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マチネの新人
劇団オズマの昼公演 には、一人、ひどく目立つ客がいた。
それが自分だということが、オズには痛いほどわかっていた。開演準備中の段階で、多くの客がこちらを見ている。
威光に輝く金の髪も、宝玉のような緑の瞳も。顔立ちも背格好も、自分のそれらは、よく畏れられ――知られている王の姿でしかない。
どんなに服装で誤魔化しても、ここにいる自分がオズだと、民はみんな察している。
あれって王様だよねと噂する声も、怒らせちゃだめよと諫める声も聞こえてくる。
(ただ、公演を観に来ただけなのにな)
なんだか気まずくて、オズは誰からも目を逸らした。王のつもりで来たわけじゃない。友としてドロシーの勇姿を観に来たのだ。
ドロシーはオズにとって、立場を気にしない友人だ。仲もいい。いつも堂々としているドロシーに、オズはひそかな憧れを抱いている。
民衆の目から逃れたくて友を見上げる。ドロシーはその場限りの劇場を組み立てながら、オズを気にしてくれているようだった。
劇団オズマの公演準備は、会場そのものを建設するところから始まる。自分たちで劇場を作ってしまって、夜公演 の終了後に解体するのだ。この移動式劇団で、団員が旅をしなくていい理由も「現地で作られる劇場」にある。
野外劇場が魔法でするすると作られていくのも、芸術のようで見ていて気持ちがいい。ドロシーのことだから意識してそうしているんだろう。
開演前からやってきて、ステージが作られていくところを楽しむ客も多い。オズだって本来はそのひとりだ。そのはずだ。
なのに、無遠慮な視線の数々がオズを困らせた。だからといって下手に誰かを拒絶すれば、その者が王に逆らったとみなされてしまう。
――自分が何をすべきかわからない。
オズに対して、人間は王であれと求め、ゆえに魔導師はオズの王たるを認めた。王であるために何をすべきか、学びの足掛かりをどこにも置かずに。
玉座に取り残されたオズは、自分なりに不和を厭い、調和を求め、過去の判例を読み漁っては現在に示すばかり。
(オズ王がいる前から回っている世界で、僕に何をしろっていうんだ)
外からも内からも、オズを苛む声は止まない。いつだってそうだ。オズはただのオズとして動けない。
葛藤に沈んでしまうのを止めたのは、無垢な誰かの驚く声。どよめきを超えるざわめきが起きる。客席から黄色い声が続く。
「見て! ドロシーがこっちにくる!」
ドロシー。劇団オズマの名を掲げる者。指さす先に、くるりと跳んだその姿。金のみつあみが二本、真昼に映えてひかる。
帽子をおさえて、ドロシーが作りかけのステージから舞い降りた。それから、足音をたててオズのもとへと一直線。
「チップ、こんなところにいちゃダメじゃないか。キミは劇団員だよ。昼公演に出るんだろう」
何のことだろう? チップとは? 返事をする前に、彼女が言葉を重ねてしまう。
「新人とはいえ控え場と客席を間違えるなんて、お茶目なミスをするね。よほど緊張していたんだろう」
芝居がかかった手振りと言い回しは、舞台上にいる座長ドロシーの仕草だ。もう脚本は始まっているのか?
