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第11話 怪盗猫娘!
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その日の夜、おばあちゃんの家の近くの公園で待ち合わせた私たちは、そこから九条邸を偵察する事にした。
少し小高くなっている公園からは、すぐ下の九条邸が一望できた。
ちなみに今日のコスチュームはあのポニーテールがトレードマークのマジシャン怪盗の衣装だ。
頭と胸元の大きなリボン、ピンクのスカート、そして腕を覆う長い手袋。今日は余り派手ではなく、動きやすい格好で少し安堵したが、これではどっちが怪盗か分からない。
亮ちゃんは、警察側にイケメンの警察見習いでもいたら最高なんだけどねーと呟いていた。ケロちゃんは今夜はぬいぐるみの姿で、頭に私とおそろいのリボンをつけられている。亮ちゃんのスマホの画面に向かって張り切ってポーズしていた。
いそいそと4人、高台にある公園の茂みに姿を隠し、目下の神蔵邸を見下ろす。おばあちゃんはちゃんと警察に連絡をしたようで、敷地を囲むようにパトカーか何台か停まっており、厳重な警備体制が敷かれているようだ。中に猫娘が入る事は阻止できそうな様子を見て、少し安心した。
私達は彼女が外から侵入しようとする前に足止めし、そしてカードを本当に持っているのかどうか確かめる作戦だ。
「そろそろ、予告の時間ね」
亮ちゃんが腕時計を見て犯行予告の時刻を告げる。カードには丁寧にも犯行予告の時刻まで書かれていた。時計の針が19時を指す。
辺りは閑静な住宅街だからか、とても静かでこれからそんな騒ぎが起きるなんて感じさせないほど穏やかな空気が流れている。
次の瞬間、がさりと木の枝が揺れる音がして、どこからか人影が飛び出してきた。
その人影が宙を舞っている間、時間がやけにゆっくりと流れているようだった。長いポニーテールと猫の尻尾をゆったりと風に靡かせ、猫のお面で顔の上半分を隠している。その足には新聞で見たあの羽が光っている。
「やっぱりアレは跳(ジャンプ)のカードや!」
ケロちゃんが猫娘の足元をを確認し、大声を上げた。
その声にこちらに気づいて一瞥をくれた猫娘のその顔は、目元が隠れて表情なんてはっきりとは見えないのに、どこか微笑んでいる様に見えた。
その彼女はスッと屋根に着地し、神蔵邸の窓を割って侵入した。
「奴が九条邸に入ってしもうたで!」
ケロちゃんのその声にハッと我に帰った私は九条邸の窓ガラスが割れた箇所へ慌てて視線を向けた。
しかし、警察が割れる物音に気づき駆けつけた時にはすでに遅く、『猫の涙』はすでに部屋から消えていたようだ。
警察が無線機を使って辺りを探せ!と話しているのが微かに聞こえた。
「こんな一瞬で一体どうやって・・・」
「アタシがどうやって獲物を獲ったのか、知りたい?」
目を凝らして辺りを見回していると、背後から知らない声がした。
声の方向へ振り向くと、さっき宙を舞っていた猫娘がいつのまにか後ろに立っていた。その手には『猫の涙』が握られている。
「あなた、おばあちゃんの置き物を返しなさい!それ、どうするつもりなのよ?!」
「アタシがコレをどうしようが関係ないじゃない。しかもアナタ達の方がよっぽど見た目怪しいわ。ここで何してるの?」
それもそうだ・・・と納得しそうになったが、今はそれどころではない。
彼女の足元を見ると、微かに光る羽がある。
「それに、そのカード・・なんであなたが持っているの?」
「あぁ、これ?」
そう言って彼女は指ですっと宙を撫でると、足の羽がすっと消え、彼女の肩に長い耳と尻尾の生えた目つきの悪い兎?のような生き物の姿に形を変えた。
「拾ったのよ。行くところがなさそうだったし、可愛かったし。私、ちょっと魔法使えるし」
「か、可愛い・・・?」
彼女が人差し指で跳(ジャンプ)の眉間の掻くと気持ちよさそうに目を細めた。
