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第11話 怪盗猫娘!
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快晴の青空に入道雲が沸き立つ夏の朝、いつもの通学路。
綺麗な花壇のある、ちょっと小高くなっている公園を通って、街で有名な資産家の九条さんの家の横を通る。
そのお家はとても大きくて、所謂豪邸と呼んでも過言では無い程の規模なのだが、現在家主のおばあちゃんは数年前にご主人をなくしてからは、娘さん夫婦と一緒に暮らしている。資産家と言ってもそれを鼻にかけず、いつも誰とでも分け隔てなく接してくれて、柔らかい笑顔をむけてくれるおばあさんが小さい頃からとても好きだった。
ちょうどおばあちゃんが玄関から出てくるところだった。
いつもニコニコしているおばあちゃんは今日は何やら顔色が優れない様に見える。
門から顔を出して落ち着きなく外をキョロキョロと見渡している。気になった私はさっと駆け寄った。
「九条のおばあちゃん、おはようございます、どうかされました?」
「あぁ、なまえちゃん、おはよう、実はね今朝こんな物が家に届いたの」
そう言っておばあちゃんが差し出して来たのは1枚のカードだった。
手のひらに収まるくらいのサイズのメッセージカードは、綺麗な金の飾り縁が描かれていて、とても滑らかで上質な紙だった。
しかしそこに書かれていたメッセージは、上質な紙には似つかわしくない、何やら物騒な内容だった。
『今宵、あなたの「猫の涙」頂戴する為 参上致します。怪盗猫娘』
「何ですかこれ?怪盗ねこむすめ?」
「今朝ポストを見たら入っていたの。封筒には消印も差出人も無くって。親戚にこんないたずらするような子はいないし・・・」
今時怪盗の予告状なんて、漫画の中だけだと思っていたが、まさかこんなタチの悪い悪戯をするなんて、と心の中で静かに悪態をついた。
いつもお世話になっている優しいおばあちゃんの顔には不安がありありと見て取れる。
「この『猫の涙』っていつも大事に飾ってる、おじいちゃんから貰った猫の置物でしょ?」
「そうなの、高価なものじゃ無いんだけど、おじいさんとの思い出の品だから・・・」
『猫の涙』とは、空を見上げる黒猫の置物で、月の光の元に置くと猫の瞳が涙を溜めている様に光る不思議な置物だった。
以前お家に上がって見せて貰った時、その時は昼間だったけど、その瞳は神秘的な輝きを放っていて、とても印象的だった。
置物自体の金銭的価値はどれほどのものかは分からないが、職人さんが丁寧に一体一体手作りで仕上げている為、同じ顔つきのものは2体としてないとおばあちゃんは言っていた。ご主人がそのうちの一体をとても気に入り、生前におばあちゃんへ贈ったそうだ。
いつも猫を窓辺に置いて、ご主人と一緒に猫に月を見せてあげていたと懐かしむように話していたのを覚えている。
その置物が、今回怪盗に狙われているというのだ。
「おばあちゃん、すぐに警察に連絡して。いたずらかもしれないけど、ちょっと達が悪すぎる。私が何か力になれるかもしれないから、調べてみるね。カードの写真撮ってもいい?」
「なまえちゃん、ありがとう。でも危ないことしちゃダメよ」
「わかってるよ。じゃ、私学校に行きますね。くれぐれも知らない人を家に招き入れちゃダメですよ」
「そうね、気をつけなきゃね、なまえちゃんいってらっしゃい」
不安そうだった顔が少し和らいだようで安心した。おばあちゃんが門から顔を出して手を振って見送ってくれるのに応え、私は学校へと急いだ。
ーーーーーーーーー
「ねぇ、怪盗猫娘って知ってる?」
教室に着いた私は、日直のため先に教室に来ていた春人と、亮ちゃんに例のカードの写真を見せながら、開口一番問いかけた。
「怪盗ネコムスメ?なんやそれ?」
「あら春人知らないの?今、巷を騒がせてる怪盗よ。なんでも、金持ちからしか盗まず、盗んだ金品は匿名で様々なチャリティー関係に寄付されてるんだとか」
「何やそれ現代版鼠小僧かいな??」
「いや、鼠じゃなくて猫よ」
「なんやそれ。訳わからんなーなまえ、一体その怪盗がどないしたん?」
「それがねーーーーー」
九条のおばあちゃんへ届いたメッセージカードについて2人に話した。
「何よそれ、鼠小僧は『悪者の富豪』から巻き上げるのが定石でしょ。今回は全然的外れじゃない」
「しかも狙われてるのが、ばーさんの思い出の品となっちゃ心配やなー」
「でしょ、ただのイタズラかもしれないけど、心配で・・。何か力になってあげれないかな」