「人の少ないところでゆっくり話すとしようか。おいで」
ここは劇団オズマの公演会場。ドロシーの世界。彼女の宣言が定義で絶対だ。だから。
ドロシーは、オズによく似た「新人団員」の手を引いて、舞台の向こう側へと連れて行った。ざわめきのない場所へ。
「ちょっと、ドロシー、どういうことだよ」
「そういうことだよ。今のキミは王じゃない。ボクが引き入れた劇団員、新人の“チップ”だ。オズなんて王様はここに来なかったことにしてしまおう」
オズが事態を飲み込む間に、ドロシーは準備中の団員達にもさっと声をかける。あっという間に新人チップの飛び入り参加が決まってしまった。
演者も裏方もパーティーを始めたようにはしゃぎだす。
「彼らは団員の中でもアドリブが得意なのさ。いつだって偶然やチャンスを探してる」
そういうドロシーもご機嫌だった。オズに――チップと話しながら、手では団員に指示を出している。ひゅるりと飛んできた布をまとめると、裏方に投げ渡した。次に懐から手帳を取り出す。きっと公演の計画が書いてあるんだろう。
「演目は……そうだな、朗読劇がいい。ボクが夜に演る名物と同じにしよう。普段は『夜を導く朗読劇』だけど、そこを『白昼夢の朗読劇』として昼向けに作り変える。演出はほぼ即興になるね」
手帳と入れ替わりに、懐から大きな絵本が出てきて、ドロシーからチップへと手渡される。それが朗読劇の台本だと、チップは知っている。
「チップ。君がやるのは朗読だけ。ゆっくり、丁寧に、文字とだけ向き合えばいい。それを演出するのはボクの仕事だ」
急ごしらえとは思えない舞台衣装でオズをくるんだ。袖にフリルがついたシャツを中心にした清楚な服装だ。ドロシーのチョッキとよく似た模様の上着は、ハーフジレというらしい。
「そんなこと、できるのかな」
「ボクに任せて。元々は昼間の物語だし、如何様にも仕立てられるさ。腕が鳴るね」
ドロシーは不敵な笑みを浮かべた。こんなふうに笑える彼女の自信が、ずっと羨ましい。
それから、気が付けば公演は始まってしまい、風のような早さでチップの出番が来た。
「伝統の朗読劇を、新人の個性に合わせてアレンジした特別演目になります――」
ドロシーはチップの手を引いて、椅子に座らせる。演目紹介をしながら舞台袖へ姿を消し、舞台捜査の魔法を発動させた。
幕が上がる。
「――『ある昼下がりのことです』」
知っているシナリオだった。
何度も客席で聞いた脚本だ。劇団オズマの名物ストーリー。少女の小さな冒険。
色々な演者の声で聴いた話を、まさか自分が演ることになろうとは。不思議な感慨に浸りながら、凪いだ心で物語を音に乗せていく。
緊張すら心地よく、舞台ごと魔法にかかったようだった。
「『すっかり退屈になって、シャルロットはこっそり抜け出しました――』」
ドロシーが演る「朗読劇」は、自身が魔法で光や音を演出したり、たまに客席に目を向けてウインクなんてしたりするけど、チップは絵本の装丁をした台本から目を離さなかった。
椅子に座ったまま動かず、物語に入り込むようにただ読み上げる。声音に見え隠れする感情の揺らぎを、ドロシーが様々な演出で引き立てる。
昼間の舞台にあえて暗幕をかけたり。背景の絵をところどころ輝かせたり。
「――『シャルロットは、友達が欲しかったのです』」
多くの人間を前にして、こんなに長く喋ったのは初めてのことだった。そのことも、手元の絵本に導かれて、意識しなくなっていた。
いま舞台で声を発しているのは、オズではなくチップなのだから。
そして、物語は急展開。突然世界が切り替わる。
「『シャルロットは、真っ逆さまに落ちていきました』」
ひゅうと落下の感覚を演出する風が吹いて、チップの髪も、少女の絵と同じようになびく。
「『どこまでも、どこまでも。落っこちて』」
――そして出会った。
