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第4話 仮の姿
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ーーー私は認めない。新しい主なんかいらない。
ユエに言われた一言が今だに頭から離れない。会って間もない人に言われた一言でなんでこんなに気にしているんだろう。
ケルベロスから大方のあらましは聞いた。クロウ・リードという人が作り出したクロウ・カードという魔法、前の主であるさくらさんのこと、そしてなまえはその大切なカードを飛び散らせてしまい、大変なことになってしまった。
「そうだよね、私、魔法を暴走させちゃうし、信用できないよね。カードを封印するなんて私にできるのかな。自信ないな・・・」
ベッドに入っているなまえはごろりと仰向けに寝返りを打ち、『翔』のカードを右手で頭上に掲げて呟いた。
『風』の魔法でカードが飛び散った時、『翔』のカードはなまえの手の中にあった為、手元に残った。
誰に呟いたわけでもないひとりごとは、『翔』に届いたらしく、初めてなまえが翔と会った時の様な鳥の姿になって、なまえの前に現れた。
くるると鳴いた翔は、なまえの枕の横に丸くなり、そっとなまえの頰にすり寄った。
「ありがとう。そうだね、落ち込んでもしょうがない。がんばるしかないね。もう寝よう。」
指で頭を撫でると翔は気持ちよさそうに目を閉じた。
「おやすみ、翔」
電気を消すとなまえはまどろみの中、枕に沈んでいった。
ーーーーーーーーー
カーテンの隙間から差し込む日の光が朝だと告げている。
ベッドヘッドに置いてある携帯のアラームがいつもの電子音をけたたましく鳴らすのがどこか遠くに聞こえる。
だが、誰かの手によってそれは止められた。
ーーーーあれ、アラーム止まった。お兄ちゃんが止めた?起きなきゃ。
もぞもぞと布団から這いでようとするが、何かが体に巻き付いていて起き上がれない。
寝ぼけた頭のまま、巻きついているものが何か確認しようと目を開けるとそこには誰かの胸板がある。
「お兄ちゃん・・・?」
しかし、兄は今東京にいるはずだ。帰ってくるともいってなかったはずだ。
「むにゃ、、なまえ、もうちょい寝かしてくれー」
体に回った腕が一層強くなった。聞き覚えのない声になまえの頭は一気に覚醒した。
顔を上げると、見覚えのない、金髪の男性(半裸)がなまえをベッドで抱きしめて寝ている。
「きゃーーーーー!!!!!!!!!」
土曜の爽やかな朝には似つかわしくない絶叫と乾いた音がご近所をこだました。
「わいや!ケルベロスや!殴るなんてひどいやろ!」
「女の子のベッドに忍び込むなんて信じられない!第一なんなのよその姿は!?昨日の可愛いぬいぐるみの姿はどこにやったの?!」
左ほほをほのかに赤く染めたケルベロスは、人間の男性の姿をしてリビングのソファであぐらをかき、むすっと座っている。
『翔』との一件の後、ケルベロスとユエはカードが集まるまでの当分の間、なまえの家に居候することとなった。
昨日の夜、リビングのソファで寝るといった二人は仲良く二人でソファに横になったところまでは見た。
朝から整った顔を間近に見るなんて。心臓に悪い・・・。と赤くなっている顔を両手で覆いながら、昨日の提案を今更後悔した。
—————
「で、これからどないする?」
「カードを捕まえるには、何かあった時のために、なるべく近くにいた方がいい。」
「行くとこなければうちに泊まったら?カードが集まるまで。私今この実家に一人暮らしだし。」
「ご家族は?」
「両親は長期海外出張。お兄ちゃんは東京で一人ぐらし。この家には私一人。」
「ほー。高校生なのに偉いなー」
「まぁ家事は自分でやらないといけないけど、一人も気楽でいいよ。今日は取り合えずリビングのソファ使って。明日両親の部屋を片付けるわ。」
