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【未完】初期刀:山姥切

後日、政府から俺宛てに届いた修行許可証は不備だったとこんのすけから謝罪があった。ある程度条件、練度を上げなければ届かないものらしい。まだ顕現して間もない俺の元に届くはずがないと納得した。

「修行に行けなくてがっかりしたか?」

こんのすけからの連絡を共に聞いていた本科に問われ、頭の布をぎゅっと掴んだ。

「強くはなりたい、とは思っている。だが修行に出るのは、正直躊躇いがある」
「……それでいい。いつか行きたいと思ったときに行けばいい」

情けないと本科に呆れられるかと思ったが、すんなり受け入れてくれた。本科はそうだ。本能的に怖い、否定される、と思ってもそうはしない。いい加減慣れてもいいはずなのに、まだ出来ない自分への嫌悪が募る。



それから間もなく、政府からまた通知が届いた。今度のは審神者宛てで、全本丸に通知されているものらしい。

「特命調査?」

俺を初め、数振りの刀剣男士が集められてその通知の説明を受けていた。

「定期的に、放棄された歴史━━改変され正史から切り離された歴史を舞台に各本丸の実力を試される。今回は……おや、前に一度行ったことがあるな」

近侍を務める三日月宗近が資料を確認したあと、ちらりと俺の方を見た。気のせいか目も合った気がする。

「場所は聚楽第。なに、近いうちに監査官がやってきて詳しく説明してくれるだろう」

経験しているのならなにか助言や説明があるのかと思えば、参加者を募るだけで今回は終わってしまった。一体なにが目的の調査なのか。

「おい、三日月宗近」

席を立とうとする三日月宗近を捕まえ説明を仰ごうとしたが、月を宿した瞳がこちらをとらえると不思議と言葉が消える。

「安心しろ、山姥切国広。お前は強制参加だ」
「……は?」

はっはっはっ、と優雅に笑いながら去っていくその背を呆然と見送るしか出来なかった。
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