酒は飲んでも呑まれるな
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「はぁ……」
人払いをし防音の結界を張った自室で、苑鬼はひとり重く長いため息をついた。時刻は暮六つ、窓の外は暗く、青白い鬼火がふわふわ漂っていた。
こんな早くから苑鬼が部屋に籠っているのには、理由があった。
それは数日前のこと。鍾離と名乗る男が苑鬼の屋敷に訪れ、共に酒を呑み、そして散々酷いことをされ……いやもうこれ以上は思い出したくもない、と苑鬼は慌てて頭を振り、記憶を頭の片隅に追いやる。正確には襲おうとして返り討ちにあった、が正しいが、苑鬼の頭の中では都合よく改竄されていた。
問題はそこではない、と苑鬼は気を取り直して思考を続ける。不本意ながらも久しぶりに他者の熱を感じたせいか……あの日から、性欲が高まって仕方がない。今日も淫夢を見て跳ね起きた。夢精はしていなかったが、それも時間の問題だろう。
そして今も……。苑鬼が股座にちらりと視線をやれば、ソコが頭をもたげて着物を押し上げているのがわかる。躊躇いながらも、性欲には抗えず。着物の帯と褌を解き、自分の一物を取り出した。
「ぅ、あ……♡」
ドクドク脈打っているそれを右手で緩く握るだけで、得も知れぬ快感の電流が腰を走り、甘い声を漏らしてしまう苑鬼。その先端からは既に我慢汁が噴き出し、亀頭を濡らしていた。その淫水を潤滑剤に上下に扱き始める。手の動きを速めたりきつく握りしめてしまえばすぐ達してしまうため、彼の自慰は非常にゆっくりとしたものだった。
「っふ、出る……っ♡」
やがて高まった性感から、苑鬼は呆気なく身体を震わせて手のひらを白濁で汚す。陰茎で達したことによる特有の気だるさに浸りながらも……未だ発散されない熱に吐息をついた。
胎の底が――欲しがって疼く。苑鬼の悩みとはこれだった。射精しても治まらない情欲にヒクつく後孔。有り体に言えば、鍾離に掘られた尻穴の奥が疼いて止まらない。
「くそ、どうしてっ……♡」
苑鬼は自分の下半身を見下ろす。陰茎での自慰は気持ちいい、気持ちいいがそれだけでは満足できない。
――いっそのこと、自分で触れてしまおうか。
悪魔の囁きのごとく頭に浮かんだ考え。しかしそれは、あまりにも屈辱的だった。そんなことをしてしまえば、尻を犯されて女のように感じる雌だと自分で認めることになるのではないか。それだけは、絶対に……嫌だ。
「っん、あ……♡」
そうだ。嫌だ。嫌、なのに……。苑鬼はもはや我慢できなかった。ここ数日、ずっとこの疼きに悩まされている。食事の時も就寝する時も、ずっとだ。その辛さに比べれば……と誰にするでもない言い訳を心のなかで並べ立てる。
大丈夫、ちょっと触るだけだ。それだけなら……大丈夫。
苑鬼は自分の指に先程吐き出した精を纏わせ、恐る恐る菊座に手をのばす。座ったままでは触りづらかったため、恥じ入りながら四つん這いになる。こんな体勢になるなど彼にとってはとにかく屈辱的だったが、背に腹は代えられない。
「あ、っ……♡」
指が孔の縁に触れる。そこで固まってしまった。何しろ肛門での自慰など、苑鬼はしたことがない。
――鍾離はどうしていたんだったか。今まで思い出さないようにしていたあの日の記憶を辿り始める。
確かこう、と浅いところで抜き差しを始める。それだけでも気持ちよくて、濡れた声が止まらなくなった。
「ンぅ♡あ♡もっとぉ……っ♡」
つい口から零してしまい、動揺して固まる苑鬼。だが、今この部屋には自分以外居ないことを思い出し、また菊座での自慰に耽溺していった。
そう、もっと……もっと奥に欲しい。恐る恐る指を進めてみれば、浅いところが解れたおかげで思ったよりスムーズに挿入できた。
「ひあっ♡きもち、きもちいっ♡ソコいいっ♡♡」
恥ずかしいはずの台詞も、一度口にしてしまえばなんてことはなかった。それどころか、更に性感が高められるのを感じ、どんどん言葉を発してしまう。
指一本をずっぽり♡と飲み込んだ隧道がひくひく♡と痙攣する。陰茎から我慢汁が垂れて畳を汚すのも構わず、指をもう一本増やして出し入れし、快楽を貪った。
あの気持ちいい場所はどこだ、と探すも、自分では見つけられない。ああ、もどかしい。鍾離のあの魔羅ならいっぱいソコを刺激してくれるのに……♡
「ア、んっ♡しょうり、どの……♡♡」
いつしか苑鬼は、鍾離との夜を……性交の肉悦を思い出しながら自慰に没頭していた。太くて大きくて硬い陽物に貫かれ、上も下もわからなくなるぐらい揺さぶられて。何度も惨めに気をやってしまった、あの夜を。
もっと気持ちよくなりたいのに、これでは足りない。自分の指では細すぎて、鍾離がしてくれた時のように気持ちよくなれない。
鍾離の太くて大きいのが……欲しい♡
「っあん♡しょうり、っしょうりどのっ♡♡」
「何だ?」
「はや、ッ――!!?」
待て。何故今、返答があった?