風のカードでカードが飛び散ってしまった後、3人は今後のことを話し合い、
カードがいつ現れてもいい様に、ケルベロスとユエの2人はなまえの家に居候することとなった。
————————
昨夜の会話を思い出したなまえは頭を抱えたくなった。
昨夜リビングでおやすみと言って別れた時は、可愛いオレンジの羽の生えたぬいぐるみの姿だったのに、今は金髪で琥珀色の瞳をした人間の姿になっている。猫の様なパッチリとしたキレ目は獅子のそれを彷彿とさせた。
「これはわいの仮の姿その2や!人間の姿もさくらに作ってもらっといたんや!なんかあった時のために☆」
「だからってなんで私のベッドで寝てるのよ?!」
「久々に手足伸ばして寝たかったんやーソファはユエが占領してたし、なまえのベッドは翔も寝てたから、一緒させてもろたんや。いやー人間のベッドは寝やすいなー」
「ぬいぐるみの姿のままでいいじゃない!なんで人間の姿で、しかも、半裸・・・!」
高校生になってもまともに男子と付き合ったことのないなまえには、ケルベロスの半裸は刺激が強すぎた。
朝起きて目の前にあったケルベロスの顔に似合わず意外とたくましい胸板を思い出し、ゆでダコの様に真っ赤に染まった頬を両手で覆う。
ケルベロスの本当の姿は超絶かっこいいと自分で言っていたが、この人間の姿で十分かっこいいと思ってしまった。
イケメンはお父さんのTシャツを着ていてもイケメンに見えるのだから世の中は不公平だ。
「とにかく!ケルベロ・・・ケ、ケロちゃんは一緒に寝る時はぬいぐるみの姿ね!」
「えー!わいもベッド使いたいーふかふかの布団で手足伸ばしたいー」
「ちっちゃい姿で十分手足伸ばせるでしょ!」
「ってゆうかなまえもケロちゃん呼びかいなー。ふぁー」
まだ眠そうにぐっと両腕を上げてあくびをするケルベロスを横目に、なまえはキッチンへとズカズカと歩いていった。
ユエはダイニングでなまえが入れたコーヒーを悠然と飲んでいる。
なまえはひとまず落ち着こうと入れておいたコーヒーのマグカップを持って、ユエの正面の席に座った。コーヒーをすすりながら、なまえは前に座るユエの姿をまじまじと見つめた。コーヒーカップを片手に佇む姿は、とても絵になっている。
ケルベロスとはタイプは違うが、ユエも相当整った顔立ちだと思った。紫がかった水晶の様な綺麗な瞳と、サラサラの銀髪はスッと鼻筋の通った整った顔立ちにとてもよく似合っている。
普通のダイニングテーブルとコーヒーカップがなんだか別次元のものの様に思えてしまうほど、ユエは芸術品の様な綺麗さだった。さくらさんはイケメンを生み出す天才ではないかとなまえは密かに尊敬した。
「なんだ。」
「あ、えと、ユエさんの仮の姿は今のそれだけ?ユエさんはぬいぐるみの姿にはならないの?」
じっと見つめていたなまえとユエの瞳がぶつかり、ユエにじろりと睨むように視線を向けらた。
まさか話しかけられるとは思っていなかったなまえはとっさに考えた質問をぶつける。
「あの姿はない。ぬいぐるみの姿なんて願い下げだ。」
「そう、なんだ。」
「・・・。第一、この姿を創ってもらうまでは、仮の姿と私の真の姿は別人格だった。」
眉間にしわを寄せ、ばさりと切り捨てる様にユエは答える。
「別人格ってどう言うこと?」
「月城雪兎という名の別人格が私の仮の姿だった。主がある時、雪兎と私を分けたんだ。」
「さくらさんがユエさんの独立した仮の姿を創ったって事?」
「そうだ。」
眉間に皺は寄ったままだが、さっきまでの不機嫌そうな空気から一変、懐かしむ様に遠くを見つめるユエの瞳に、かすかに影が落ちる。
「実は、翔を捕まえたあの時、あの、さくらさんとあったんです。」
「主と?」
「気絶してる時に、ゆ、夢で会うなんてちょっとおかしい気もしますが。」
