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嗄れた声が私を嬲る。かさついた肌と唇の感触、身体を
ああ、何時になったら忘れられるのだろうか。
僅かな風にカーテンが揺れた。こんな静かな夜は、いつも貴方のことを思い出してしまう。
優位差を示し力を誇示するためか、それとも単に欲を処理するためか。あの人は何度か私を抱いた。処女だった私の身体を暴き、苛み、性技を教え込み、最奥に何度も精を放った。
かと思えば、時には慈しむかのように扱われることもあった。たまにほろりと見せる優しさ、きっとそれすら計算のうちだったのだろうけれど。閨で手練手管に翻弄されるがままの私を、ただ喘ぐことしかできない私を淫乱だと笑う、その表情が何より好きだった。
“根”の私は、あの方の
ベッドの上で身じろいだ。欲を自らで発散させる術など、私は知らない。あの方に禁じられていたから、教えてもらえなかったから。だからこうして、一人夜が明けるのを待つしかない。
熱く火照った身体は、貴方に罵られたように……どこまでも貪婪に、淫蕩に、貴方を求めてしまう。
かといって愛しているわけでもない。そんな陳腐な言葉では到底言い表せない。
これは呪縛だ……逃れられない呪縛。
――私は貴方に囚われたまま、もうどこへも行けない。
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