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第3話 再びバラバラになったカード
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目を覚ますと、自室のベッドの上だった。カーテンの外は暗く、すっかり夜になっているようだった。
あれは全て夢か。契約して魔法少女になるなんてどこぞのアニメかとツッコミたくなった。この前友達の亮ちゃんにDVDを借りて観たから、それに影響されたな。それにしても長いしやけにリアルな夢だった、と上半身を起こして顔にかかった髪をかきあげた。
それにしても、変な時間に寝たせいか身体中がだるい。上半身を起こしてかけ布団を剥ぐと、セーラー服から伸びた自身の脚が見えた。
学校から帰って制服のまま寝てしまったのかと、シワのついたスカートを一瞥し着替えようと立ち上がったところで、自室のドアが開いた。
「おー姉ちゃん、目が覚めたかー!具合はどうや?」
「は、え、夢の中で見たぬいぐるみ?!」
やけに明るい関西弁を喋るオレンジ色のぬいぐるみが扉をくぐってベッド向かって飛んで来た。
夢で見たと思っていたそれが目の前を浮遊していて、目を丸くする。
「夢やないでーまぁ色々あったさかい、混乱しとるんやろ。とりあえず、下でゆっくりお茶にしよや。」
ぬいぐるみはふよふよと飛んで部屋から出て行った。
ーーーーーーーー
部屋着に着替え恐る恐るリビングのある1階へ降りていくと、我が家のソファにさっきのぬいぐるみと銀髪の男が座っていた。
リビングに入った私に先に気づいた銀髪の男と目があうと、彼は眉間にシワを寄せた。その様子に先ほど起こしにきてくれたぬいぐるみが私の気配を察し、こちらを向き手招きしてソファに座るように声をかけた。
恐る恐る近づいて、二人から一番遠い一人がけのソファに座った。テーブルには暖かそうな紅茶が入れられている。
「私の家なのに、知らない人が座ってる。。」
「そんなこと言わんと、、あぁ、自己紹介がまだやったな、わいはケルベロス。封印の獣や。」
「ケルベロスって、あの地獄の門番の?」
「わいはカードの守護者や。シンボルは『太陽(サン)』。『火』と『地』を司る。真の姿はめっちゃカッコええで!」
「はぁ、よろしくです。」
ケルベロスと名乗った羽の生えた小さなぬいぐるみは、えっへんとでも効果音がつきそうなほど胸をはって小さな手をこちらに差し出してきた。おずおずとその小さな手を握って握手を交わす。
「で、こいつはユエ。中国語で月のことや。シンボルはその名の通り『月』。」
「よ、よろしくお願いします。。。なまえです。。」
「・・・・・」
ユエと紹介された男はカードを捕まえた時の格好とは打って変わって、羽も生えてないし初めて玄関であった時の様に肩より少し長いくらいの長髪をゆるく横で結って流している。服は東洋と西洋を合わせたような衣装ではなく、今はゆったりとしたカットソーとテーパードパンツを履いている。ケルベロスと違って握手を求めてこられない辺り、警戒されてるのかそれともすでに嫌われているのか。私が自己紹介しても横目でこちらをちらりと見るだけだ。
「ユエ、もうちょっと愛想よくせなー」
「・・・えと、ユエ・・さんは人間なんですか?普通の格好してるし」
怖いながらも、率直な質問をユエにぶつけてみた。
「いや、ユエもわいと同じ、ヒトに作られしヒトならざるもんや。今は仮の姿。でも怖いもんやないで、ユエは人見知りするんや。」
「・・・人見知りなんてしてない。」
ボソリと呟かれた声はかすかにだが聞こえた。むすっとして見えるが、案外悪いヒトではないのかもしれないと思った直後、ユエさんはその場にすくっと立ち上がり、こちらと歩いてきた。
「カードを返してもらう」
ソファに座ったままの私の前に片膝をついて目線が合うようにユエが座る。
「出せ」
「ユエ、そんな言い方せんと・・」
「早く」
「は、はいっ」
ユエさんの不機嫌そうな声に急かされて、制服のポケットに入ったままになっていた、あの翔のカードを取り出した。よかった、折れていたりしていなくて、とそっと胸をなで下ろして、それをそっとユエさんへと渡す。
「私のせいでごめんなさい。このカードさん、怪我、なおったのかな。」
手の中の翔のカードをそっと指で撫でた。
「あぁ、今はもう大丈夫なはずだ。」
「そっか、良かったです。さて、翔も捕まえて責任を果たしたことだし、私の仮カードキャプターもお役御免ってことですよね?」
「そのカード、この本に戻そか。そしたら一件落着や。」