さくらさん、という言葉に微かに反応したユエと目があった。さっきまでリビングから見える庭先に視線を向けていたユエがまっすぐになまえを見つめる。少し気まずくなったなまえはさっと目線を外した。
「いや、さくらは夢を渡れた数少ない魔術師や。他界した後も夢に魔法を残していっていてもおかしくない。」
ケルベロスがダイニングにコーヒーのマグカップを持ってやってきた。
「そう、そんなすごい魔術師だったんですね。さくらさん。小学生の時に亡くなるなんて・・・早すぎる。」
「はや?いや、さくらは強い魔力のせいもあって、大往生に大往生で150歳まで生きとったで」
「ひゃくごじゅ・・・?!だって夢であったのは小学生の姿だったよ?」
「小学生の時のさくらと会うたんか?しかしまた懐かしい、確かカードキャプター始めたばっかの頃やなー。」
「小学生が魔法を使えたの?」
「せやで!その頃は寝坊ばっかでなー可愛かったでー。しっかし往年のさくらの魔力はそりゃごっつ強くなって、ほんまに一時のクロウもしのぐーーー」
ケルベロスは腕を組んで懐かしそうに話し出した。
夢であったさくらさんの姿は小学生の制服を着ていて、私よりもずっと年下に見えた。しかし、すでに亡くなっているとケルベロスは言った。
「しかし、どんなに魔力が強くとも、生きとしいけるもの皆等しく終わりはやってくるんや。翔も・・カードたちも寂しいんかな。」
ふと静かに呟いたケルベロスの言葉に、ハッとなまえは目線をあげた。
正面座るユエの横顔が一瞬、とても寂しそうに陰って、なまえは泣いてしまうのではないかと思ってしまった。
「ケロちゃんも、ユエさんも、さくらさんのこと大好きだったんだね。さみしいね。」
なまえはコーヒーカップの中身に視線を落とし、そっと呟いた。
「私は、もう新しい主など、いらない。」
コーヒーカップをテーブルに置いたユエはそのままダイニングを出ていってしまった。
その後ろ姿をなまえはただ見つめていた。
「ユエに仮の姿を新たに創ったということは、さくらが必要と思って託してくれたってことや。きっとこれには何か意味があるんやろな。。。」
ケルベロスの呟きは2人の耳には届かなかった。
ユエに言われた一言が今だに頭から離れない。会って間もない人に言われた一言でなんでこんなに気にしているんだろう。
ケルベロスから大方のあらましは聞いた。クロウ・リードという人が作り出したクロウ・カードという魔法、前の主であるさくらさんのこと、そしてなまえはその大切なカードを飛び散らせてしまい、大変なことになってしまった。
「そうだよね、私、魔法を暴走させちゃうし、信用できないよね。カードを封印するなんて私にできるのかな。自信ないな・・・」
ベッドに入っているなまえはごろりと仰向けに寝返りを打ち、『翔』のカードを右手で頭上に掲げて呟いた。
『風』の魔法でカードが飛び散った時、『翔』のカードはなまえの手の中にあった為、手元に残った。
誰に呟いたわけでもないひとりごとは、『翔』に届いたらしく、初めてなまえが翔と会った時の様な鳥の姿になって、なまえの前に現れた。
くるると鳴いた翔は、なまえの枕の横に丸くなり、そっとなまえの頰にすり寄った。
「ありがとう。そうだね、落ち込んでもしょうがない。がんばるしかないね。もう寝よう。」
指で頭を撫でると翔は気持ちよさそうに目を閉じた。
「おやすみ、翔」
電気を消すとなまえはまどろみの中、枕に沈んでいった。
ーーーーーーーーー
カーテンの隙間から差し込む日の光が朝だと告げている。
ベッドヘッドに置いてある携帯のアラームがいつもの電子音をけたたましく鳴らすのがどこか遠くに聞こえる。
だが、誰かの手によってそれは止められた。
ーーーーあれ、アラーム止まった。お兄ちゃんが止めた?起きなきゃ。
もぞもぞと布団から這いでようとするが、何かが体に巻き付いていて起き上がれない。
寝ぼけた頭のまま、巻きついているものが何か確認しようと目を開けるとそこには誰かの胸板がある。