熱に浮かされていた苑鬼の頭が急激に冷えてゆく。彼が恐る恐る後ろを振り返れば、そこにいたのはシャツとベスト、スラックス姿で腕を組み、こちらを見下ろしている――鍾離本人で。彼はそれはそれは、いい表情で笑っていた。
「い、いつから見てっ……」
「お前が自分の性器を触っていた時からだ」
「ッ~~~!」
それでは最初から全部見られていたのか。自分で魔羅を扱き、それでは足りなくなり、肛門を弄り、快楽に喘ぎ、浅ましく名前を呼んでいるところまで……。苑鬼はその白い頬を耳まで真っ赤に染める。恥ずかしすぎて今すぐ死んでしまいたかった。
「随分気持ちよさそうに……おっと」
「っ!?」
苑鬼は這って逃げようとするも間に合わず、鍾離によって仰向けに転がされてしまう。咄嗟に足を閉じようとした苑鬼だが、鍾離が両膝を曲げて苑鬼のふくらはぎの下に差し込むことで阻止される。その姿はあの情事での体位……正常位と同じで、要らぬことを思い出してしまった苑鬼は再び顔が熱くなった。
慌てて肘で支えて上体だけで起き上がれば、着物が苑鬼の肩を滑り落ちる。だらしない姿で開脚し、さらに頬を染めた苑鬼は非常に艶めかしく、鍾離は衝動的に挿入してしまいたくなるも堪えた。
「俺のことを考えながらシていたのか?」
「ち、が……っソコ、だめ♡」
鍾離に指摘され、苑鬼はびくりと肩を揺らす。途切れ途切れに否定するけれど、誤魔化せてはいないだろう。何度も鍾離の名を呼びながら、後陰を弄る……そんな浅ましい姿を本人に見られてしまっているのだから。背筋を絶望と甘い痺れが駆け抜ける。ああ、駄目だ。思い出したら、また……欲しくなってしまう♡
苑鬼がそんなことを考えていることなど全てお見通しである鍾離。しかし彼が標的にしたのは、苑鬼のその蕩けきった後陰……ではなく、期待に尖った胸の飾りだった。薄い桃色をしたソコに舌を這わせ、唇で食んでやれば、あえかな吐息が苑鬼から漏れた。
苑鬼は想像もしていなかった箇所への刺激に瞠目する。乳首を弄られたことなど初めてだ。感じないはずなのに……ねぶられるだけで快感が駆け抜ける。
「やっ♡なんでぇ♡」
「苑鬼殿はここも弱いのか。かわいいな……♡」
「かっ!?♡かわいくないっ♡♡」
女のように感じる苑鬼に、鍾離がつい零した言葉。それに苑鬼は驚き否定するも、満更でもなさそうに恥じらって視線を背けた。
苑鬼のその様子に掻き立てられた鍾離は、先程からの痴態のせいで既に勃起している自分のモノがまた質量を増したように感じた。ああ、本当に可愛らしいメスだ。今すぐにでも犯し尽くしてしまいたいが、まだまだ焦らして遊びたい気もする。実に贅沢な悩みだった。
「あ……♡そこぉっ♡」
苑鬼から期待に上擦った声が上がる。やっと鍾離が苑鬼の窄まりに指を這わせたからだ。やわらかく泥濘んだソコは指一本では満足せず、二本目……三本目まで容易く飲み込んでしまい、それでもまだ物足りないというようにヒクついている。それを楽しむように何度か掻き混ぜながら、鍾離は熱っぽい視線で苑鬼を見つめる。
「そろそろ欲しくなる頃かと思ったが……杞憂ではなかったようだな」
