楽。
私を逃すまいと、きつく抱き締める逞しい腕。
思わず閉じた瞼の裏が白く光って、そして。
私は、気を失った。
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