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【店×蛍/店+蛍】

蛍「新人くん、名前決めた?」
竹「あ、いえ。まだ」
蛍「変な決まりでしょ。ま、ただの呼び名だからゆっくり考えたらいいんだけどさ」
竹「そうなんですか……てっきり、源氏名、というか。すぐじゃないといけないのかと」
蛍「苗字はもうもらったんでしょ?」
竹「はい、『竹岡』だそうです」
蛍「へぇ」
言いながら何気なくスマホを取り出して繰る蛍くん
蛍「どうせネームプレートにも苗字しか書かないし。内輪の名前なのよ」
液晶を滑る指が止まり、ふっと微笑む
蛍「じゃあなんでやってるのか、って思うよね」
竹「まぁ、はい」
蛍「平たく言えばねぇ、湯婆婆みたいなことしてんのよ、うちの店長は」
竹「ゆば……千と千尋の?」
蛍「そーそ、君も名前を取られて、もう家に帰れなくなってるかもよ〜?んはっ」
竹「……」
蛍「じょーだん。あの人のはそう悪い意味合いじゃないよ。”隠して”たから誰かが助かった時も、なくもなかったしね」
竹「……なんで、そこまでしてくれるんでしょうか。入ったばっかりで、しかもこんな世界で。まだ信用できるかなんて……」
蛍「裏切る予定だった?」
竹「違います、けど」
蛍「じゃあいいじゃん。ただ、そうだなぁ……単に寂しいんじゃないの」
竹「寂しい……?」
蛍「ちょっとでも繋がっておきたいんだと思うよ。人間、多かれ少なかれ寂しいもんだから。こんな世界だから、なおさらね」
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