「そんなわけ、っあぁ♡」
そんなわけない、なんて言い訳がこの状況で通用するわけはない。苑鬼が自分で一番良く理解していた。何より鍾離だってもう全部わかっているに違いない。
だけど否定しなければ。肯定してしまえば、認めてしまえば最後だ。そう思うのに……。
「何だ、要らないのか?」
膝立ちになった鍾離がベルトを緩めてスラックスを下ろす。彼がやおら取り出したモノ。眼の前で脈動するそれに、苑鬼は生唾を呑む。いつ見ても惚れ惚れするほど立派な逸物で、これを挿入され奥まで突かれたら……想像すると後孔がきゅん♡と疼いた。
「い、いらな……っあぁ♡」
「そうなのか? ここはこんなに吸い付いてくるが」
強がって拒否してはみるものの、苑鬼は屹立から視線を逸らすことができない。淫欲に取り憑かれ、目が離せなかった。孔の縁を鍾離のモノの先端でつつかれ、彼はその身を震わせた。早く、早く欲しい。もう我慢できない。中途半端に高められた熱が身体の中で暴れている。
「ほら、どうする?」
ちゅ♡ちゅ♡と先端で
蕩けた思考が、ようやく苑鬼を素直にさせた。
「――い」
「うん?」
「ほし、ぃ……っっあ゛あ゛ぁあぁぁぁっ♡♡♡♡♡」
絞り出した小さな声だったが、鍾離は聞き漏らさず――その楔で苑鬼を貫いた。苑鬼はいきなり全身に走った衝撃と快楽に目を見開き、身体を大きく跳ねさせて絶頂する。その陰茎は張り詰めているものの射精しておらず、鈴口からダラダラと先走り汁を流すに留まっていた。
「あ゛っ♡♡♡あ゛え゛っ♡♡♡いまらめ゛ぇっ♡♡♡♡」
「っ……は、まだイっているのか?」
鍾離はまだ動いていないにも関わらず、苑鬼はその怒張を埋められているだけで感じまくっていた。焦らされ続けた苑鬼にやっと訪れた法悦。それはどこまでも続いて止まらない。終わりが――ない。深い深い法悦の沼へと落とされるような感覚に、苑鬼はこわくなって鍾離に縋り付く。他でもない、この状況を作り出している男に。
「っ、ふ……すごいな♡」
鍾離もまた、自らの魔羅を食い締める苑鬼の隧道に深い息を吐いた。悦ぶように絡みついてくる媚肉が堪らない。だが、いつまでもこうしてはいられない、と腰を引く。
「ま、っ♡♡や……あ゛♡あぁぁっ♡♡♡」
始まった律動と齎される悦楽に翻弄され、苑鬼はただ喘ぎ感じることしかできなくなる。理性がどんどん瓦解してゆく。
――きもちいいのが、とまらない。
苑鬼は甘く甘く蕩かされた思考のまま、素直に言葉を紡ぐ。
「きもちい……っ♡そこ♡もっとぉ♡♡♡」
「っ……ココか?」
「っんあ♡♡♡そこ♡♡しょこぉ♡♡♡ッイぐ、ぅぅぅっ♡♡♡♡♡」
鍾離は苑鬼に強請られるがまま、しこりを逸物で押し潰す。望み通りの悦楽が訪れ、苑鬼は抗うことなく絶頂した。
続いて自分の魔羅を引き抜いていく鍾離。だが、亀頭が括約筋に引っかかる辺りでぴたりと動きを止めた。最奥への衝撃に耐えようとしていた苑鬼は、中々その衝撃が来ないことを疑問に思って目を開ける。
「ああ、そうだ――契約を結んでおかないとな」
「へ、えっ!?♡」
苑鬼は自分の耳を疑った。契約? 今この状況で?
