名前変換推奨。
第13話 炎で溺れる人工呼吸!
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お昼時、自然発火は起きず、その原因も見つからないため、小腹が空いたと休憩のため海の家へと立ち寄る。
流石にお昼時とあってかそこそこ混んでいて、やっと空いた席へと腰を落ち着かせた。
美味しそうな鉄板焼きの匂いが立ち込め、食欲をそそられる。食べ物の注文をしようと、そこにいた女性店員に声をかけた。
「あ、すみません、注文お願いしますー!」
「あ、はーい!今いきまーす!」
聞き覚えのある声だとその店員の方を見た瞬間、春人はその店員を指をさして騒ぎ出した。
「あー!!!!あの女装小僧やないか!!」
「あー!!!!封印の獣!なんでここにいるのー!?あ、なまえー!私に会いに来てくれたのー?うれしー!」
「あ、飛香・・・ここで働いてるの・・・?」
「そうー!夏の限定バイト☆この格好で面接行ったら、一発合格だったのー!」
なんと、海の家で飛香が店員として働いていた。語尾にハートを飛ばしつつ、私の腕に絡みつき、上目遣いで迎えてくれた。
このあざとさにここの店長は瞬殺されたのだろう・・。男の子とわかっていても、未だその一つ一つの仕草は女の子そのものにしか見えない。
カツラは毎度違うものを揃えているのか、今日はピンクのツインテールを付けていて、ノースリーブのパーカーと男の子とは思えない綺麗な脚を存分に出したデニムの短パンに、海の家のエプロンを着ている。
海の家らしい、動きやすく夏にぴったりの可愛い装いだ。どこからどうみてもちょっと派手なサブカル女子にしか見えない。
これが一個下の男の子とは・・・神の創造力はどこまでも不公平だ、となまえは心の中でごちた。
あの「跳(ジャンプ)」の事件から数日後、なんと飛香とは高校の校舎内でドラマのような運命的な再会を果たしていた。
同じ高校に通う後輩で、今年入学した1年生だったのだ。
普段、彼は女子の制服を着て登校しているが、時折男子の制服を着て現れ、クラスメイトを脅かせているらしい。
これではどちらがデフォルトかわからないが、1年生の間では結構な人気者なのだと本人から聞いた。
同じ高校に通っていたのにこんなに可愛い女子生徒・・・ではなく、女装男子がいるとは亮ちゃんもノーマークであったらしく、
「こんなに可愛い男の娘が同学年にいたらすぐ気付くわよ。女子の制服全く違和感なく着こなしているし、うちの学校マンモス校だし、新1年生でまだ夏休み前だったし、ノーマークだったわ・・・」
と机に突っ伏して本気で悔しがっていた。
こんな目立つ生徒、噂になってもいいものだが、どうやら2年のクラスにはまだ噂は流れてきていなかったようだ。
怪盗猫娘として初めて会った時、2人は険悪なムードだったけど、コスプレの趣味が合ったのか、あれからすっかり意気投合していた。
「飛香、今日のヅラも似合ってるわね」
「そうでしょ☆亮はわかってくれるー!これバイト用に新調したのー!」
「うん、うん、似合ってる似合ってる!違和感が仕事しなさすぎて、逆に心配になってくるわ」
「うん、うん、違和感、仕事しろってなるよね。なんなんだろう、この可愛い生き物」
「なまえにカワイイなんて言われるなんて照れるー!」
そう言って本当に照れているのか怪しいが、腕にますます密着してくる。
男の娘なのに、なんでいい匂いするんだ。本当に不公平だ。
「でも、俺、なまえにはかっこいいって言って欲しいな」
その声はさっきまでの少し高めの女の子の声ではなく、1オクターブ下の男子の声になっている。
お行儀悪くテーブルの上に腰掛けると、私の顎に指をかけて顔を近づけてきた。
顎にかけた指をすっと掬い、顔を上げさせられる。ピンクのヅラに縁取られた端正な顔がすぐ近くにある。
あぁ、こんな距離で見るのは前回、跳(ジャンプ)の時に樹(ウッド)で助け出した時か、とその羨ましいほどに整った顔を間近で見ながら、どこか他人ごとの様にボンヤリと思った。
「いい加減にしろ。行儀が悪いぞ」
すぐ隣からユエさんの声が聞こえてきて、ふと我に返る。
声が聞こえてきた方を見ると、ユエさんが眉間に深く皺を寄せ、飛香の腕を掴んで私から彼の身体を離した。
「これからがいいところなのに」
そう言って唇を尖らす飛香の、ユエを睨みつけるその目は無垢な子猫のようであるが、どこか鋭さを含んでいるように見えた。
ユエさんがその言葉に冷たい目を向ける。
「店員なら早く注文を取れ」