絵を追って、文字を唱えながら、その響きを感じていく。ここは大事な場面だから。
「『ずいぶん長い間落ちていたのに、シャルロットは平気です。怪我どころか痛みもありません。ぷにぷにの大きな影がシャルロットを受け止めてくれたのです』。……『あなたはだあれ? シャルロットはたずねました。影は答えました。わたしは』」
――君はチップ。人は違う名前で呼ぶと思う。
絵を追って、文字を唱えながら、思い出す。――オズに、そう言ってくれた人がいた。
現実とは別の景色が蘇る。前にもこう呼ばれたことがあると、チップは突然思い出した。
けれど、だめだ。いまは朗読劇に集中しなきゃいけない。チップがオズの記憶に落ちないように、絵本が繋いでくれていた。
それから先、物語に食らいつくように、チップは朗読を続けた。これは友情の話。熱が入ったのは、チップの想いもどこか似ていたから。
友達に相応しい存在になりたい。
「『シャルロットはずっと、友達と一緒です』」
締めくくりの一言に、ドロシーがどんな演出を添えたのか。それをチップは知らなくていい。そう思ってオズはあえて目を閉じた。魔法の気配も読まずに、幕が下りるのを待つ。
マチネの新人には、客席から歓声と拍手が贈られた。
「新人チップの公演はどうだった? お次は――おっと、新人の演技につられて、芸術家の創作意欲が燃え始めたようです。ここは予定を変更して、特別なインクの即興絵画をお披露目しましょう」
舞台袖にチップを押し込み、ドロシーは公演を続ける。ステージに戻る前、彼女は「楽にしてていいからね」と耳打ちを残した。
裏方の団員たちが用意してくれた椅子と心地いい無関心に甘えて、新人は眠るように目を伏せる。いまになって、身体が疲れを思い出していた。
チップの服を着たままで、オズはある光景について考える。
朗読劇の途中で、白昼夢のように蘇った記憶。
いったいあれは誰? 今日より前に、自分をチップと呼んだのは。
思い出そうとすればするほど遠くなる。あったはずの感覚が滑り落ちていく。
新人にチップと名付けたドロシーに聞けばわかるだろうか。いや、怖い。朧げな記憶は、誰かに喋ったら零れてなくなってしまいそうで。
どうして「忘れていたこと」さえ忘れていたのか。今日になるまで――。
オズの心のどこかで、不思議な扉が音を立てる。
真昼の夜明けが始まったことを、今はまだ誰も知らない。
劇団オズマの
それが自分だということが、オズには痛いほどわかっていた。開演準備中の段階で、多くの客がこちらを見ている。
威光に輝く金の髪も、宝玉のような緑の瞳も。顔立ちも背格好も、自分のそれらは、よく畏れられ――知られている王の姿でしかない。
どんなに服装で誤魔化しても、ここにいる自分がオズだと、民はみんな察している。
あれって王様だよねと噂する声も、怒らせちゃだめよと諫める声も聞こえてくる。
(ただ、公演を観に来ただけなのにな)
なんだか気まずくて、オズは誰からも目を逸らした。王のつもりで来たわけじゃない。友としてドロシーの勇姿を観に来たのだ。
ドロシーはオズにとって、立場を気にしない友人だ。仲もいい。いつも堂々としているドロシーに、オズはひそかな憧れを抱いている。
民衆の目から逃れたくて友を見上げる。ドロシーはその場限りの劇場を組み立てながら、オズを気にしてくれているようだった。
劇団オズマの公演準備は、会場そのものを建設するところから始まる。自分たちで劇場を作ってしまって、
野外劇場が魔法でするすると作られていくのも、芸術のようで見ていて気持ちがいい。ドロシーのことだから意識してそうしているんだろう。
開演前からやってきて、ステージが作られていくところを楽しむ客も多い。オズだって本来はそのひとりだ。そのはずだ。
なのに、無遠慮な視線の数々がオズを困らせた。だからといって下手に誰かを拒絶すれば、その者が王に逆らったとみなされてしまう。