ユエさんがカバンからピンクの本を取り出し、表紙を開けた。その本には、あるはずのページがなくて、あるのはカードの形に四角くくりぬかれた溝だった。そこにはすでにカードが収めされている。翔のカードをそこに収める際、一番上に重ねられていた、『風』と書かれたカードが目に止まった。
「綺麗。」と素直な感想が思わず口から出た。
「『風 』?」
なぜか頭に直接その名が浮かんできて、無意識に口から出ていた。
その瞬間、突風が吹き荒れた。
「え、室内なのに?!なんで風が吹くの?!」
「あ、あかん、なまえまた!」
「・・?!」
目の前で綺麗な放物線を描いて飛んでいく流れ星のような光は、四方八方に飛びさり、しばらくすると見えなくなってしまった。
「な、なんだったの・・今の・・・?」
「またや!またカードが世界へ飛び散ってしまったで!」
「なんてことだ・・」
その小さな頭をかかえるケルベロスさんとうなだれ額に片手を当てているユエさん。状況把握はさっぱりだが、これだけはわかる。また、自分が何かやらかしたらしい、と。ユエさんの手の中にある本のカードを納めていた四角い溝は何度見ても空で、私がまた何かをやらかしたと物語っている。
「あ、あの・・・・えっと・・・」
「なまえ!こうなったら全部集めきるまで責任とってもらうでー!新生☆2代目カードキャプターの誕生やー!」
「えーーーーー!!!??」
こうして、カードキャプターになってしまった私の生活は一変し、この人ならざるものたちとカードとの新しい生活が始まった。
「え、ちょっと私、無理よ!学校だってあるし、ご近所の目も・・・」
「選定者ケルベロスが選んだ正式な二代目カードキャプターやー!働いてもらうでー!!!人生色々やーよっしゃー!!」
変な掛け声でなぜか気合の入りまくっているケルベロスを横目に、ユエさんは大変不機嫌そうだ。
「・・・わかりました。責任持ってカード集めます。」
「私は認めない。新しい主なんかいらない。」
「あなたに認めてもらいたくてやるんじゃない!起こしてしまったことの責任取るだけ!主になんかなるつもりないし。」
「まぁまぁお二人さん、ケンカせんと・・・」
深く刻んでいた眉間のシワを一層深くしたユエさんは、私をジロリと睨むと斬って捨てるように言った。
自分のやってしまったことに責任とるためだし、主になる気なんて全くないのに。
でもどこか胸の奥で自分自身を拒絶されている気がして、胸のあたりがじくりと痛んだ。
あれは全て夢か。契約して魔法少女になるなんてどこぞのアニメかとツッコミたくなった。この前友達の亮ちゃんにDVDを借りて観たから、それに影響されたな。それにしても長いしやけにリアルな夢だった、と上半身を起こして顔にかかった髪をかきあげた。
それにしても、変な時間に寝たせいか身体中がだるい。上半身を起こしてかけ布団を剥ぐと、セーラー服から伸びた自身の脚が見えた。
学校から帰って制服のまま寝てしまったのかと、シワのついたスカートを一瞥し着替えようと立ち上がったところで、自室のドアが開いた。
「おー姉ちゃん、目が覚めたかー!具合はどうや?」
「は、え、夢の中で見たぬいぐるみ?!」
やけに明るい関西弁を喋るオレンジ色のぬいぐるみが扉をくぐってベッド向かって飛んで来た。
夢で見たと思っていたそれが目の前を浮遊していて、目を丸くする。
「夢やないでーまぁ色々あったさかい、混乱しとるんやろ。とりあえず、下でゆっくりお茶にしよや。」
ぬいぐるみはふよふよと飛んで部屋から出て行った。
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部屋着に着替え恐る恐るリビングのある1階へ降りていくと、我が家のソファにさっきのぬいぐるみと銀髪の男が座っていた。
リビングに入った私に先に気づいた銀髪の男と目があうと、彼は眉間にシワを寄せた。その様子に先ほど起こしにきてくれたぬいぐるみが私の気配を察し、こちらを向き手招きしてソファに座るように声をかけた。
恐る恐る近づいて、二人から一番遠い一人がけのソファに座った。テーブルには暖かそうな紅茶が入れられている。
「私の家なのに、知らない人が座ってる。。」
「そんなこと言わんと、、あぁ、自己紹介がまだやったな、わいはケルベロス。封印の獣や。」
「ケルベロスって、あの地獄の門番の?」
「わいはカードの守護者や。シンボルは『太陽(サン)』。『火』と『地』を司る。真の姿はめっちゃカッコええで!」
「はぁ、よろしくです。」
ケルベロスと名乗った羽の生えた小さなぬいぐるみは、えっへんとでも効果音がつきそうなほど胸をはって小さな手をこちらに差し出してきた。おずおずとその小さな手を握って握手を交わす。