亮ちゃんの美的センスには合わなかったようで、可愛いと言われた跳(ジャンプ)を凝視している。
しかし、私以外にも魔力があって魔法が使える子がいるなんて、なんで考えつきもしなかったのだろうか。
実際に会って目の前で魔法を使うところを目の当たりにすると、昼間感じた不安が襲ってきて、鳩尾の辺りに鈍痛を感じた。
「確かに、ねーちゃんからは微かに魔力を感じるわ」
「そ、その目つきの悪い子、私たちが探していた子なの。返してくれる・・?」
「あらそうなの。はいどうぞって素直に返してあげれるほど私はいい子ちゃんじゃないのよ。このふわふわの子の能力には助けて貰えてるしね」
こちらを見下してふふんと高飛車に笑い、再び跳(ジャンプ)を使って飛び上がった。
「この広い公園内で、私を捕まえられたら考えてあげてもいいわ」
そう言って公園の真ん中にある大きな池を飛び越えてどんどん遠くへ行ってしまう。
「なまえ!翔(フライ)で追いかけるで!」
「うん!翔(フライ)!」
背中に羽を生やし、ぴょんぴょんと飛んでいく猫娘の背を追っていく。
跳(ジャンプ)を使いこなしているだけあって、すばしっこくひょいひょいと角度を変えてジグザグに動き回るもんだから、追いつけない。
「もう!かの者を捕らえよ!樹(ウッド)!」
樹の枝をジグザグに繰り出し、彼女の背を追ってなんとか捕縛を試みるが、すばしっこく的が定まらず、なかなか捕まえられない。
そのとき、樹の枝が着地した猫娘の脚を掠って、体勢がわずかだが崩れた。
しかしそれも一瞬のことで、すぐさま体勢を立て直し、再び地を蹴って宙へと舞う。
「やるじゃない。でもまだまだ!」
「なまえ!もういっちょや!」
「ダメ!木の枝じゃ怪我させちゃう!違う方法を考えないと!」
一度地に降り、どうしようと考えあぐねていると、ユエさんが私に耳打ちする。
「私が足止めする。風(ウィンディ)で再度体勢を崩させろ」
「っ!わかった!ケロちゃん、サポートお願い!」
「よっしゃー!いくでー!」
再び翔(フライ)で空に舞い上がる。
「あら、挟み撃ちの作戦?3対1は卑怯じゃなくて?」
「九条のおばあちゃんから盗もうなんて卑劣な真似をする人とフェアにやりあう気なんてないわ!」
「正義感溢れるって感じね。でも私を捕まえられないと意味がないわよ!」
猫娘が私の頭上のはるか上を弧を描くように飛び越えていく。
飛んで行った方向へ振り返った時、ユエさんとケロちゃんが猫娘の前へ躍り出る。
それに間一髪気づいた猫娘は体をねじり、近くの木を蹴って再度こちらへ跳んでくる。
その隙を狙って、風(ウィンディ)で突風を起こした。
案の定、無理な体勢だった猫娘は風に煽られ、そのまま地面へと急降下していく。
「樹々よ!緑に覆い茂り かの者の助けとなれ!樹(ウッド)!」
鎖状に枝を生い茂らせ、彼女を地面すれすれのところで受け止めた。
作戦がうまくいき、無事猫娘も確保できたことで緊張が一気に解け、ふぅと一息吐いて地面へと降り立つ。
猫娘は木で作ったハンモックの中で気を失っているようだ。
私は彼女を抱き上げ、怪我をしてないか急いで確認する。葉っぱで小さなすり傷はできているが、幸い目立った外傷は無いようだ。
「よかった、怪我、してない」
抱き上げていた身体をハンモックへと戻そうとした時、眉間にしわを寄せながら目を覚ました。
「あ、あれ、気を失ってた・・?」
腕の中で目を覚ました猫娘の顔をまじまじと見つめる。半面を覆っていたお面は落ちた時にどこかで落としたようだ。
長い睫毛、はっきりとした顔立ち、すっと通った鼻筋は女子の自分から見ても、とても可愛かった。
「さぁ!観念しなさい!」
「猫の姉ちゃん!跳(ジャンプ)と猫の置物を返してもらうで!」
一部始終を録画していた亮ちゃんがスマホを片手に、そしてケロちゃんが春人の姿で猫娘に詰め寄る。
「嫌よ!これは私の獲物だし、このふわふわな生き物も私のものよ!」