「・・・ふーん?月の力の者ってもっとドライかと思ったけど、案外情熱的?月城センセ。」
「黙れ」
「ふふ。あんまり遊んでると怒られちゃうねー」
飛香は可愛く舌を出すと、ユエさんに掴まれていた腕を振りほどき、さっとテーブルから降りた。
ユエさんは不機嫌そうな目を私に向け、頭に優しく手を置いた。
「お前は隙がありすぎだ」
「え、ご・・ごめんなさい・・・?」
「ささ!ご注文をどうぞー!今日は特別に友達割引しちゃう!どんどん頼んでー!」
飛香は声もいつもの高さに戻ってショートパンツからメモ帳を取り出して注文を取る。
あっけにとられていた私は亮ちゃんの、「なまえ、注文何にする?」の声で慌ててメニュー表を覗き込んだ。
「じゃ、料理できたらカウンターで呼ぶから、取りに来てね」
そう言って軽い足取りで飛香はキッチンの方へとかけて行った。
あれはなんだったのかと、嵐のようにやって来て嵐のように去っていった飛香の後ろ姿と、まだ不機嫌そうに頬杖を付いているユエさんを交互に見たが、一向に答えは出なかった。
しばらくして、4人分の注文が出来上がったようで、カウンターから声がかかった。
取りに行こうと立ち上がったところで、海の家の外から悲鳴が上がった。
「きゃー!!!火がーー!!!」
「また自然発火だ!!」
「なにー!?怪奇現象?!」
「だれか!消火器持ってこい!」
海の家の客もこの騒ぎにざわついている。外では同じ方向にむかって人が走って避難しているのが見える。
人が走ってくる方向を見ようと、海の家のテラスへと走り寄り欄干に足をかけて身を乗り出す。
30メートルくらい先の浜辺で火柱が上がっていた。
「あの火!!!」
「あぁ!あれは炎(ファイアリー)や!!」
テラスへと走り寄って来た春人とユエさんが横に並び、炎の上がっている方向を確認し叫ぶ。
私はパーカーの下につけていた星の鍵を取り出すが、この混乱で人がごった返している状況を見て躊躇する。
「でも、こんなに人の多い場所じゃ、魔法使えないよ!」
「あら、なまえ、こーんなこともあろうかと!用意してきたのよ!」
テラスに悠々と歩いて来た亮ちゃんがどこから取り出したのか、大きいボストンバックを肩にかけている。
それをどさりとテラスに置いた。それは遠征の時にガラガラとは別で亮ちゃんが荷物を入れているいつものバッグだ。
そのバッグにまさかと予感がし、背中をぬるい汗が伝った。
「亮ちゃん・・まさか・・」
「そのまさかよ!」
流石にお昼時とあってかそこそこ混んでいて、やっと空いた席へと腰を落ち着かせた。
美味しそうな鉄板焼きの匂いが立ち込め、食欲をそそられる。食べ物の注文をしようと、そこにいた女性店員に声をかけた。
「あ、すみません、注文お願いしますー!」
「あ、はーい!今いきまーす!」
聞き覚えのある声だとその店員の方を見た瞬間、春人はその店員を指をさして騒ぎ出した。
「あー!!!!あの女装小僧やないか!!」
「あー!!!!封印の獣!なんでここにいるのー!?あ、なまえー!私に会いに来てくれたのー?うれしー!」
「あ、飛香・・・ここで働いてるの・・・?」
「そうー!夏の限定バイト☆この格好で面接行ったら、一発合格だったのー!」
なんと、海の家で飛香が店員として働いていた。語尾にハートを飛ばしつつ、私の腕に絡みつき、上目遣いで迎えてくれた。
このあざとさにここの店長は瞬殺されたのだろう・・。男の子とわかっていても、未だその一つ一つの仕草は女の子そのものにしか見えない。
カツラは毎度違うものを揃えているのか、今日はピンクのツインテールを付けていて、ノースリーブのパーカーと男の子とは思えない綺麗な脚を存分に出したデニムの短パンに、海の家のエプロンを着ている。
海の家らしい、動きやすく夏にぴったりの可愛い装いだ。どこからどうみてもちょっと派手なサブカル女子にしか見えない。
これが一個下の男の子とは・・・神の創造力はどこまでも不公平だ、となまえは心の中でごちた。
あの「跳(ジャンプ)」の事件から数日後、なんと飛香とは高校の校舎内でドラマのような運命的な再会を果たしていた。
同じ高校に通う後輩で、今年入学した1年生だったのだ。
普段、彼は女子の制服を着て登校しているが、時折男子の制服を着て現れ、クラスメイトを脅かせているらしい。
これではどちらがデフォルトかわからないが、1年生の間では結構な人気者なのだと本人から聞いた。
同じ高校に通っていたのにこんなに可愛い女子生徒・・・ではなく、女装男子がいるとは亮ちゃんもノーマークであったらしく、
