スキンシップのその先
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「おいおい、おいおいおい……! ちょっと待てって、なまえ!」
ホテルのツインルーム。
外の喧騒が遠くに聞こえる静かな部屋で、ポルナレフは完全に狼狽していた。
いつもなら「よお、可愛いお嬢さん」なんて軽口を叩いて、自分からウインクの一つでも飛ばす男だ。
それなのに、いざなまえから積極的に距離を詰められ、その細い指先が彼の逞しい腕に触れ、さらに大胆に顔を近づけられると――このフランス男は、カチコチに固まってしまった。
「な、なんだよ急に。からかってんのか? 俺をハメようとして、後ろから承太郎やジョースターさんがカメラ持って飛び出してくるんじゃあねーだろうな!?」
きょろきょろと部屋の隅のクローゼットやカーテンの陰に視線を走らせるが、部屋には正真正銘、二人きり。
なまえの熱い視線と、容赦なく重ねられるスキンシップ。ふわりと鼻腔をくすぐるなまえの香りに、ポルナレフの耳たぶがみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「ッ、冗談だろ……まじかよ……」
ポルナレフはゴクリと息を呑んだ。
いつもなら、こんなチャンスを前にすれば「トレビアン!」と飛びつくはずだ。
ポルナレフは自他ともに認めるフェミニストだし、女の子にはいつだって甘い。
だが、相手がなまえだからこそ、話が違っていた。
旅の過酷な道中を共に潜り抜け、誰よりも大切で、絶対に傷つけたくないと思っている特別な存在。
そんななまえが、今、自分にそんな目を向けている。
(ダメだ、落ち着け! ここで理性を失ったら男がすたる、いや、しかしこんな可愛い誘いを断るなんてそれこそ騎士道精神に反するんじゃあないか!?)
脳内で凄まじい葛藤が繰り広げられる。
なまえがさらに一歩踏み込み、ポルナレフの胸元にそっと手を置いた瞬間、ポルナレフは観念したように大きなため息をついた。その瞳から、いつものお調子者の色がスッと消え、一人の大人の男の、ひどく真剣な眼差しに変わる。
「……はぁ。お前なぁ、自分がどれだけ危ないことしてるか、分かっててやってんのか?」
ポルナレフは、なまえの手首を逃がさないように少し強めの力で掴んだ。
そして、いつもの自信たっぷりな表情と、どこか愛おしさが滲む笑みを浮かべる。
「いいぜ。そこまで俺を試すってんなら……乗ってやるよ。だけどな、後から『冗談でした』なんて泣きついたって、絶対に途中で止めてやらねーからな?」
そう言うと、ポルナレフは掴んだなまえの手を引き寄せ、空いたもう片方の腕で、なまえの腰を壊れ物を扱うように優しく抱き寄せた。
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