彼女は頑なに置物と跳(ジャンプ)を手放そうとしなかった。
その目はどこか憂いを帯びていて、なぜだか彼女は私利私欲のために解答をしている様にはどうしても見えなかった。
少し小高くなっている公園からは、すぐ下の九条邸が一望できた。
ちなみに今日のコスチュームはあのポニーテールがトレードマークのマジシャン怪盗の衣装だ。
頭と胸元の大きなリボン、ピンクのスカート、そして腕を覆う長い手袋。今日は余り派手ではなく、動きやすい格好で少し安堵したが、これではどっちが怪盗か分からない。
亮ちゃんは、警察側にイケメンの警察見習いでもいたら最高なんだけどねーと呟いていた。ケロちゃんは今夜はぬいぐるみの姿で、頭に私とおそろいのリボンをつけられている。亮ちゃんのスマホの画面に向かって張り切ってポーズしていた。
いそいそと4人、高台にある公園の茂みに姿を隠し、目下の神蔵邸を見下ろす。おばあちゃんはちゃんと警察に連絡をしたようで、敷地を囲むようにパトカーか何台か停まっており、厳重な警備体制が敷かれているようだ。中に猫娘が入る事は阻止できそうな様子を見て、少し安心した。
私達は彼女が外から侵入しようとする前に足止めし、そしてカードを本当に持っているのかどうか確かめる作戦だ。
「そろそろ、予告の時間ね」
亮ちゃんが腕時計を見て犯行予告の時刻を告げる。カードには丁寧にも犯行予告の時刻まで書かれていた。時計の針が19時を指す。
辺りは閑静な住宅街だからか、とても静かでこれからそんな騒ぎが起きるなんて感じさせないほど穏やかな空気が流れている。
次の瞬間、がさりと木の枝が揺れる音がして、どこからか人影が飛び出してきた。
その人影が宙を舞っている間、時間がやけにゆっくりと流れているようだった。長いポニーテールと猫の尻尾をゆったりと風に靡かせ、猫のお面で顔の上半分を隠している。その足には新聞で見たあの羽が光っている。
「やっぱりアレは跳(ジャンプ)のカードや!」
ケロちゃんが猫娘の足元をを確認し、大声を上げた。
その声にこちらに気づいて一瞥をくれた猫娘のその顔は、目元が隠れて表情なんてはっきりとは見えないのに、どこか微笑んでいる様に見えた。
その彼女はスッと屋根に着地し、神蔵邸の窓を割って侵入した。
「奴が九条邸に入ってしもうたで!」
ケロちゃんのその声にハッと我に帰った私は九条邸の窓ガラスが割れた箇所へ慌てて視線を向けた。
しかし、警察が割れる物音に気づき駆けつけた時にはすでに遅く、『猫の涙』はすでに部屋から消えていたようだ。
警察が無線機を使って辺りを探せ!と話しているのが微かに聞こえた。
「こんな一瞬で一体どうやって・・・」
「アタシがどうやって獲物を獲ったのか、知りたい?」
目を凝らして辺りを見回していると、背後から知らない声がした。
声の方向へ振り向くと、さっき宙を舞っていた猫娘がいつのまにか後ろに立っていた。その手には『猫の涙』が握られている。
「あなた、おばあちゃんの置き物を返しなさい!それ、どうするつもりなのよ?!」
「アタシがコレをどうしようが関係ないじゃない。しかもアナタ達の方がよっぽど見た目怪しいわ。ここで何してるの?」
それもそうだ・・・と納得しそうになったが、今はそれどころではない。
彼女の足元を見ると、微かに光る羽がある。
「それに、そのカード・・なんであなたが持っているの?」
「あぁ、これ?」
そう言って彼女は指ですっと宙を撫でると、足の羽がすっと消え、彼女の肩に長い耳と尻尾の生えた目つきの悪い兎?のような生き物の姿に形を変えた。
「拾ったのよ。行くところがなさそうだったし、可愛かったし。私、ちょっと魔法使えるし」
「か、可愛い・・・?」
彼女が人差し指で跳(ジャンプ)の眉間の掻くと気持ちよさそうに目を細めた。
亮ちゃんの美的センスには合わなかったようで、可愛いと言われた跳(ジャンプ)を凝視している。
しかし、私以外にも魔力があって魔法が使える子がいるなんて、なんで考えつきもしなかったのだろうか。