「お兄ちゃん・・・?」
しかし、兄は今東京にいるはずだ。帰ってくるともいってなかったはずだ。
「むにゃ、、なまえ、もうちょい寝かしてくれー」
体に回った腕が一層強くなった。聞き覚えのない声になまえの頭は一気に覚醒した。
顔を上げると、見覚えのない、金髪の男性(半裸)がなまえをベッドで抱きしめて寝ている。
「きゃーーーーー!!!!!!!!!」
土曜の爽やかな朝には似つかわしくない絶叫と乾いた音がご近所をこだました。
「わいや!ケルベロスや!殴るなんてひどいやろ!」
「女の子のベッドに忍び込むなんて信じられない!第一なんなのよその姿は!?昨日の可愛いぬいぐるみの姿はどこにやったの?!」
左ほほをほのかに赤く染めたケルベロスは、人間の男性の姿をしてリビングのソファであぐらをかき、むすっと座っている。
『翔』との一件の後、ケルベロスとユエはカードが集まるまでの当分の間、なまえの家に居候することとなった。
昨日の夜、リビングのソファで寝るといった二人は仲良く二人でソファに横になったところまでは見た。
朝から整った顔を間近に見るなんて。心臓に悪い・・・。と赤くなっている顔を両手で覆いながら、昨日の提案を今更後悔した。
—————
「で、これからどないする?」
「カードを捕まえるには、何かあった時のために、なるべく近くにいた方がいい。」
「行くとこなければうちに泊まったら?カードが集まるまで。私今この実家に一人暮らしだし。」
「ご家族は?」
「両親は長期海外出張。お兄ちゃんは東京で一人ぐらし。この家には私一人。」
「ほー。高校生なのに偉いなー」
「まぁ家事は自分でやらないといけないけど、一人も気楽でいいよ。今日は取り合えずリビングのソファ使って。明日両親の部屋を片付けるわ。」
風のカードでカードが飛び散ってしまった後、3人は今後のことを話し合い、
カードがいつ現れてもいい様に、ケルベロスとユエの2人はなまえの家に居候することとなった。
————————
昨夜の会話を思い出したなまえは頭を抱えたくなった。
昨夜リビングでおやすみと言って別れた時は、可愛いオレンジの羽の生えたぬいぐるみの姿だったのに、今は金髪で琥珀色の瞳をした人間の姿になっている。猫の様なパッチリとしたキレ目は獅子のそれを彷彿とさせた。
「これはわいの仮の姿その2や!人間の姿もさくらに作ってもらっといたんや!なんかあった時のために☆」
「だからってなんで私のベッドで寝てるのよ?!」
「久々に手足伸ばして寝たかったんやーソファはユエが占領してたし、なまえのベッドは翔も寝てたから、一緒させてもろたんや。いやー人間のベッドは寝やすいなー」
「ぬいぐるみの姿のままでいいじゃない!なんで人間の姿で、しかも、半裸・・・!」
高校生になってもまともに男子と付き合ったことのないなまえには、ケルベロスの半裸は刺激が強すぎた。
朝起きて目の前にあったケルベロスの顔に似合わず意外とたくましい胸板を思い出し、ゆでダコの様に真っ赤に染まった頬を両手で覆う。
ケルベロスの本当の姿は超絶かっこいいと自分で言っていたが、この人間の姿で十分かっこいいと思ってしまった。
イケメンはお父さんのTシャツを着ていてもイケメンに見えるのだから世の中は不公平だ。
「とにかく!ケルベロ・・・ケ、ケロちゃんは一緒に寝る時はぬいぐるみの姿ね!」
「えー!わいもベッド使いたいーふかふかの布団で手足伸ばしたいー」
「ちっちゃい姿で十分手足伸ばせるでしょ!」
「ってゆうかなまえもケロちゃん呼びかいなー。ふぁー」
まだ眠そうにぐっと両腕を上げてあくびをするケルベロスを横目に、なまえはキッチンへとズカズカと歩いていった。
ユエはダイニングでなまえが入れたコーヒーを悠然と飲んでいる。
