Short
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
身体が浮いている、と感じた時にはもう遅かった。
スローモーション。ゆっくりと宙を舞う。
承太郎と目がかち合った。見開かれたエメラルドの瞳。相変わらずきれいだな、と微笑んだ。
この異国の地で彼と見た朝日も、綺麗だったな。場違いにそんなことを考える。
きらきらと海面がたゆたい、希望だと言わんばかりに昇る太陽は眩しく。息を呑んだ私を強く抱いた身体の熱は、まだ肌に残っている。
壮絶な数ヶ月だった。息付く間もなく襲い来る刺客に緊張の日々。だけど、この旅は楽しかった。
花京院、ポルナレフ、ジョースターさん、アヴドゥルさん、イギー。みんないい仲間だ。
そして、最愛のひと。どうか幸せになって、でも私のことは忘れないで。なんて、わがままかな?
ああ、これが走馬燈か。たった十数年の人生。呆気ないものだったな。
赤く染まった拳を揺らしながら口角を上げるDIO。ああそうだ、頭を殴られたんだ。改めて事実を再確認する。
恐らくは致命傷。髪と血がはらはらと踊っているのを視界に捉える。
だけど不思議と痛みはない。つまりそういう事なのだろう、とふわふわした思考。どこまでも他人事だった。
――承太郎、ごめんね。もうだめみたい。
DIOを、世界の敵を、そして私の仇を倒して。
最後にもういちど、と彼の姿を眼に収めようとするもそれは叶わず。
意識は泥のような闇に沈んでいった。
6/86ページ