静かな夜に
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砂漠の夜は、不思議なくらい静かだった。
昼間の灼熱が嘘みたいに冷えた空気の中、仲間たちはそれぞれ眠りについている。
焚き火の残り火が、ぱちりと小さく弾けた。
「寝れないのか?」
声をかけられて振り向けば、そこにはJ・P・ポルナレフ。
銀色の髪が月明かりに照らされて、少しだけ柔らかく見えた。
「ポルナレフこそ」
「オレは見張りだ」
「さっきジョースターさんと交代してたじゃない」
「……バレたか」
へへっと笑う彼に、なまえも思わず笑ってしまう。
昔からそうだった。
出会った頃から変わらない。
明るくて、騒がしくて、真っ直ぐで。
誰より熱く仲間思いな男。
だからこそ――。
失うことが怖かった。
明日、生きている保証なんてどこにもない。
それは皆同じだけれど。
特にポルナレフは、いつだって無茶をするから。
「……どうした?」
じっと見つめていたら、心配そうに覗き込まれる。
近い。
思わず視線を逸らした。
「別に」
「嘘だな」
「嘘じゃあない」
「嘘だ」
子供みたいな言い合い。
そのはずなのに。
ポルナレフの声は妙に優しくて。
胸が苦しくなる。
「……ねぇ、ポルナレフ」
「ん?」
「怖くないの?」
彼は少しだけ目を丸くした。
そして空を見上げる。
「ああ」
意外な答えだった。
「オレだって怖いさ」
静かな声。
いつもの調子じゃない。
「死ぬのも怖いし、仲間を失うのも怖い」
月を見つめながら言う横顔は、どこか大人びていた。
「でもよ」
彼の視線がこちらに向く。
「守りてぇ奴がいるからな」
心臓が跳ねた。
それが誰を指しているのか。
聞けなかった。
聞いたら、何かが変わってしまいそうで。
「なまえ」
名前を呼ばれる。
低く。
甘く。
優しく。
「お前さ」
「……なに」
「オレのこと好きだろ?」
「は!?」
あまりにも直球で、思わず大声が出た。
慌てて口を押さえる。
遠くでジョセフが寝返りを打った。
「しーっ!」
「ははは!」
「笑い事じゃない!」
顔が熱い。
絶対に真っ赤だ。
ポルナレフは腹を抱えて笑っていたが、やがて少しずつ笑みを収めた。
そして。
ふいに真剣な顔になる。
「……オレもだ」
「え」
「オメェが好きだぜ」
あまりにも自然に言われて。
言葉の意味を理解するまで数秒かかった。
「な……」
「だからそんな顔するなよ」
ポルナレフが苦笑する。
「オレだってずっと我慢してたんだ」
「我慢……?」
「旅の最中だしな」
彼の指先が頬に触れる。
熱い。
触れられた場所から、じわじわと熱が広がっていく。
「でもよ」
親指がそっと頬を撫でた。
「今は言いてぇ」
吐息がかかるほど近い。
逃げられない。
逃げたくもない。
「なまえ」
名前を呼ぶ声が甘い。
胸がいっぱいになる。
「キスしていいか?」
本当なら。
淑女らしく恥じらうべきなのかもしれない。
けれど。
長い旅の中で。
何度も助けられて。
何度も支え合って。
ずっと好きだった相手だ。
だから。
小さく頷いた。
次の瞬間。
唇が重なった。
優しいキス。
触れるだけのはずだった。
けれどポルナレフはすぐに離れなかった。
唇をなぞるようにもう一度。
角度を変えて、もう一度。
甘く。
執拗なくらいに。
「ポ、ポルナレフ……」
名前を呼べば。
彼は額を合わせて笑った。
「フランス人を甘く見るなよ」
「なにそれ……」
「キスは愛情表現なんだ」
そう言った彼は。
再び唇を重ねてきた。
今度は少し深く。
逃がさないように腰を引き寄せられる。
頭がくらくらする。
息をするのも忘れそうだった。
やっと離れた時には、胸がいっぱいで何も言えなかった。
そんななまえを見て、ポルナレフは満足そうに笑う。
「可愛い顔」
「うるさい……」
「もっと見せろよ」
「見せない!」
「ケチ」
口を尖らせる姿が可笑しくて。
思わず笑ってしまう。
すると彼は安心したように目を細めた。
そして。
誰にも気づかれないように。
そっと指を絡めてくる。
「……お前に出会えて良かったぜ」
その言葉に。
なまえは強く頷いた。
「うん……私も」
繋いだ手は温かい。
砂漠の冷たい夜の中で。