なまえはひとまず落ち着こうと入れておいたコーヒーのマグカップを持って、ユエの正面の席に座った。コーヒーをすすりながら、なまえは前に座るユエの姿をまじまじと見つめた。コーヒーカップを片手に佇む姿は、とても絵になっている。
ケルベロスとはタイプは違うが、ユエも相当整った顔立ちだと思った。紫がかった水晶の様な綺麗な瞳と、サラサラの銀髪はスッと鼻筋の通った整った顔立ちにとてもよく似合っている。
普通のダイニングテーブルとコーヒーカップがなんだか別次元のものの様に思えてしまうほど、ユエは芸術品の様な綺麗さだった。さくらさんはイケメンを生み出す天才ではないかとなまえは密かに尊敬した。
「なんだ。」
「あ、えと、ユエさんの仮の姿は今のそれだけ?ユエさんはぬいぐるみの姿にはならないの?」
じっと見つめていたなまえとユエの瞳がぶつかり、ユエにじろりと睨むように視線を向けらた。
まさか話しかけられるとは思っていなかったなまえはとっさに考えた質問をぶつける。
「あの姿はない。ぬいぐるみの姿なんて願い下げだ。」
「そう、なんだ。」
「・・・。第一、この姿を創ってもらうまでは、仮の姿と私の真の姿は別人格だった。」
眉間にしわを寄せ、ばさりと切り捨てる様にユエは答える。
「別人格ってどう言うこと?」
「月城雪兎という名の別人格が私の仮の姿だった。主がある時、雪兎と私を分けたんだ。」
「さくらさんがユエさんの独立した仮の姿を創ったって事?」
「そうだ。」
眉間に皺は寄ったままだが、さっきまでの不機嫌そうな空気から一変、懐かしむ様に遠くを見つめるユエの瞳に、かすかに影が落ちる。
「実は、翔を捕まえたあの時、あの、さくらさんとあったんです。」
「主と?」
「気絶してる時に、ゆ、夢で会うなんてちょっとおかしい気もしますが。」
さくらさん、という言葉に微かに反応したユエと目があった。さっきまでリビングから見える庭先に視線を向けていたユエがまっすぐになまえを見つめる。少し気まずくなったなまえはさっと目線を外した。
「いや、さくらは夢を渡れた数少ない魔術師や。他界した後も夢に魔法を残していっていてもおかしくない。」
ケルベロスがダイニングにコーヒーのマグカップを持ってやってきた。
「そう、そんなすごい魔術師だったんですね。さくらさん。小学生の時に亡くなるなんて・・・早すぎる。」
「はや?いや、さくらは強い魔力のせいもあって、大往生に大往生で150歳まで生きとったで」
「ひゃくごじゅ・・・?!だって夢であったのは小学生の姿だったよ?」
「小学生の時のさくらと会うたんか?しかしまた懐かしい、確かカードキャプター始めたばっかの頃やなー。」
「小学生が魔法を使えたの?」
「せやで!その頃は寝坊ばっかでなー可愛かったでー。しっかし往年のさくらの魔力はそりゃごっつ強くなって、ほんまに一時のクロウもしのぐーーー」
ケルベロスは腕を組んで懐かしそうに話し出した。
夢であったさくらさんの姿は小学生の制服を着ていて、私よりもずっと年下に見えた。しかし、すでに亡くなっているとケルベロスは言った。
「しかし、どんなに魔力が強くとも、生きとしいけるもの皆等しく終わりはやってくるんや。翔も・・カードたちも寂しいんかな。」
ふと静かに呟いたケルベロスの言葉に、ハッとなまえは目線をあげた。
正面座るユエの横顔が一瞬、とても寂しそうに陰って、なまえは泣いてしまうのではないかと思ってしまった。
「ケロちゃんも、ユエさんも、さくらさんのこと大好きだったんだね。さみしいね。」
なまえはコーヒーカップの中身に視線を落とし、そっと呟いた。
「私は、もう新しい主など、いらない。」
コーヒーカップをテーブルに置いたユエはそのままダイニングを出ていってしまった。
その後ろ姿をなまえはただ見つめていた。
「ユエに仮の姿を新たに創ったということは、さくらが必要と思って託してくれたってことや。きっとこれには何か意味があるんやろな。。。」
ケルベロスの呟きは2人の耳には届かなかった。