しかし鍾離は大真面目な様子で、挿入したまま話を続ける。
「お前のまんこは本当に具合がいいからな……忘れないうちに契約をしておこう」
「ま、まんこ……?」
聞き慣れない言葉に苑鬼は首をかしげる。どことなく響きが卑猥な気もするが、近代の言葉に疎い彼はその意味を知らない。
「ああ、知らないのか。女性器のことを現代ではそう呼ぶようだ」
「じょせいき、って……っ♡♡♡」
にやりと笑った鍾離。苑鬼の頬が熱くなる。おそらく俗語なのだろう。ほとのことをそんな呼び方で呼ぶなんて……そしてそれは、わたしの尻穴が女性器で、わたし自身も女だと言われているようなもので……♡
自尊心が身悶えするほどの情けなさでジリジリと焦げる。その炎すら気持ちいいと、そう思ってしまう。
「ちなみにお前のナカに挿入っているこれは”ちんぽ”だ」
「っひ♡♡ち、ちんぽ……?♡」
ごりっ♡と内壁に擦り付けられる魔羅。その動きにすら感じ、たどたどしく卑猥な呼び名を復唱する苑鬼のなんと淫猥なことか。
鍾離は今すぐ滅茶苦茶に揺さぶってやりたいという誘惑に、自制心を総動員して耐えながら話を続ける。
「……まあその辺はおいおい教えるとしよう。話を戻すぞ……契約は三つだ。“俺の正体を誰にも明かさないこと”」
「ひうっ♡♡」
鍾離の手が再び胸の頂に伸びる。くに♡と摘まれ、甘く吐息を漏らす苑鬼。指先で硬く凝ったソコを捏ねたり優しく引っ張られ、その度に陽物がぴくん♡ぴくん♡と反応する。
苑鬼は淡い快楽に身を捩らせる。気持ちいい、でも……足りない。やっと気持ちよくなれたのに、また焦らされるのか。苑鬼の期待を込めた熱っぽい視線を無視し、鍾離は話を続ける。
「もう一つはそうだな、“俺の前で人間を貶さないこと”」
「も、っもうッ……♡♡」
「まだだ」
「んひぃっ!?♡♡♡」
焦らしに耐えられず自ら腰を動かす苑鬼。だが鍾離に乳首を引っ張られ、痛みと混じった官能に甘い悲鳴を上げる。
「最後の一つは……“俺の言葉に従うこと”」
「わかった♡わかったから♡はやくぅ♡♡♡」
あまりの歯がゆさから、ろくに内容も聞かず頷いた苑鬼。だが少し引っ掛かりを感じ、内心で首をひねる。なんだか最後の文言がおかしかった、ような……?
問いただそうとしたところで肉輪と浅場をぐぽぐぽ♡と行き来され、苑鬼の意識は与えられた性感に持っていかれてしまう。違和感は更なる快感への期待で塗りつぶされていった。
「相違ないか?」
「ない、っからぁ♡♡♡ね♡♡おねがい♡♡♡」
鍾離は笑う。何と馬鹿な鬼の子か。一時の快楽に流され、こうも簡単に口約束を結んでしまうとは。元とはいえ契約の神相手に少しも警戒していない。
しかし素直であるのは良いことだ。褒美をやらなければ。
「では契約成立だ、なッ――!!」
「い、ッぎぃ゛ぃ゛い゛いいいっっ!!!♡♡♡♡♡」
鍾離はどちゅんっ!と勢いよく最奥のその先――結腸口を穿った。幾度となく攻撃されて緩んでいたソコに、鍾離の亀頭ががぽんっ♡と嵌り込む。
苑鬼はあまりの衝撃にその身を仰け反らせて痙攣させる。殆ど叫びに近い濁りきった嬌声が響き渡ると同時に、どろり♡と鈴口から青臭い蜜が溢れた。いわゆるトコロテンをしている状態だが、苑鬼にそんな知識は当然なく、まず今の自分に何が起きているのか確認する余裕もなかった。
ばちばちと官能の雷電が苑鬼の身体を貫く。痛みもあるが、何より強すぎる快感に視界が何度も白く瞬いた。
「ほら、見ろ♡奥まで
「ぁ……♡♡♡うそ……っ♡♡♡♡」
息も絶え絶えな苑鬼は、鍾離に促されて結合部に視線をやり……そして瞠目した。
全て入りきってはいないものの、先程までとは確実に見えている部分が少ない。あんなに大きいモノが、自分のナカに……♡入ってはいけないところまで
自覚した途端、身体がぞくぞく♡と歓喜に震えた。
「ぅあっ♡♡♡」
鍾離はねっとりと腰を回す。直腸S状部にがっぽり♡嵌った亀頭がナカを捏ねた。それだけで苑鬼は脳が焼き切れそうなほどの快楽に囚われ、喘ぎ立てる。
「あ゛ぎっ♡♡♡らめ♡♡♡こわれひゃうぅ♡♡♡♡♡」
壮絶な悦楽で蕩ける苑鬼に、今なら答えてくれるだろう、と鍾離は先程の問いを繰り返した。
「俺のことを考えながらオナニーしてたんだろう?」