「で、こいつはユエ。中国語で月のことや。シンボルはその名の通り『月』。」
「よ、よろしくお願いします。。。なまえです。。」
「・・・・・」
ユエと紹介された男はカードを捕まえた時の格好とは打って変わって、羽も生えてないし初めて玄関であった時の様に肩より少し長いくらいの長髪をゆるく横で結って流している。服は東洋と西洋を合わせたような衣装ではなく、今はゆったりとしたカットソーとテーパードパンツを履いている。ケルベロスと違って握手を求めてこられない辺り、警戒されてるのかそれともすでに嫌われているのか。私が自己紹介しても横目でこちらをちらりと見るだけだ。
「ユエ、もうちょっと愛想よくせなー」
「・・・えと、ユエ・・さんは人間なんですか?普通の格好してるし」
怖いながらも、率直な質問をユエにぶつけてみた。
「いや、ユエもわいと同じ、ヒトに作られしヒトならざるもんや。今は仮の姿。でも怖いもんやないで、ユエは人見知りするんや。」
「・・・人見知りなんてしてない。」
ボソリと呟かれた声はかすかにだが聞こえた。むすっとして見えるが、案外悪いヒトではないのかもしれないと思った直後、ユエさんはその場にすくっと立ち上がり、こちらと歩いてきた。
「カードを返してもらう」
ソファに座ったままの私の前に片膝をついて目線が合うようにユエが座る。
「出せ」
「ユエ、そんな言い方せんと・・」
「早く」
「は、はいっ」
ユエさんの不機嫌そうな声に急かされて、制服のポケットに入ったままになっていた、あの翔のカードを取り出した。よかった、折れていたりしていなくて、とそっと胸をなで下ろして、それをそっとユエさんへと渡す。
「私のせいでごめんなさい。このカードさん、怪我、なおったのかな。」
手の中の翔のカードをそっと指で撫でた。
「あぁ、今はもう大丈夫なはずだ。」
「そっか、良かったです。さて、翔も捕まえて責任を果たしたことだし、私の仮カードキャプターもお役御免ってことですよね?」
「そのカード、この本に戻そか。そしたら一件落着や。」
ユエさんがカバンからピンクの本を取り出し、表紙を開けた。その本には、あるはずのページがなくて、あるのはカードの形に四角くくりぬかれた溝だった。そこにはすでにカードが収めされている。翔のカードをそこに収める際、一番上に重ねられていた、『風』と書かれたカードが目に止まった。
「綺麗。」と素直な感想が思わず口から出た。
「『
なぜか頭に直接その名が浮かんできて、無意識に口から出ていた。
その瞬間、突風が吹き荒れた。
「え、室内なのに?!なんで風が吹くの?!」
「あ、あかん、なまえまた!」
「・・?!」
目の前で綺麗な放物線を描いて飛んでいく流れ星のような光は、四方八方に飛びさり、しばらくすると見えなくなってしまった。
「な、なんだったの・・今の・・・?」
「またや!またカードが世界へ飛び散ってしまったで!」
「なんてことだ・・」
その小さな頭をかかえるケルベロスさんとうなだれ額に片手を当てているユエさん。状況把握はさっぱりだが、これだけはわかる。また、自分が何かやらかしたらしい、と。ユエさんの手の中にある本のカードを納めていた四角い溝は何度見ても空で、私がまた何かをやらかしたと物語っている。
「あ、あの・・・・えっと・・・」
「なまえ!こうなったら全部集めきるまで責任とってもらうでー!新生☆2代目カードキャプターの誕生やー!」
「えーーーーー!!!??」
こうして、カードキャプターになってしまった私の生活は一変し、この人ならざるものたちとカードとの新しい生活が始まった。
「え、ちょっと私、無理よ!学校だってあるし、ご近所の目も・・・」
「選定者ケルベロスが選んだ正式な二代目カードキャプターやー!働いてもらうでー!!!人生色々やーよっしゃー!!」
変な掛け声でなぜか気合の入りまくっているケルベロスを横目に、ユエさんは大変不機嫌そうだ。
「・・・わかりました。責任持ってカード集めます。」
「私は認めない。新しい主なんかいらない。」
「あなたに認めてもらいたくてやるんじゃない!起こしてしまったことの責任取るだけ!主になんかなるつもりないし。」
「まぁまぁお二人さん、ケンカせんと・・・」
深く刻んでいた眉間のシワを一層深くしたユエさんは、私をジロリと睨むと斬って捨てるように言った。
自分のやってしまったことに責任とるためだし、主になる気なんて全くないのに。
でもどこか胸の奥で自分自身を拒絶されている気がして、胸のあたりがじくりと痛んだ。