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※裏、オメガバースパロ、無理やり
走る、走る。縺れる足を必死に動かし、一心不乱に軍の基地を進む。すれ違う兵士に咎めるような目を向けられるが、こっちはそれどころじゃない。
私は今、逃げている。さっき目が合っただけの相手から。
凄い軍人だとは噂で聞いていた。私は第二で彼は第四と、隊は違えど同じ外人部隊。下士官の間でもあのガンダムに対抗できる人間だ、とまことしやかに囁かれていた。
そんな彼を羨み、また憧れた。名前と功績以外何も知らない――知らなかった、相手に。
Ωである私は能力も頭打ち。抑制剤でヒートを抑えているため周りにはバレていないが、それもいつまで続くかどうか。Ωであることが露呈すればαの慰み者になるだけだ。それだけは絶対に嫌だった。
それなのに。ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろうか。私は数分前の出来事を思い返す。
それは訓練を終えた後。宿舎に帰るべく廊下を歩いていた私の歩みを止めさせたのは、一つの声だった。
「ビアッジ少尉、次の…」
不意に聞こえた名前に反応し、前を注視する。少し離れたそこには私も知る上官と、もう一人。癖のある長い赤毛を一つに結んだ背の高い男がこちらに背を向けて立っていた。
彼がゲイリー・ビアッジ少尉なのか。噂の渦中にいる、卓越した戦闘センスを持つ男。
好奇心が頭をもたげる。彼の顔を一度見てみたい、と。
その期待に応えるかのように、彼は、こちらを振り向いた。
「あぁ、それなら――」
年齢は三十代程だろうか。吊った眉が特徴的だった。口元に笑みを湛えながらもどこか影がある。至って普通の男性のように、見えた。
だけれど、その翡翠の瞳に射抜かれた、瞬間。
「――ッ!」
まるで箍が外れたかのようだった。全身から汗が噴き出し鳥肌が立つ。
どくり、と。心臓がおおきく脈打ったと思えば。
身体中に熱が集まり、子宮が疼き、足が震えて。
そうして、こちらを見つめたまま動かない彼が、野卑な動作で舌舐めずりをしたのを認めた私は。
脱兎のごとくその場から逃げ出した。
「く、そ…っ」
そして今に至る、という訳だ。
とりあえず人の来なさそうな、使われていない部屋の一室に滑り込む。
そこは資料室で、棚の間に隠れた私はそこでやっと一息を吐いた。
足を伝う冷たい感覚に気づき、指でそれを拭って臭いを嗅いで。尿ではない分泌物に吐き気がした。
今はヒート期間ではない。それなのにここまで――発情、してしまう理由。
それも彼を一目見た瞬間に、だ。答えは知っている。分かりきっている。だけどどうしても、それを認めたくはなくて。
とりあえず抑制剤を飲もう、と常備してあるそれを取るべく鞄に手を伸ばした、ところで。
「見ぃつけた」
「ひっ…!」
その腕を掴まれ、耳元で囁く声。
どうしてここが、なぜ、いつの間に。声にならない声が紡ぐ疑問に、答えるように嘲笑う彼。
「そんだけフェロモン垂れ流しといて気付かねえ訳ねえだろ」
無理やり体を反転させられ、向かい合わせになる。抵抗なんてできやしない。だって身体は、こんなに――悦んで、しまっている。
再び視線で貫かれ、身体が戦慄く。細められたみどりいろには確かに情欲の色で塗れていて。
唇をひん曲げて笑うその姿は、悪魔のようだった。
「やめ…っ、離せ…!」
「オイオイ、随分と酷いこと言うじゃねえか」
――俺達は、運命の番だぜ? なんて。
愉しそうなその姿に唇を噛む。
運命の番。それは本能的な絆で結ばれたふたりを指す。番の繋がりはどんなものより強固で、どちらかが死ぬまで続くのだという。
冗談じゃない。そんな馬鹿げたもので、出会って数分の男と縛られてたまるものか。
そう、頭では考えるけれど。
「すげえな、そこらのΩとは比べもんにならねえ…いー匂いだ」
「っひ、あ」
「これだけでも感じんのか? 番さんよぉ」
首元に頭を埋められ、肌を撫でる吐息に反応してしまう。耳朶をねぶる音が鼓膜を揺らし、葛藤に苛まれる。
不快なのに、不快である、筈なのに。
「やぁ…っ、いや、だ」
「こんなにしといてよく言うぜ。わかってんだろ?」
「あ、あ…っ!」
無遠慮にスカートを捲られ、下着の上から秘部をなぞられて身体が跳ねる。更にぐしょぐしょに湿っていることを指摘され顔に熱が集まった。
「これだけ濡れてりゃ大丈夫だろ」
「なに、っ…!?」
また身体を反転、這い蹲るような姿勢にさせられ。秘部に押し当てられた熱の塊に言葉が詰まる。だけど。
膣口は喜ぶように収縮して、それをまた喉で笑われて。
嫌だと何十何百回とそう思うのに、身体は心を裏切り続ける。
「やだ、あ、ぁ――ッ!」
「キツ…っ、処女か」
慣らしてもいない、指さえ挿れたことのない秘部に一気に押し入ったモノ。ぶちりと何かが切れる音と共に、鋭い痛みが走る。
うまく息ができなくて喉が鳴る。その瞬間に訪れる絶頂。
どれも初めてのことで、訳がわからなくて――気を、失いそうになる。
「イったのか? まだトぶなよ…お楽しみはこれからだ」
「…っ!」
首筋に舌が這い、固まるけれど。身体は正直に快感を拾って。ひくりひくりと彼のモノを包む媚肉が蠢く。
項を噛むことで契りを交わし番となる。それがαとΩの宿命。
ああ、嫌だ、せめてそれだけは。
契りたくない、こんな奴と契りたくない!
お願い――…
「おね、が…っ、ゆる、して」
「嫌だね…!」
がり、と皮膚に歯が食い込む。項を喰われたのだ、と理解する間もなく目の前が真っ白に染まって。
また、絶頂してしまった。歓喜に震える全身が、己のものではないかのようでひどく恐ろしい。
自分が情けなくて、いやらしくて、気持ち悪くて。
「っひ、ぐ! あぁ…っ!」
子宮まで貫こうとするかのように穿たれ悶絶する。より一層深く、深くまで。
何度も何度も繰り返される抽送が、きもちよくて。
「そろそろ、出すぞ…!」
「や、ナカは…っだめ!」
「孕め…っ」
最奥に食い込まされた亀頭と肉茎が震え、次いで液体が注がれる感覚。
「あ、ぁ…」
脚の痙攣が止まらない。息を吐きながら、ビアッジ少尉が陰茎を抜き去った。
膣から床に溢れる、血と混じり合った精液のピンクを視認して。頬に流れる涙を拭う間もなく、私は気を失った。
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