「こんなに可愛い男の娘が同学年にいたらすぐ気付くわよ。女子の制服全く違和感なく着こなしているし、うちの学校マンモス校だし、新1年生でまだ夏休み前だったし、ノーマークだったわ・・・」
と机に突っ伏して本気で悔しがっていた。
こんな目立つ生徒、噂になってもいいものだが、どうやら2年のクラスにはまだ噂は流れてきていなかったようだ。
怪盗猫娘として初めて会った時、2人は険悪なムードだったけど、コスプレの趣味が合ったのか、あれからすっかり意気投合していた。
「飛香、今日のヅラも似合ってるわね」
「そうでしょ☆亮はわかってくれるー!これバイト用に新調したのー!」
「うん、うん、似合ってる似合ってる!違和感が仕事しなさすぎて、逆に心配になってくるわ」
「うん、うん、違和感、仕事しろってなるよね。なんなんだろう、この可愛い生き物」
「なまえにカワイイなんて言われるなんて照れるー!」
そう言って本当に照れているのか怪しいが、腕にますます密着してくる。
男の娘なのに、なんでいい匂いするんだ。本当に不公平だ。
「でも、俺、なまえにはかっこいいって言って欲しいな」
その声はさっきまでの少し高めの女の子の声ではなく、1オクターブ下の男子の声になっている。
お行儀悪くテーブルの上に腰掛けると、私の顎に指をかけて顔を近づけてきた。
顎にかけた指をすっと掬い、顔を上げさせられる。ピンクのヅラに縁取られた端正な顔がすぐ近くにある。
あぁ、こんな距離で見るのは前回、跳(ジャンプ)の時に樹(ウッド)で助け出した時か、とその羨ましいほどに整った顔を間近で見ながら、どこか他人ごとの様にボンヤリと思った。
「いい加減にしろ。行儀が悪いぞ」
すぐ隣からユエさんの声が聞こえてきて、ふと我に返る。
声が聞こえてきた方を見ると、ユエさんが眉間に深く皺を寄せ、飛香の腕を掴んで私から彼の身体を離した。
「これからがいいところなのに」
そう言って唇を尖らす飛香の、ユエを睨みつけるその目は無垢な子猫のようであるが、どこか鋭さを含んでいるように見えた。
ユエさんがその言葉に冷たい目を向ける。
「店員なら早く注文を取れ」
「・・・ふーん?月の力の者ってもっとドライかと思ったけど、案外情熱的?月城センセ。」
「黙れ」
「ふふ。あんまり遊んでると怒られちゃうねー」
飛香は可愛く舌を出すと、ユエさんに掴まれていた腕を振りほどき、さっとテーブルから降りた。
ユエさんは不機嫌そうな目を私に向け、頭に優しく手を置いた。
「お前は隙がありすぎだ」
「え、ご・・ごめんなさい・・・?」
「ささ!ご注文をどうぞー!今日は特別に友達割引しちゃう!どんどん頼んでー!」
飛香は声もいつもの高さに戻ってショートパンツからメモ帳を取り出して注文を取る。
あっけにとられていた私は亮ちゃんの、「なまえ、注文何にする?」の声で慌ててメニュー表を覗き込んだ。
「じゃ、料理できたらカウンターで呼ぶから、取りに来てね」
そう言って軽い足取りで飛香はキッチンの方へとかけて行った。
あれはなんだったのかと、嵐のようにやって来て嵐のように去っていった飛香の後ろ姿と、まだ不機嫌そうに頬杖を付いているユエさんを交互に見たが、一向に答えは出なかった。
しばらくして、4人分の注文が出来上がったようで、カウンターから声がかかった。
取りに行こうと立ち上がったところで、海の家の外から悲鳴が上がった。
「きゃー!!!火がーー!!!」
「また自然発火だ!!」
「なにー!?怪奇現象?!」
「だれか!消火器持ってこい!」
海の家の客もこの騒ぎにざわついている。外では同じ方向にむかって人が走って避難しているのが見える。
人が走ってくる方向を見ようと、海の家のテラスへと走り寄り欄干に足をかけて身を乗り出す。
30メートルくらい先の浜辺で火柱が上がっていた。
「あの火!!!」
「あぁ!あれは炎(ファイアリー)や!!」
テラスへと走り寄って来た春人とユエさんが横に並び、炎の上がっている方向を確認し叫ぶ。
私はパーカーの下につけていた星の鍵を取り出すが、この混乱で人がごった返している状況を見て躊躇する。
「でも、こんなに人の多い場所じゃ、魔法使えないよ!」
「あら、なまえ、こーんなこともあろうかと!用意してきたのよ!」
テラスに悠々と歩いて来た亮ちゃんがどこから取り出したのか、大きいボストンバックを肩にかけている。
それをどさりとテラスに置いた。それは遠征の時にガラガラとは別で亮ちゃんが荷物を入れているいつものバッグだ。
そのバッグにまさかと予感がし、背中をぬるい汗が伝った。
「亮ちゃん・・まさか・・」
「そのまさかよ!」