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壊れ物の様に後ろから抱きしめられるのが、少しくすぐったかった。
オセローの大きくなった手が私の目に蓋をする。緩やかな優しい動きは、爪で肌を傷つけぬよう気遣っているに違いない。
なんて優しいひと、なんだろう。
「緑の眼を持つ怪物が、お前の心を喰らい尽くす」
耳許で囁かれた言葉は苦しそうで、切なくて。
そっとオセローの腕に触れた。硬質なその鱗ごと身体がびくりと跳ねる。
獣神化――新たな力を得たことでカタチの変わった彼。鋭い牙に爪、幾つも生えた角。ペールアクアの色をした肌には鱗。長い尻尾はゆらゆらと忙しなく揺れている。黒白目と同化しているような黒い紋様。人とは程遠くなってしまった、とでも考えているのだろうか。
悋気に苛まれている時より不安定なオセローを落ち着かせるべく、幾度も鎧のような鱗を撫でた。
「嫉妬に狂いこんな異形になった俺を、お前はまだ」
「うん。愛してるよ」
ああ、愛しいオセロー。私のオセロー。どんな姿になろうと、私は貴方から絶対に離れない。
何もそこまで憂虞しなくてもいいのに。「モンスター」の貴方は人間らしい外面にこだわる必要はない。更に言えばもっと人間離れした風貌のものは数多くいる。
だからそんな顔をしないで。見えないけれど、きっと泣いているんでしょう?
私を抱く腕の力が強くなる。喰べられたのは私かオセローか、それとも。
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