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乱文

『毘沙門天の化身』

人々がそう言うので名乗っているものの裏を返せば「お前は人ではない」という恐れ/畏れだ。
自分は人ではない。
人とは違うと気づきながらもついぞ人にはなれなかった何か。
それが自分だ。
その有り様は変えられるわけもなく、変えようとも思わなかったから人々の畏れ/恐れを受け入れた。
だというのに。
あぁどうして。どうしてお前は恐れ/畏れない!
その視線は不愉快だと言っているのに!他の人々が向けるそれとはまるで違う!
そう、私という異物にではなく、私という人に向ける感情!
どうして、どうしてお前はそれを私に向けるのだ!
私の姿を見つけると不愉快げに歪める顔がひどく嬉しい。これが感情、これが執着。これが、ひとをひとたらしめるもの。
私を人としていさせてくれる、楔で、呪いで、祝福。
だから私も見つけると嬉しいのだ。唯一出来る表現を惜しみもなく出すのだ。

「晴信!さぁ殺りましょう!!」
「来るな!帰れ!!」
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