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とうらぶ

俺、山姥切に謝らないといけないことがあってさ。
え?戸棚のお菓子のことかって?なにそれ初耳なんだけど?それは俺じゃないな……あ、獅子王が食べてたあれか……?
まぁそれはあとで確認しといてよ。
で、今さらなんだよ、て感じなんだけど。
俺が山姥切を初期刀に選んだ理由、話したことなかったよな?
同じだと思ったんだよ。写しであることを抱えている姿が俺と同じだって。
俺ね、昔いたすごい審神者のクローンなんだ。
そのすごい審神者の霊力がまじですごくて、子孫だけに継がせていくには不安があったお偉いさん方がクローンを作ってさ。もう百年も前のことらしいんだけど、今俺がここにいることがその証拠。多分、まだクローンはいると思うしこれからも生まれると思う。
そう、だから俺の寿命は短い。クローンの短命は少しずつ克服しているんだけど、こうして初期のような寿命になることもまぁまぁあるわけで。
いつから自分がクローンだって知っていたかって?物心ついたときにはもう周りから言われていたし、同じ顔のやつらが何人もいたから「あぁそうなんだな」てすんなり受け入れてた。
本丸を受け持つ際にクローンの俺なんかになにを期待しているんだ、て思った。俺じゃなくなって、俺の代わりはいくらでも作れる。だから審神者になることにあまり前向きではなかったんだ、お前と出会うまでは。まさか初期刀に写しがいるとは思わないだろ。あ、いや、ごめん、別に写しが悪いというわけじゃないんだ。ただそれだけで少し俺の心は救われたというか。
写しでも始まりの一振りには選ばれるんだって。
まぁそれからは山姥切も知っての通りさ。
こうして命の瀬戸際に立つまで、俺、よく頑張った方じゃない?クローンにしてはさ。
ん?あんたはあんただって?……そうだな、俺は俺だ。昔いた誰かのコピーかもしれないけど、俺は俺だけの人生を生きてきた。こうしてそこそこの戦績を修めることもできた。
ありがとう山姥切。そしてごめんな。
お前のおかげでここまで来れたことに感謝しているし、お前を勝手に同類だと思っていて悪かった。
写しではあるが堀川国広の傑作で、この本丸で最強の刀だ。俺が保証する。……なんて、俺が言ってもしょうもないけど。
ふふ、そんな卑屈になるな、てお前その言葉ブーメランだからな。お前こそ「俺が写しだからか……」とか今後言うなよ。そんなこと、全くないんだから。
久しぶりに山姥切とたくさん話したな。審神者になって間もない頃以来か?たくさん話したら少し疲れた……一眠りするから夕飯時になったら起こしてくれ。

……あぁ、おやすみ。ありがとう、俺の初期刀。
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