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※ Not恋愛
どうしても自分が引き受けなくては行けない任務がある。だから何日か、オレの班を見てくれないか。そう頭を下げられ、二つ返事でOKしたのはついこの間のことだった。暗部時代からの先輩であるカカシさんからの頼みとあっては引き受けないわけにはいかない。その代わり今度奢ってくださいね、とねだれば苦笑して了承してくれた。
第七班の三人は……可愛かった。一般家庭の出である春野サクラは言わずもがなだが、“あの”うずまきナルトやうちはサスケも普通の子どものように見えた。だが時折見せる寂しげな目や、与えられる優しさに過剰に反応するところからは、やはりただの十二歳の少年ではないのだなと思わせられて。それが少し寂しかった。
今日は迷い猫探しの任務があったが、昼前には滞りなく終わった。猫を私の木遁(テンゾウのように完全なものではないため、木ではなく蔓ぐらいしか出せないが)で作った籠に入れた私は、任務完了の報告後に飼い主の元へ届けに行った。子どもたちとは昼ご飯を食べた後で修行を見るという約束もして。
集合場所の第十演習所で彼らは待っていた。疎らに花の咲く草原、そこに一本だけ立つ大きな木の陰で眠りながら。ナルト、サスケ、サクラが木に凭れてすやすやと寝息を立てているのを眺め、私は思わず笑ってしまった。あまりにあどけない姿だったから。こうしていると、本当に普通の子どもにしか見えなかった。
「ん……」
「まだ寝てていいよ」
気配に気づいたらしいサスケが微かに吐息を漏らした。私は膝をついてサスケの頭を撫でる。すればサスケはふっと表情を緩め、再び眠りに就いた。
カカシ先輩からサスケの夢は“復讐”だと聞いたとき、思わず眉をひそめてしまった。先輩からは優しすぎると言われてしまったけれど。
そんなに急いで大人にならなくてもいい。何せ血に塗れたこの世界では、嫌でも大人にならざるを得ないんだから。
だからせめて、仮初めの平和が保たれている今だけでも、子どもは子どものままで居てほしい――そう願うのは……我が儘だろうか。
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