――自分が何をすべきかわからない。
オズに対して、人間は王であれと求め、ゆえに魔導師はオズの王たるを認めた。王であるために何をすべきか、学びの足掛かりをどこにも置かずに。
玉座に取り残されたオズは、自分なりに不和を厭い、調和を求め、過去の判例を読み漁っては現在に示すばかり。
(オズ王がいる前から回っている世界で、僕に何をしろっていうんだ)
外からも内からも、オズを苛む声は止まない。いつだってそうだ。オズはただのオズとして動けない。
葛藤に沈んでしまうのを止めたのは、無垢な誰かの驚く声。どよめきを超えるざわめきが起きる。客席から黄色い声が続く。
「見て! ドロシーがこっちにくる!」
ドロシー。劇団オズマの名を掲げる者。指さす先に、くるりと跳んだその姿。金のみつあみが二本、真昼に映えてひかる。
帽子をおさえて、ドロシーが作りかけのステージから舞い降りた。それから、足音をたててオズのもとへと一直線。
「チップ、こんなところにいちゃダメじゃないか。キミは劇団員だよ。昼公演に出るんだろう」
何のことだろう? チップとは? 返事をする前に、彼女が言葉を重ねてしまう。
「新人とはいえ控え場と客席を間違えるなんて、お茶目なミスをするね。よほど緊張していたんだろう」
芝居がかかった手振りと言い回しは、舞台上にいる座長ドロシーの仕草だ。もう脚本は始まっているのか?
「人の少ないところでゆっくり話すとしようか。おいで」
ここは劇団オズマの公演会場。ドロシーの世界。彼女の宣言が定義で絶対だ。だから。
ドロシーは、オズによく似た「新人団員」の手を引いて、舞台の向こう側へと連れて行った。ざわめきのない場所へ。
「ちょっと、ドロシー、どういうことだよ」
「そういうことだよ。今のキミは王じゃない。ボクが引き入れた劇団員、新人の“チップ”だ。オズなんて王様はここに来なかったことにしてしまおう」
オズが事態を飲み込む間に、ドロシーは準備中の団員達にもさっと声をかける。あっという間に新人チップの飛び入り参加が決まってしまった。
演者も裏方もパーティーを始めたようにはしゃぎだす。
「彼らは団員の中でもアドリブが得意なのさ。いつだって偶然やチャンスを探してる」
そういうドロシーもご機嫌だった。オズに――チップと話しながら、手では団員に指示を出している。ひゅるりと飛んできた布をまとめると、裏方に投げ渡した。次に懐から手帳を取り出す。きっと公演の計画が書いてあるんだろう。
「演目は……そうだな、朗読劇がいい。ボクが夜に演る名物と同じにしよう。普段は『夜を導く朗読劇』だけど、そこを『白昼夢の朗読劇』として昼向けに作り変える。演出はほぼ即興になるね」
手帳と入れ替わりに、懐から大きな絵本が出てきて、ドロシーからチップへと手渡される。それが朗読劇の台本だと、チップは知っている。
「チップ。君がやるのは朗読だけ。ゆっくり、丁寧に、文字とだけ向き合えばいい。それを演出するのはボクの仕事だ」
急ごしらえとは思えない舞台衣装でオズをくるんだ。袖にフリルがついたシャツを中心にした清楚な服装だ。ドロシーのチョッキとよく似た模様の上着は、ハーフジレというらしい。
「そんなこと、できるのかな」
「ボクに任せて。元々は昼間の物語だし、如何様にも仕立てられるさ。腕が鳴るね」
ドロシーは不敵な笑みを浮かべた。こんなふうに笑える彼女の自信が、ずっと羨ましい。
それから、気が付けば公演は始まってしまい、風のような早さでチップの出番が来た。
「伝統の朗読劇を、新人の個性に合わせてアレンジした特別演目になります――」
ドロシーはチップの手を引いて、椅子に座らせる。演目紹介をしながら舞台袖へ姿を消し、舞台捜査の魔法を発動させた。
幕が上がる。
「――『ある昼下がりのことです』」