二人の熱だけが、確かにそこにあった。
昼間の灼熱が嘘みたいに冷えた空気の中、仲間たちはそれぞれ眠りについている。
焚き火の残り火が、ぱちりと小さく弾けた。
「寝れないのか?」
声をかけられて振り向けば、そこにはJ・P・ポルナレフ。
銀色の髪が月明かりに照らされて、少しだけ柔らかく見えた。
「ポルナレフこそ」
「オレは見張りだ」
「さっきジョースターさんと交代してたじゃない」
「……バレたか」
へへっと笑う彼に、なまえも思わず笑ってしまう。
昔からそうだった。
出会った頃から変わらない。
明るくて、騒がしくて、真っ直ぐで。
誰より熱く仲間思いな男。
だからこそ――。
失うことが怖かった。
明日、生きている保証なんてどこにもない。
それは皆同じだけれど。
特にポルナレフは、いつだって無茶をするから。
「……どうした?」
じっと見つめていたら、心配そうに覗き込まれる。
近い。
思わず視線を逸らした。
「別に」
「嘘だな」
「嘘じゃあない」
「嘘だ」
子供みたいな言い合い。
そのはずなのに。
ポルナレフの声は妙に優しくて。
胸が苦しくなる。
「……ねぇ、ポルナレフ」
「ん?」
「怖くないの?」
彼は少しだけ目を丸くした。
そして空を見上げる。
「ああ」
意外な答えだった。
「オレだって怖いさ」
静かな声。
いつもの調子じゃない。
「死ぬのも怖いし、仲間を失うのも怖い」
月を見つめながら言う横顔は、どこか大人びていた。
「でもよ」
彼の視線がこちらに向く。
「守りてぇ奴がいるからな」
心臓が跳ねた。
それが誰を指しているのか。
聞けなかった。
聞いたら、何かが変わってしまいそうで。
「なまえ」
名前を呼ばれる。
低く。
甘く。
優しく。
「お前さ」
「……なに」
「オレのこと好きだろ?」
「は!?」
あまりにも直球で、思わず大声が出た。
慌てて口を押さえる。
遠くでジョセフが寝返りを打った。
「しーっ!」
「ははは!」
「笑い事じゃない!」
顔が熱い。
絶対に真っ赤だ。
ポルナレフは腹を抱えて笑っていたが、やがて少しずつ笑みを収めた。
そして。
ふいに真剣な顔になる。
「……オレもだ」
「え」
「オメェが好きだぜ」
あまりにも自然に言われて。
言葉の意味を理解するまで数秒かかった。
「な……」
「だからそんな顔するなよ」
ポルナレフが苦笑する。
「オレだってずっと我慢してたんだ」
「我慢……?」
「旅の最中だしな」
彼の指先が頬に触れる。
熱い。
触れられた場所から、じわじわと熱が広がっていく。
「でもよ」
親指がそっと頬を撫でた。
「今は言いてぇ」
吐息がかかるほど近い。
逃げられない。
逃げたくもない。
「なまえ」
名前を呼ぶ声が甘い。
胸がいっぱいになる。
「キスしていいか?」
本当なら。
淑女らしく恥じらうべきなのかもしれない。
けれど。
長い旅の中で。
何度も助けられて。
何度も支え合って。
ずっと好きだった相手だ。
だから。
小さく頷いた。
次の瞬間。
唇が重なった。
優しいキス。
触れるだけのはずだった。
けれどポルナレフはすぐに離れなかった。
唇をなぞるようにもう一度。
角度を変えて、もう一度。
甘く。
執拗なくらいに。
「ポ、ポルナレフ……」
名前を呼べば。
彼は額を合わせて笑った。
「フランス人を甘く見るなよ」
「なにそれ……」
「キスは愛情表現なんだ」
そう言った彼は。
再び唇を重ねてきた。
今度は少し深く。
逃がさないように腰を引き寄せられる。
頭がくらくらする。
息をするのも忘れそうだった。
やっと離れた時には、胸がいっぱいで何も言えなかった。
そんななまえを見て、ポルナレフは満足そうに笑う。
「可愛い顔」
「うるさい……」
「もっと見せろよ」
「見せない!」
「ケチ」
口を尖らせる姿が可笑しくて。
思わず笑ってしまう。
すると彼は安心したように目を細めた。
そして。
誰にも気づかれないように。
そっと指を絡めてくる。
「……お前に出会えて良かったぜ」
その言葉に。
なまえは強く頷いた。
「うん……私も」
繋いだ手は温かい。
砂漠の冷たい夜の中で。
二人の熱だけが、確かにそこにあった。
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