まずは敵の情報収集だとスマホで検索をかけてみた。
案の定、ここ最近の新聞の記事が検索にヒットし、その一つを開いて見た。
『噂の現代版ロビンフット!猫のように空を跳ねる怪盗、猫ムスメ!』
注意を引く見出しの新聞記事の内容を確認する。
亮ちゃんが言っていたように、確かに富豪の家ばかりを狙った犯行らしい。しかもちょっと裏で怪しいことやってそうな金持ちばかり。
読み進んで見ると、記事の最後に一枚の写真が掲載されていた。
春人は横からニュっと画面を覗き込んで大声をだした。
「あ!これ!見てみ!」
「え?この逆光の写真?」
月をバックに、猫娘と思われる少女が空を舞っている写真だ。
逆光であるのと、顔上半分を猫のお面で隠しているため、顔は認識できない。
だが、春人が注目したのは怪盗の足元だった。
「この足に生えとる羽!これ跳(ジャンプ)やないか?」
「「じゃんぷ?」」
亮ちゃんと私の声が重なる。
「さくらカードの跳(ジャンプ)、足に羽を生やして高くジャンプできるんや。しっかし、なんでこの嬢ちゃんが跳(ジャンプ)持っとるんや?」
夜撮影された物のため写真の画質は荒く、拡大しても細部は潰れてしまって確認出来ないが、春人の言う通り確かにくるぶしのあたりから羽が生えているように見える。
それに、常人はロープで吊り下げられたりしない限り、こんなに高く跳べない、そう、魔法なんかを使わない限りは。
「え・・・まさかこの子も魔法使いなの?私以外にもカード使える人がいるってこと?カードを他の人も使いこなせるなんて、そんなことってありえるの?」
「今はカードたちにとっては、本当の主は不在みたいな状況やし、さくらの時の李家の小僧の件もあったし、可能性としてありえんことはない。。。」
「なまえ!この子にカード取られちゃったらどうするのよ?!猫娘をとっ捕まえて取り返さないと!」
「うん。本当にこの子がさくらカードの跳(ジャンプ)を持っているか確認しなきゃね。カード全部集めるって決めたもん」
今日まで魔法を使うことにいっぱいいっぱいで、他の人がさくらさんのカードを悪用するってことを今まで考えつかなかった事自分が腹立たしい。
魔法は良いことにだけ使われるとは限らないのだ。こうやってコソ泥の道具にされてしまうかもしれない。
優しいケロちゃんやユエさん、そしてカード達が良くない人たちに奪われて利用されてしまうかもと想像しただけでゾッとした。
そんなことは絶対阻止しなければ、と拳をギュッと握った。
綺麗な花壇のある、ちょっと小高くなっている公園を通って、街で有名な資産家の九条さんの家の横を通る。
そのお家はとても大きくて、所謂豪邸と呼んでも過言では無い程の規模なのだが、現在家主のおばあちゃんは数年前にご主人をなくしてからは、娘さん夫婦と一緒に暮らしている。資産家と言ってもそれを鼻にかけず、いつも誰とでも分け隔てなく接してくれて、柔らかい笑顔をむけてくれるおばあさんが小さい頃からとても好きだった。
ちょうどおばあちゃんが玄関から出てくるところだった。
いつもニコニコしているおばあちゃんは今日は何やら顔色が優れない様に見える。
門から顔を出して落ち着きなく外をキョロキョロと見渡している。気になった私はさっと駆け寄った。
「九条のおばあちゃん、おはようございます、どうかされました?」
「あぁ、なまえちゃん、おはよう、実はね今朝こんな物が家に届いたの」
そう言っておばあちゃんが差し出して来たのは1枚のカードだった。
手のひらに収まるくらいのサイズのメッセージカードは、綺麗な金の飾り縁が描かれていて、とても滑らかで上質な紙だった。
しかしそこに書かれていたメッセージは、上質な紙には似つかわしくない、何やら物騒な内容だった。
『今宵、あなたの「猫の涙」頂戴する為 参上致します。怪盗猫娘』
「何ですかこれ?怪盗ねこむすめ?」
「今朝ポストを見たら入っていたの。封筒には消印も差出人も無くって。親戚にこんないたずらするような子はいないし・・・」
今時怪盗の予告状なんて、漫画の中だけだと思っていたが、まさかこんなタチの悪い悪戯をするなんて、と心の中で静かに悪態をついた。
いつもお世話になっている優しいおばあちゃんの顔には不安がありありと見て取れる。
「この『猫の涙』っていつも大事に飾ってる、おじいちゃんから貰った猫の置物でしょ?」
「そうなの、高価なものじゃ無いんだけど、おじいさんとの思い出の品だから・・・」
『猫の涙』とは、空を見上げる黒猫の置物で、月の光の元に置くと猫の瞳が涙を溜めている様に光る不思議な置物だった。