知っているシナリオだった。
何度も客席で聞いた脚本だ。劇団オズマの名物ストーリー。少女の小さな冒険。
色々な演者の声で聴いた話を、まさか自分が演ることになろうとは。不思議な感慨に浸りながら、凪いだ心で物語を音に乗せていく。
緊張すら心地よく、舞台ごと魔法にかかったようだった。
「『すっかり退屈になって、シャルロットはこっそり抜け出しました――』」
ドロシーが演る「朗読劇」は、自身が魔法で光や音を演出したり、たまに客席に目を向けてウインクなんてしたりするけど、チップは絵本の装丁をした台本から目を離さなかった。
椅子に座ったまま動かず、物語に入り込むようにただ読み上げる。声音に見え隠れする感情の揺らぎを、ドロシーが様々な演出で引き立てる。
昼間の舞台にあえて暗幕をかけたり。背景の絵をところどころ輝かせたり。
「――『シャルロットは、友達が欲しかったのです』」
多くの人間を前にして、こんなに長く喋ったのは初めてのことだった。そのことも、手元の絵本に導かれて、意識しなくなっていた。
いま舞台で声を発しているのは、オズではなくチップなのだから。
そして、物語は急展開。突然世界が切り替わる。
「『シャルロットは、真っ逆さまに落ちていきました』」
ひゅうと落下の感覚を演出する風が吹いて、チップの髪も、少女の絵と同じようになびく。
「『どこまでも、どこまでも。落っこちて』」
――そして出会った。
絵を追って、文字を唱えながら、その響きを感じていく。ここは大事な場面だから。
「『ずいぶん長い間落ちていたのに、シャルロットは平気です。怪我どころか痛みもありません。ぷにぷにの大きな影がシャルロットを受け止めてくれたのです』。……『あなたはだあれ? シャルロットはたずねました。影は答えました。わたしは』」
――君はチップ。人は違う名前で呼ぶと思う。
絵を追って、文字を唱えながら、思い出す。――オズに、そう言ってくれた人がいた。
現実とは別の景色が蘇る。前にもこう呼ばれたことがあると、チップは突然思い出した。
けれど、だめだ。いまは朗読劇に集中しなきゃいけない。チップがオズの記憶に落ちないように、絵本が繋いでくれていた。
それから先、物語に食らいつくように、チップは朗読を続けた。これは友情の話。熱が入ったのは、チップの想いもどこか似ていたから。
友達に相応しい存在になりたい。
「『シャルロットはずっと、友達と一緒です』」
締めくくりの一言に、ドロシーがどんな演出を添えたのか。それをチップは知らなくていい。そう思ってオズはあえて目を閉じた。魔法の気配も読まずに、幕が下りるのを待つ。
マチネの新人には、客席から歓声と拍手が贈られた。
「新人チップの公演はどうだった? お次は――おっと、新人の演技につられて、芸術家の創作意欲が燃え始めたようです。ここは予定を変更して、特別なインクの即興絵画をお披露目しましょう」
舞台袖にチップを押し込み、ドロシーは公演を続ける。ステージに戻る前、彼女は「楽にしてていいからね」と耳打ちを残した。
裏方の団員たちが用意してくれた椅子と心地いい無関心に甘えて、新人は眠るように目を伏せる。いまになって、身体が疲れを思い出していた。
チップの服を着たままで、オズはある光景について考える。
朗読劇の途中で、白昼夢のように蘇った記憶。
いったいあれは誰? 今日より前に、自分をチップと呼んだのは。
思い出そうとすればするほど遠くなる。あったはずの感覚が滑り落ちていく。
新人にチップと名付けたドロシーに聞けばわかるだろうか。いや、怖い。朧げな記憶は、誰かに喋ったら零れてなくなってしまいそうで。
どうして「忘れていたこと」さえ忘れていたのか。今日になるまで――。
オズの心のどこかで、不思議な扉が音を立てる。
真昼の夜明けが始まったことを、今はまだ誰も知らない。