「う……うんっ♡♡鍾離のこと考えながらシてたの♡♡♡鍾離のちんぽ♡忘れられなくてぇ♡♡♡」
「っ……そうなのか?」
肉悦を追うことしか考えられなくなった苑鬼は、素直に言葉を紡いだ。
それに息を詰まらせたのは鍾離だ。高いプライドと品格を持ち合わせた苑鬼が、淫語混じりの台詞で欲望を露わにする姿はそれはそれは厭らしかった。
鍾離の心など露知らずで、苑鬼は言葉を続ける。
「でも、っ♡自分じゃ上手くできなかった♡鍾離じゃないと、だめ――ッッあ゛!?♡♡♡♡」
どちゅんっ♡♡♡と音が響く。鍾離の先端が再び苑鬼の
絶頂に晒され、暴力的な快楽に呼吸が止まる苑鬼。生理的な涙で視界がぼやける。反対に荒い息を繰り返す鍾離は、ギラギラと滾った視線で苑鬼を貫いて。苑鬼の下腹が殊更ずぐんっ♡と疼く。
「っは……あまり、煽るな……ッ♡」
「あおって、な♡♡♡あ゛♡♡♡はげしっ♡♡♡♡♡」
先程までのゆったりとしたものとは違い、最奥を穿つ荒々しい律動に喘ぎ立てる苑鬼。ただでさえ大きなモノが一層膨張し、それに圧迫され押し出されるように再び精がとろり♡と漏れた。
「いっぱいイってるのぉ♡♡♡イってるのにイっちゃうぅ♡♡♡♡♡」
淫蕩な言葉が止まらない。鍾離によって与えられる肉悦は、寄せては返す波のように苑鬼を翻弄した。下半身が蕩けるようだった。
上も下もわからなくなるぐらい揺さぶられ、自分が何を言っているのかもわからない。ただ――気持ちいい。
「っ、俺もそろそろ……イくぞ……っ!♡」
「だして♡♡♡鍾離のせーえきっ♡♡♡おまんこにいっぱいちょうらいぃっ♡♡♡♡♡」
「っぐ……っ♡」
煽るような苑鬼の言葉に息を詰まらせた鍾離が、苑鬼の尻に一際激しく腰を打ち付けた。
今までで一番深いところに突き刺さった陰茎が脈打ち、最奥で熱が爆ぜる。子宮に直接、胤を注ぐように。
「~~~っ♡♡♡っ♡♡♡ぁ゛♡♡♡♡♡」
声も出ないほどの快楽に晒され、無様に身体を痙攣させた苑鬼は、もう何度目かもわからない絶頂に撃たれた。
荒い息を繰り返しながら畳の上で寝転がったまま動けずにいる苑鬼に、鍾離も呼吸を乱しながら彼に覆い被さる。
「苑鬼……♡」
「ンう……っ♡♡あ♡♡ふぁ……っ♡♡♡」
鍾離に唇を合わせられた苑鬼は、甘い官能に満たされてその身を擦り寄せる。
苑鬼にとって性交とは、支配欲と性欲を満たすものでしかなかった。自己満足のための手段と言ってもいい。
だが鍾離によって、女のように愛され、支配され・屈服させられる悦びを教え込まれてしまった。
きっと――もう戻れない。
仄暗い予感を抱きながら、苑鬼は鍾離からの口付けを甘受した。
「ああそうだ、一つ言い忘れていたが……俺はもう岩神ではないぞ」
「は!?」
胡座をかいた鍾離に後ろから抱きすくめられ、その腕の中でぐったりとしていた苑鬼だが、鍾離があっさりと抜かした台詞に勢いよく後ろを振り向く。
あの後も散々責め立てられ、苑鬼は満身創痍だった。まだまだ余裕があるどころか、心なしか肌艶が増しているようにも見える鍾離が憎らしい。
苑鬼のその滑らかな髪を弄っていた鍾離は、鬼があまりに驚いた顔をするものだから機嫌良さげに笑った。
「神としての力はほぼ失ったからな。今の俺はただの凡人だ」
「だ、騙したのか!?」
「今も神であるとは誰も言っていない。
「詭弁を……」
怒りを顕にしたかと思えば再び脱力する苑鬼。鍾離はその後頭部を慰めるように撫でる。
「ところで……どうしてここに?」
「先程言っただろう? そろそろ欲しくなる頃かと思ったから、だ」
「本気で……ふん」
苑鬼は恥じ入ってふいと顔を反らした。すべて見透かされていたと思うと腹立たしいが、どこか面映いものもあり……。端的に言えば照れている。
そんな苑鬼に鍾離は密かに笑った。この愚かな鬼が言葉の意味に……結んだ契約に気づくのはいつだろうか。馬鹿な子ほど可愛いとはこの事を言うのだろう、と。悪事を働こうというわけではないが、これでまた違った色事ができそうだ。
そんな鍾離の思惑など露知らず……苑鬼は呑気に頬を赤らめたまま、自分を嵌めた相手に撫でられ続けるのだった。
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