以前お家に上がって見せて貰った時、その時は昼間だったけど、その瞳は神秘的な輝きを放っていて、とても印象的だった。
置物自体の金銭的価値はどれほどのものかは分からないが、職人さんが丁寧に一体一体手作りで仕上げている為、同じ顔つきのものは2体としてないとおばあちゃんは言っていた。ご主人がそのうちの一体をとても気に入り、生前におばあちゃんへ贈ったそうだ。
いつも猫を窓辺に置いて、ご主人と一緒に猫に月を見せてあげていたと懐かしむように話していたのを覚えている。
その置物が、今回怪盗に狙われているというのだ。
「おばあちゃん、すぐに警察に連絡して。いたずらかもしれないけど、ちょっと達が悪すぎる。私が何か力になれるかもしれないから、調べてみるね。カードの写真撮ってもいい?」
「なまえちゃん、ありがとう。でも危ないことしちゃダメよ」
「わかってるよ。じゃ、私学校に行きますね。くれぐれも知らない人を家に招き入れちゃダメですよ」
「そうね、気をつけなきゃね、なまえちゃんいってらっしゃい」
不安そうだった顔が少し和らいだようで安心した。おばあちゃんが門から顔を出して手を振って見送ってくれるのに応え、私は学校へと急いだ。
ーーーーーーーーー
「ねぇ、怪盗猫娘って知ってる?」
教室に着いた私は、日直のため先に教室に来ていた春人と、亮ちゃんに例のカードの写真を見せながら、開口一番問いかけた。
「怪盗ネコムスメ?なんやそれ?」
「あら春人知らないの?今、巷を騒がせてる怪盗よ。なんでも、金持ちからしか盗まず、盗んだ金品は匿名で様々なチャリティー関係に寄付されてるんだとか」
「何やそれ現代版鼠小僧かいな??」
「いや、鼠じゃなくて猫よ」
「なんやそれ。訳わからんなーなまえ、一体その怪盗がどないしたん?」
「それがねーーーーー」
九条のおばあちゃんへ届いたメッセージカードについて2人に話した。
「何よそれ、鼠小僧は『悪者の富豪』から巻き上げるのが定石でしょ。今回は全然的外れじゃない」
「しかも狙われてるのが、ばーさんの思い出の品となっちゃ心配やなー」
「でしょ、ただのイタズラかもしれないけど、心配で・・。何か力になってあげれないかな」
まずは敵の情報収集だとスマホで検索をかけてみた。
案の定、ここ最近の新聞の記事が検索にヒットし、その一つを開いて見た。
『噂の現代版ロビンフット!猫のように空を跳ねる怪盗、猫ムスメ!』
注意を引く見出しの新聞記事の内容を確認する。
亮ちゃんが言っていたように、確かに富豪の家ばかりを狙った犯行らしい。しかもちょっと裏で怪しいことやってそうな金持ちばかり。
読み進んで見ると、記事の最後に一枚の写真が掲載されていた。
春人は横からニュっと画面を覗き込んで大声をだした。
「あ!これ!見てみ!」
「え?この逆光の写真?」
月をバックに、猫娘と思われる少女が空を舞っている写真だ。
逆光であるのと、顔上半分を猫のお面で隠しているため、顔は認識できない。
だが、春人が注目したのは怪盗の足元だった。
「この足に生えとる羽!これ跳(ジャンプ)やないか?」
「「じゃんぷ?」」
亮ちゃんと私の声が重なる。
「さくらカードの跳(ジャンプ)、足に羽を生やして高くジャンプできるんや。しっかし、なんでこの嬢ちゃんが跳(ジャンプ)持っとるんや?」
夜撮影された物のため写真の画質は荒く、拡大しても細部は潰れてしまって確認出来ないが、春人の言う通り確かにくるぶしのあたりから羽が生えているように見える。
それに、常人はロープで吊り下げられたりしない限り、こんなに高く跳べない、そう、魔法なんかを使わない限りは。
「え・・・まさかこの子も魔法使いなの?私以外にもカード使える人がいるってこと?カードを他の人も使いこなせるなんて、そんなことってありえるの?」
「今はカードたちにとっては、本当の主は不在みたいな状況やし、さくらの時の李家の小僧の件もあったし、可能性としてありえんことはない。。。」
「なまえ!この子にカード取られちゃったらどうするのよ?!猫娘をとっ捕まえて取り返さないと!」
「うん。本当にこの子がさくらカードの跳(ジャンプ)を持っているか確認しなきゃね。カード全部集めるって決めたもん」
今日まで魔法を使うことにいっぱいいっぱいで、他の人がさくらさんのカードを悪用するってことを今まで考えつかなかった事自分が腹立たしい。
魔法は良いことにだけ使われるとは限らないのだ。こうやってコソ泥の道具にされてしまうかもしれない。
優しいケロちゃんやユエさん、そしてカード達が良くない人たちに奪われて利用されてしまうかもと想像しただけでゾッとした。
そんなことは絶対阻止しなければ、と拳をギュッと握った。