とうらぶ
ひとりというのはどうしても気が滅入る。
まともに戦えない体を引きずって、どこにいるかもわからない仲間を探しているときの孤独に焦燥感が不随する。
敵の策略にまんまとかかり戦力を分断されたことへ怒りと、おのれひと振りであるならば容易く折れるだろうと判断されたことへの屈辱を思い出し思わず舌を鳴らしてしまう。侮った敵はすべて切り伏せた。が、さすがに無傷ではいられなかった。握力が弱くなった利き手に得物を握らせて紐で拳を固定させた。貫かれた足はずきずきと痛み力が入らないものの、繋がってはいるので引きずっていくしかない。
仲間を探せる程度に動けるだけましだ、と自分に言い聞かせ鞘を杖代わりに歩を進める。
幸いなのはここがあぜ道なことだけだ。平坦な道が続き、ひとの気配もしない。街中であったならば人目につきやすく目立つだろうし、山中であればこうして移動することもままならなかった。
立ち止まり顔を上げると、高い空はオレンジから濃紺のグラデーションに染まりつつあった。うろこ雲を背に多くのトンボが飛んでいる。
穏やかな秋の夕暮れが弱った心へと沁みていき、じわりと目頭が熱くなった。
あぁ、まるで人間みたいじゃないか!
こんなものを感じるためにこの体を得たわけではないのに。そう否定しても、これを美しいものだと称賛する自分がいる。
遠くから自分を呼ぶ声が聞こえてくる。陽は沈み、空にわずかに残光を残しているだけ。
帰ってから初期刀にそのこと話せば「歌にするといいよ」と返ってきた。
まともに戦えない体を引きずって、どこにいるかもわからない仲間を探しているときの孤独に焦燥感が不随する。
敵の策略にまんまとかかり戦力を分断されたことへ怒りと、おのれひと振りであるならば容易く折れるだろうと判断されたことへの屈辱を思い出し思わず舌を鳴らしてしまう。侮った敵はすべて切り伏せた。が、さすがに無傷ではいられなかった。握力が弱くなった利き手に得物を握らせて紐で拳を固定させた。貫かれた足はずきずきと痛み力が入らないものの、繋がってはいるので引きずっていくしかない。
仲間を探せる程度に動けるだけましだ、と自分に言い聞かせ鞘を杖代わりに歩を進める。
幸いなのはここがあぜ道なことだけだ。平坦な道が続き、ひとの気配もしない。街中であったならば人目につきやすく目立つだろうし、山中であればこうして移動することもままならなかった。
立ち止まり顔を上げると、高い空はオレンジから濃紺のグラデーションに染まりつつあった。うろこ雲を背に多くのトンボが飛んでいる。
穏やかな秋の夕暮れが弱った心へと沁みていき、じわりと目頭が熱くなった。
あぁ、まるで人間みたいじゃないか!
こんなものを感じるためにこの体を得たわけではないのに。そう否定しても、これを美しいものだと称賛する自分がいる。
遠くから自分を呼ぶ声が聞こえてくる。陽は沈み、空にわずかに残光を残しているだけ。
帰ってから初期刀にそのこと話せば「歌にするといいよ」と返ってきた。