実際に会って目の前で魔法を使うところを目の当たりにすると、昼間感じた不安が襲ってきて、鳩尾の辺りに鈍痛を感じた。
「確かに、ねーちゃんからは微かに魔力を感じるわ」
「そ、その目つきの悪い子、私たちが探していた子なの。返してくれる・・?」
「あらそうなの。はいどうぞって素直に返してあげれるほど私はいい子ちゃんじゃないのよ。このふわふわの子の能力には助けて貰えてるしね」
こちらを見下してふふんと高飛車に笑い、再び跳(ジャンプ)を使って飛び上がった。
「この広い公園内で、私を捕まえられたら考えてあげてもいいわ」
そう言って公園の真ん中にある大きな池を飛び越えてどんどん遠くへ行ってしまう。
「なまえ!翔(フライ)で追いかけるで!」
「うん!翔(フライ)!」
背中に羽を生やし、ぴょんぴょんと飛んでいく猫娘の背を追っていく。
跳(ジャンプ)を使いこなしているだけあって、すばしっこくひょいひょいと角度を変えてジグザグに動き回るもんだから、追いつけない。
「もう!かの者を捕らえよ!樹(ウッド)!」
樹の枝をジグザグに繰り出し、彼女の背を追ってなんとか捕縛を試みるが、すばしっこく的が定まらず、なかなか捕まえられない。
そのとき、樹の枝が着地した猫娘の脚を掠って、体勢がわずかだが崩れた。
しかしそれも一瞬のことで、すぐさま体勢を立て直し、再び地を蹴って宙へと舞う。
「やるじゃない。でもまだまだ!」
「なまえ!もういっちょや!」
「ダメ!木の枝じゃ怪我させちゃう!違う方法を考えないと!」
一度地に降り、どうしようと考えあぐねていると、ユエさんが私に耳打ちする。
「私が足止めする。風(ウィンディ)で再度体勢を崩させろ」
「っ!わかった!ケロちゃん、サポートお願い!」
「よっしゃー!いくでー!」
再び翔(フライ)で空に舞い上がる。
「あら、挟み撃ちの作戦?3対1は卑怯じゃなくて?」
「九条のおばあちゃんから盗もうなんて卑劣な真似をする人とフェアにやりあう気なんてないわ!」
「正義感溢れるって感じね。でも私を捕まえられないと意味がないわよ!」
猫娘が私の頭上のはるか上を弧を描くように飛び越えていく。
飛んで行った方向へ振り返った時、ユエさんとケロちゃんが猫娘の前へ躍り出る。
それに間一髪気づいた猫娘は体をねじり、近くの木を蹴って再度こちらへ跳んでくる。
その隙を狙って、風(ウィンディ)で突風を起こした。
案の定、無理な体勢だった猫娘は風に煽られ、そのまま地面へと急降下していく。
「樹々よ!緑に覆い茂り かの者の助けとなれ!樹(ウッド)!」
鎖状に枝を生い茂らせ、彼女を地面すれすれのところで受け止めた。
作戦がうまくいき、無事猫娘も確保できたことで緊張が一気に解け、ふぅと一息吐いて地面へと降り立つ。
猫娘は木で作ったハンモックの中で気を失っているようだ。
私は彼女を抱き上げ、怪我をしてないか急いで確認する。葉っぱで小さなすり傷はできているが、幸い目立った外傷は無いようだ。
「よかった、怪我、してない」
抱き上げていた身体をハンモックへと戻そうとした時、眉間にしわを寄せながら目を覚ました。
「あ、あれ、気を失ってた・・?」
腕の中で目を覚ました猫娘の顔をまじまじと見つめる。半面を覆っていたお面は落ちた時にどこかで落としたようだ。
長い睫毛、はっきりとした顔立ち、すっと通った鼻筋は女子の自分から見ても、とても可愛かった。
「さぁ!観念しなさい!」
「猫の姉ちゃん!跳(ジャンプ)と猫の置物を返してもらうで!」
一部始終を録画していた亮ちゃんがスマホを片手に、そしてケロちゃんが春人の姿で猫娘に詰め寄る。
「嫌よ!これは私の獲物だし、このふわふわな生き物も私のものよ!」
彼女は頑なに置物と跳(ジャンプ)を手放そうとしなかった。
その目はどこか憂いを帯びていて、なぜだか彼女は私利私欲のために解答をしている様にはどうしても見えなかった。